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第7話 初めての帰郷

「大丈夫だな。忘れ物はないね。道中気を付けるんだぞ。っても護衛がついてる。心配ないか。」

「ありがとうございます。わざわざ見送りまでしてくれて。お土産の短剣、大切にします。」

 時は翌日、幌付き駅馬車に乗った直後、褐色肌のメイド服に、お礼をするニック。

 そして、常歩で出発する駅馬車。手を振って挨拶するニックと、褐色肌のメイド服。

 幌が付いている為、見える風景は、後方だけだ。それらと最後のお別れをするニック。

「あぁ……憧れの都……もうお別れだぁ……ちくしょう、僕にもっと『力』があれば……。」

 涙ぐむニックを、余所に街から旅立つ駅馬車。まず、目指すは、隣の衛星都市だ。

 そこまでで、約1日。半日行った所に村があるので、そこで昼休憩をはさむ。

「ああ……さようなら『僕の夢』……。」

 街を出て、代わり映えしない風景に移った所で、筋トレ用の胡桃を右手で弄ぶニック。

 暇つぶしに買ったつもりだが、意外にも筋力が上昇し、中央値まで持ち直した。

「おひおひ……それって、『握力トレーニング』じゃねぇのかよ。」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

「おう、ボウズ。精が出るな。『握力トレーニング』か。」

 駅馬車の後方に回り込んだのは、騎乗した中年冒険者……デキトーだった。

「あ、デキトーさん。護衛のお仕事ご苦労様です。宜しくお願いします。」

「ま、俺一人だが護衛が、付いた駅馬車を狙う賊なんて、いねぇよ。安心しな、ボウズ。」

 軽く笑いながら、定位置たる駅馬車の前方へと戻るデキトーだった。

「ああ……頼もしそうな人だなぁ。本当、ああ言う感じの人になりたいなぁ……。」

 そうこうする内に、微振動する常足の駅馬車の中で、うつらうつらしてしまったニック。

「はわぁっ! え、え、え! 何事!」

 突然、駆け足になる馬車だった。後ろに回り込むデキトー。

「ボウズ! 賊だ! 俺が、食い止めておくから、逃げろ! あと口開くなよ。舌かむぞ。」

「ええぇっ! 賊! そ、そんな……気を付けて、デキトーさん。」

「おう! まかせな! ボウズ!」

 言うや否や、馬を走らせるデキトー。幌が邪魔で、周囲の様子が見えない。

 不安を、沈黙で押し殺すニック。御者に話しかけたいが、デキトーの言葉がブレーキだ。

「うわぁっ! 急に揺れたと思ったら、遅くなった。御者さん、大丈夫ですか?」

「やべぇ! 車輪が、矢をかんだ! 速度が、出せねぇ! ちょっと危険だが、止めるぞ!」

「はっ! はい! 気を付けて。」

 駅馬車を止めて、降りる御者。車輪が、かんだ矢を外しに行ったのだろう。

「いてぇっ!」

 人が、倒れ込む音が響いた。相変わらず外の様子は見えない。

「大丈夫ですか! 御者さん。」

「くそぉ……脚をやられた……ボウズ、逃げろ! 右側へ逃げるんだ。」

「えぇぇっ! そんな! 御者さん、早く御者台に戻って下さい。僕が矢を外します。」

「無茶だ。……と、言いたい所だが、やむを得ん。頼んだぞ、ボウズ!」

「はいっ! 御者さんも早く。」

 言うや否や、駅馬車を飛び降りるニック。左側に回り込む。

「確かに、矢をかんでいる。なら、こうするだけだ。」

 取り出したナイフで、矢を半ばで、斬るニック。

「おっ、意外と簡単に取れた。御者さん! 取れました。」

 言い置いて、さっそく、駅馬車の後方、出入口へと急ぎ駆け出すニック。

「え?」

 そして、猛スピードで、走り去る駅馬車だった。

「うわぁぁぁぁぁぁぁん! 酷いぃぃっ! 置いてかないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 駆け出すニック。しかし、全力疾走する駅馬車に追いつけよう筈も無し。

 どんどん差が開く一方だ。更に、追い打ちをかける事態になる。転倒し顔を打ったニック。


 * * * 



次回予告

第8話 初めての実戦 覚醒! 『神聖スキル:麦踏』

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