第34話 初めての小出し
「……ちゅう訳で、『濃霧』の『解除範囲』を『操作』しながら、ここまで戻って来たで。」
「プ・シェイは、『種』の『封印』。ラージャーは、周囲の警戒、迎撃指示、プ・シェイの直衛。ディジーさん、ルプレさん、僕は、迎撃。問題ありませんね。」
「『是非に及ばず』!」
全員の声が、唱和した。
「Wowwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww!」
「鳴きやがったぜ! 『種』の癖によぉっ! プ・シェイが、事前に言ってた通りかよぉっ!」
「予想の範疇内です。今、奴は周囲に放った『手下』共を、再招集しました。警戒して下さい!」
「『是非に及ばず』!」
全員の声が、唱和した。
「ルプレ! 右手だ。」
「射ぁっ!」
「Drewww!」
『濃霧』から飛び出したばかりの『樹木型魔物』に、出会い頭の矢が突き刺さる。
「『情報表示』……よし、『戦闘不能』を確認! まずは1匹。」
急ごしらえとは言え、それなりに機能するチームワークに、手応えを感じるニックだった。
「ルプレ! 左手だ。」
「射ぁっ!」
「DDrewwww!」
またも、『濃霧』から飛び出したばかりの『樹木型魔物』に、出会い頭の矢が突き刺さる。
「いけない。未だだ。ディジーさん。」
「承知! 死ぃっ!」
倒れ伏す『樹木型魔物』に、左右の手に構えた二振りの小剣で、とどめを刺すディジー。
「よし! 『戦闘不能』を確認!」
「次は、2匹だ。左右、ルプレ、ニック。」
「射ぁっ!」
「Drrrewwww!」
『濃霧』から飛び出した『樹木型魔物』2匹の内1匹に、出会い頭の矢が突き刺さる。
「せいぃっ!」
「Drrrewwwwww!」
こちらは、ニックが振るう長剣を、喰らった『樹木型魔物』。が、未だ倒れない。
「ルプレさん、完了。ディジーさん、僕を手伝って下さい!」
「はっ! ニック様! 死ぃっ!」
「Dreeewwwwww!」
ディジーの双剣を喰らって、今度こそ、倒れ伏す『樹木型魔物』だった。
「よし! よくやったぞ。ディジーさん。」
「今度は、3匹だ。ディジー、ルプレ、ニック、各々で対応!」
「投ぉっ!」
手斧を投げるラージャー。右側の『樹木型魔物』に、突き刺さった。
「死ぃっ!」
左側の『樹木型魔物』を、仕留めたディジー。
「射ぁっ!」
中央の『樹木型魔物』を、仕留めたルプレ。
「せいぃっ!」
手斧で、怯んだ右側の『樹木型魔物』を、仕留めたニック。
「3匹、完了。ラージャー、次は、何処から何匹です!」
手斧を回収して、ラージャーに渡すのは、ディジーの役割だ。
「残念な、お知らせだ。奴さん、戦力小出しの愚を悟ったらしいぜ。20匹くらいだな。その『濃霧』の向こうで、待機してやがる。一斉攻撃の命令を、待ってるって所だな。ニック。」
「ルプレ! 撃て! 霧の向こうは、敵だらけだ。狙う必要は無い! 撃て! 撃て!」
「わかったよ! ニック君。射ぁっ!」
複数本の矢を同時につがえて、放つルプレ。樹の幹に命中した音を響かせる。
「ひょぉ……一度に、2匹かよ……けど、なあ……2匹倒すと、3~4匹やって来るぜ。」
「陣形を組みなおす! プ・シェイの4方を囲むんだ。全員、プ・シェイの直衛になる。」
陣形を組みなおした所で、一斉攻撃を仕掛けて来る『樹木型魔物』共だった。
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