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第31話 初めての森(探索編)

「前回、ここから森に入った……んです。どうか、おやっさんの事、お願いします。」

「ここまで、ありがとうございます。村長さんとも、話しましたが、彼を連れて帰る所までが、最低限の仕事になりました。では、行ってきます。」

「どうか、お気を付けて……。」

 ここで……ニックの口から、滑り出る呪文詠唱……そして……

「『ライト』! ……ふう……何とか、上手くいった。ようやく、学習の成果が、出た。」

「凄い……これが、『魔法』……初めて見た……。」

「流石、上達が、早いわ。あちきも、『魔力』を節約できて助かるわ。ニックはん。」

「……まあ、昼間とは言え、森は暗いからな。必要だから、仕方ねぇよなぁ……。」

 そんなやり取りをして森に入ったニック一行だった。そして、暫く進むと……

「こいつぁ、ひでぇや。人間を、『木』の養分に、してるって訳か。どうよ、プ・シェイ。」

「そうやな……後、1日遅かったら、手遅れっちゅう事やった所やな。」

「え! 生きているんですか。じゃあ、『木』を剥がせば、助かるんですか。プ・シェイ。」

「残念やけど、『生きとる』やのうて、『生かされとる』やな。この『木』を殺すと、おやっさんも、死にはりますなぁ。それくらい、微妙な状態どすえ。」

「でも、何か手があるんですよね。プ・シェイ。」

「せや、よう分かりはりましたな。ほな、ちと、準備するさかい、待っとたんせ。」

 で、地面に『目印』を用いて、フリーハンドで、正円、続いて五芒星を描いたプ・シェイ。

「凄い……相当な訓練が必要でしょうに。それが、『魔法陣』ですか。プ・シェイ。」

「せや、ニックはん。ほな、詠唱しますさかい。周囲の警戒よろしおす。」

 ここで……プ・シェイの口から、滑り出る呪文詠唱……そして……

「『精霊召喚:サモン・ウンディーネ』! ふう、こんなもんやろ。」

「……こっ……これが、『水精霊ウンディーネ』……『魔導学士』の力か。」

「ほな、行きいや、『水精霊ウンディーネ』! 木から水分を奪って、人間に譲渡や!」

 『水精霊ウンディーネ』による攻撃が、始まった。今まで、一方的に人間から奪うだけだった『樹木型魔物』は、始めて反撃を受ける。みるみるその姿が、干からびていく。

「ニック! 見とれてる場合じゃねぇぞ。『魔法』の勉強は後回しだ。」

「分かっています。今の僕に、不意討ちは、容易じゃありません。」

 一行を包囲するのは、地面から抜いた根で歩き、枝葉で襲う気満々の『樹木型魔物』だ。

「Trew!」

 枝による攻撃を身を沈めながら回避しつつ、低い姿勢で『樹木型魔物』の懐へと飛び込むラージャー。そのまま、伸び上がり様に、戦斧を逆袈裟に『樹木型魔物』へと叩き込む。

「Drewwww!」

 胴体を半ばまで、切断され、倒れ伏す『樹木型魔物』。

「おっと、危ねぇ。」

 下敷にならない様、横っ飛びしたラージャー。

「やはり、斧と樹木は、相性がいいらしい。なら、僕はこうする!」

 枝を叩きつける攻撃! 予想通りの行動の『樹木型魔物』。

 『麦踏』が、発動しました。……『長剣』のレベルが、上昇しました。

 が、その枝を、長剣で受けたのではない。長剣を叩きつけ、枝を傷つけたニックだった。

「Dreww!」

「これで、一本。切断でこそ無いが、使えなくなったな。勿論、僕からの反撃もある!」

「Drewww!」

 今度は、胴体をざっくり斬られた『樹木型魔物』。

「Trew!」

 最後の1匹が、襲い掛かる。狙いは、ニックだ。

 『麦踏』が、発動しました。……『回避』のレベルが、上昇しました。

「おっと、危ない。」

 今度は、『樹木型魔物』の攻撃を避けるニック。

「おらぁっ! こっちにも、いるぜぇっ!」

 ニックが、斬りつけていない最後の1匹へと、肉薄! 更に、戦斧を叩き込むラージャー。

「Drewwww!」

 またも、胴体を半ばまで、切断され、倒れ伏す『樹木型魔物』。

「後は、お前だけだな。村を脅かす『魔物』め!」

「ニック! 危ねぇっ!」

 ここで、倒されたふりをし、ニックを背後から、一斉に不意討ちする2匹の『樹木型魔物』。

 『麦踏』が、発動しました。……『不意討ち耐性』のレベルが、上昇しました。

 『麦踏』が、発動しました。……『不意討ち耐性』のレベルが、上昇しました。

 『麦踏』が、発動しました。……『回避』のレベルが、上昇しました。

 『麦踏』が、発動しました。……『回避』のレベルが、上昇しました。

「おっと、危ない。」

 危なげも無く、『樹木型魔物』の、2回攻撃を避けるニック。

 更に、死んだ振りをしていた2匹に、とどめを刺したニックと、ラージャー。

 本当に、最後の1匹になった『樹木型魔物』。が、やぶれかぶれの攻撃をして来た。

 が、ニックと、ラージャーの攻撃の前に、成す術なく撃破された『樹木型魔物』。

「ふぃーーっ。終わったぜ。大丈夫か。ニック。」

「終わったようどすなぁ。こっちも終わりました。怪我は、ありんせんか。お二人さん。」

「はい。大丈夫です。二人共。」


 * * * 



次回予告

第32話 初めての『魔種』

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