第３６話 初めてのトリック
「ちっ、随分慎重な、歩調だぜ。厄介だな、『学習能力』って奴は。」
「それどころか、全員が、同じ歩調で進んでいます。本当に、厄介です事。」
「許さないもん……ニック君を……ニック君をを…………。」
ゆっくりだが、着実に同じ歩調で進軍する『樹木型魔物』共。路傍の石を踏みながら進む。
ある時事態が動いた……
それは、脚として機能している根っこが、倒れたニックに、触れた瞬間だった。
「せいぃっ！」
倒れたまま、無理な姿勢ながら長剣を、振るったニック。
「ＤｒｅＷｗｗｗｗｗ！」
ニックの長剣で、根の先端……人間で言えば、足の指を斬られた形の『樹木型魔物』。
「怒っ勢ぃっ！」
１０匹の『樹木型魔物』を、廃材に変えたラージャー。
「『奥義：双流剣』！ 死死ぃっ！」
こちらは、双剣で２匹の『樹木型魔物』を戦闘不能に、追い込んだディジー。
「『奥義：二重撃ち』！ 射ぁっ！」
ルプレに放たれた２本の矢で、『戦闘不能』にされた２匹の『樹木型魔物』。
「ニック！」
「ニック様！」
「ニック君！」
「大丈夫……『死んだ振り』を、していただけです。僕にもありますから。『学習能力』。」
「『封印』！」
ここで、ようやく、『封印』の詠唱を完成させたプ・シェイ。
「ＷＷＷｏｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ！」
「苦ぅっ！ 『種』とは言え、曲がりなりにも『魔王』かいなぁっ！ 抵抗激し過ぎやっ！」
勿論、こうした『魔術師』との『せめぎ合い』は、常識とも言える。
「ザコは、片付いたぜ！ 後は、『本体』だけだぜ！ 押し切れ！ プ・シェイ。」
「分かっとります。事前に、『増幅』までかけたんやけんどもなぁ……。」
「仕方ありません。最後の手段です。成功したら、『ご褒美』ですよ。プ・シェイ。」
「！ 『ご褒美』！ そう言う事なんやったら、『是非に及ばず』や！ ニックはん！
愛ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ！」
「ｗｗｗｗｏｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ！」
こうして、プ・シェイの手で、『封印』された『魔王』の『種』だった。
「ほな、約束通り、『ご褒美』、頂くどすえぇ。ニックはぁん。」
プ・シェイの唇で、唇を塞がれ、口腔内を舐め回されたニックだった。
＊ ＊ ＊
次回予告
第３７話 初めての人命救助
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