第32話 初めての『魔種』
あれから、保存食で簡単な、昼食をはさんで、ようやく『ある場所』に辿り着いた。
「これが、プ・シェイが、言っていた『森全体から感じる邪悪な気配』の正体ですか。」
「なんやてぇ……なして、こないなモンが、あるんや。『邪悪な気配』が、するの当たり前や。」
「おいおい、知っているのなら、説明してくれよ。アタイにゃ、さっぱりだぜ。プ・シェイ。」
「こいつは、『魔種』や。『魔種』ちゅうのはな、文字通り『種』や。これが、成長すると、『魔物』になるんや。」
「すると、3つ疑問がありますね。1つ、この『デモン・シード』は、どの様な『魔物』に育ち、如何なる『能力』を有するのか。2つ、現在の『進捗状況』ですね。プ・シェイ。」
「ん? 今、『3つ』って言ったよね。何で、『2つ』でやめちまうんだよ。ニック。」
「では、『種』とは、何なのか説明できますか。ラージャー。」
「そりゃ、あれだろ。花が咲いた後、できるもんじゃねぇか。ニック。」
「つまり、『デモン・シード』を生み出した『花』がある。それが、3つ目です。プ・シェイ。」
「ほなら、『3つ目』から、答えまひょ。それが、手っ取り早いわ。それはなぁ……。」
「おいおい、勿体着けんな。アタイにゃ、さっぱりなんだからよ。プ・シェイ。」
「『魔王』や。」
「おいおい……そりゃ、おとぎ話だろ。とっくの昔に、『くたばった』んだろ。プ・シェイ。」
「それなら、僕も知ってます。昔々、勇者に『倒された』って。その勇者の子孫が、この国の『皇帝』だとも。『皇帝』陛下のお陰で、平和を謳歌できているんだとね。プ・シェイ。」
「それは、間違いやあらへん。確かに、『魔王』は、『死んだ』んや。けど、『死んだだけ』どすえ。『滅んだ』訳でも、『消滅』した訳でも、おまへんのや。」
「え! それって、『魔王』って、『死』んでも『復活』できるんですか。プ・シェイ。」
「せや。これは、仮説やけど、前回受けた攻撃を、『覚えて』それに対する『完全防御』を、手に入れとるっちゅう話もあるんどすえ。後、『進捗』を聞いとりはりましたな。ニックはん。」
「そうですね。是非とも聞きたい所ですね。プ・シェイ。」
「因みに『あれ』が、『魔王』になるには、後数百年かかるやろうな。ニックはん。」
「そうなんですか。それでも、かなりの力を有していますよね。プ・シェイ。」
「そうやなぁ、『あれ』を生み出した『目標』は、『魔王軍幹部』を、生み出す事でっしゃろ。つまり、こいつは、『魔王』の『尖兵』なんどすえ。」
「成程、とすると、意外に『親切』ですね。『魔王』って。」
「おひおひ……そりゃ、『親切』って言うより、『迷惑』じゃねぇのかよ。」
などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。
「うーーん、今アタイら、生きて帰れるか、どうかって感じなんだがよぉ。なぁ、ニック。」
「自分が、『復活』した事と、これから、人間を『皆殺し』にするつもりだと教えてくれてますよ。それに、今ここで、こいつを『倒す』と、僕達『ヒーロー』になれます。」
「おひおひ……その『根拠なき自身』は、何処からでてくるんだよ。」
などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。
「その、『ポジティブシンキング』、アタイらにゃあ、真似できねぇよぉ……けど……。」
「そこに、シビレル! アコガレルゥ!」
唱和した2人の「流石、ニック!」は、「そこに、シビレル! アコガレルゥ!」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。
某奇妙な冒険とも無関係に相違ない。
「ほな、『あいつ』を、『封印』するさかい。それさえ済めば、この森も元通りになるさかい。ようするに、時間稼ぎよろしゅう。お二人さん。」
「よっしゃ! ようやく、アタイ好みの展開になったってもんだぜ! ヤるぜ! ニック。」
「是非に及ばず。」
ニックの一言が、合図であったかの如く一行へと一斉に襲い掛かる『樹木型魔物』共だった。
* * *
次回予告
第33話 初めての双子救助
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