第27話 初めての『魔法』講義 その1
「では、先生。本日は、宜しくお願い致します。『魔法』を教えてください。プ・シェイさん。」
「アタイ、パスな。ニック。」
「休むなら、今晩は、『おあずけ』ですよ。ラージャー。」
「うぞぉぉぉぉーーっ! ひどいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ! ニックは、イジワルだぁっ!」
「前置きが、長くなりました。さっさと、始めて下さい。先生。」
「ほな、始めまひょ。『魔術理論講義初級編』どすえ。よろしゅう。」
「ダミダぁ……アタマ、イタくなってきたぁ……もう、オボエきれねぇ……。」
「まずは、『魔術』と『魔法』どすえ。何れも、自身の『魔力』等を基礎に、『世界法則』を『操作』する手段に、相違ありまへんどすえ。が、決定的な違いが、1つあるんや。
『魔術』は、『術』でありんす。それに対して、『魔法』は、『法』……法則でありんす。
『術』である以上、『魔術』は、学べば誰でも行使可能どすえ。
『法』である以上、『魔法』は、天賦の才無き者、習得不可能どすえ。」
「へぇ……そんな違いが……でも、現在では、一緒くたに『魔法』と呼ばれていますよね。」
「勿論、有識者は、その様な事せぇへんどすえ。ニックはん。」
「それもそうですね。続き、お願い致します。先生。」
「ちなみに、『固有スキル』も、『魔法』の一種どすえ。それは、未だに『発動原理』を、説明できた者が、おらんちゅう事からも明らかや。『魔術』は、研究が進んどりますがな。」
「言われて見れば、僕もどうやって使っているか、説明できません。使えると思って、使おうとすると、できてしまいます。そう言う事ですか。先生。」
「そう言う事や。ニックはん。ほな、次行きまひょ。
『魔術』には、習得難易度に応じた『級』と、対応する職業が、存在しはります。
それは、『初級』『中級』『上級』『弩級』『超級』の5つどすえ。
それぞれ、習得には、『前提条件』が、あるんや。
『初級』:知力10、『魔術理論』1レベル、職業;『魔術学士』
『中級』:知力12、『魔術理論』5レベル、職業;『魔術師』
『上級』:知力15、『魔術理論』10レベル、職業;『魔導学士』
『弩級』:知力20、『魔術理論』20レベル、職業;『魔導士』
『超級』:知力25、『魔術理論』30レベル、職業;『大魔導士』
ニックはんは、知力12、『魔術理論』0レベルなので、習得不可どすえ。
これは逆に言えば、『魔術理論』さえ、習得すれば、『魔術』を習得行使可能どすえ。」
「僕が、欲しい『魔術』は、プロパティ、ライト、ボイル、キュアあたりですかね。」
「ほなら、全部『初級』どすえ。『魔術理論』さえ習得すれば、なんとかなるどすえ。」
「えぇーーーーっ! それじゃ、ニックは、『魔術師』になる気かよ! 戦士にならないのかよ! 浮気者! 裏切者! 後脚で、砂かけられたぁぁぁぁぁっ!」
「僕が、目指すのは、『魔術戦士』。このパーティーでは、それが一番しっくりきます。」
「ほなら、筋力が、1点不足。『魔術理論』は、後5レベルや。ニックはん。」
「筋力は、次のレベルアップまで、おあずけですね。『魔術理論』は、勉強と余剰スキルポイントで、何とかします。ん? そう言えば、お二人の『固有スキル』は、何でしょう。」
「そう言う事なら、アタイからだ。『空間認識』って言うんだよ。
以前、言ったよな。暗闇でも『視える』ってな。あれ、ちょっと違うんだ。アタイは、あらゆる物の『輪郭』が、『視える』んだ。これは、目を瞑る事で発動するのさ。」
「へぇーーそりゃ、凄い。その『能力』で、『視る』事ができたんですね。ラージャー。」
「ほな、あちきは、『魔術使い』どすえ。せやから、あちきは、『魔術師』なんどすえ。
これは、ある特定の『魔術』を1つ指定し、それを習得したかの様に『行使可能』なんや。ちなみに、持続時間と、1日1回までっちゅう『制限』もありはるけどな。ニックはん。」
「凄いなぁ。でも、高度な『魔術』は、『魔力消費量』が嵩む筈ですよね。プ・シェイさん。」
「せやさかい、『修得扱い』にしても『使えへん』事もあるんや。ニックはん。」
この辺りで、『魔術理論講義初級編』は、終了となった。次は、中級編だ。
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次回予告
第28話 幕間5
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