新しい夢を探して
小学一年生の頃、私は病気がちで引っ込み思案だった。そんな私でも、真っ赤なランドセルを担いではあと何回寝たら入学式か一日に何度もたずねるぐらい楽しみだった。
入学式当日。ドキドキしたけど、隣の女の子が声をかけてくれて、式中も教室でも胸を躍らせた。
でも、実際の小学校生活は悲惨だった。担任が後ろを向けば、ゴミやフォークが飛び交う。今ならどこから出てきたフォークだ?と疑問に思って笑うけれども、そういうのが当たり前だった。
ある日、斜め後ろのダンプカーみたいに大きい男の子が私に話しかけてきた。消しゴムを貸してほしいらしい。お気に入りの7色のけしごむだったから、すごく嫌だったけれど、断れなくて貸した。そしたら、ネームペンで真っ黒に落書きして返された。入学式で仲良くなった女の子の方を向いたけど、顔をそらされて、男の子たちと笑っている女の子を呆然と見てた。
すると、目の前が真っ暗になって、景色が歪んで、ただひたすら声を殺して椅子に突っ伏した。
他の日には、隣に座った男の子が授業中に首を絞めてきた。先生が止めに入る声も聞こえない。大人は何をしてたんだろう。ただ苦しくて、息ができないし、ぼーっとしてきたことだけは今でも覚えてる。
こんなことが日常茶飯事で、これが普通だと思ってたけど、喘息が出たとかお腹が痛いだとか嘘をついて学校を休むようになった。
母には、仮病を使わずにランドセルごと玄関に放り出されて、学校にいけと追い出されたこともあった。それでも玄関の前に体育座りして、放課後になるまで動かなかった。
その日を皮切りに父が不審に思ったのか、いじめにあっているのではないかと母に聞いたらしい。そこで初めて、学校でのことを聞かれた気がする。季節も全然覚えていないけど、その言葉を聞いて、視界が歪んで体が震えて、言葉にならない声で必死にどんなことをされたのか伝えた気がする。もう何年も前だから朧気で全然覚えていないのだけど。多分こんな感じ。これが私の初めての学校生活の始まり。
そんなこと後あったから、本気で学校が嫌いだったけど、ある時を境に小学校教員を目指すようになった。