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第2話 初めての講義 『冒険者』、『冒険』とは

「そうだな、5年前に、俺が村から旅立った時以来だな。で、お前の手紙なら読んだ。お前の熱意だけは、伝わった。お前は、そんなに冒険者になりたい訳だ。ニック。」

「そうだよ、アニキ! 僕もアニキみたいな冒険者に、なりたいんだよ!」

「まあ待て。お前は、勘違いしている。それも2つだ。それを正す必要があるな。」

「……え……『勘違い』って、何だよ。アニキ。」

「まず、『冒険者=成功者』じゃあないんだよ、ニック。」

「でも、アニキは、成功してるじゃあないか。メイドを何人も雇った上、屋敷まで持ってる。」

「違う! それは違うぞ! ニック。俺は、『成功した冒険者』だ。つまり、『冒険者』が、全員『成功者』って訳じゃあない。それが、『勘違い』、その1だ。」

「でも、すげぇじゃないか! 僕だって、やればできるよ! アニキ!」

 ここで、右手の掌を掲げて『落ち着け』との意思を示すアニキ……ケヴィン。

「今日は、お前に『冒険者』とは何か。それを教えてやる。よく聴くんだ。ニック。」

「……うっ……うん。分かったよ。アニキ。」

「まず、『冒険者』の、仕事だ。それは、『冒険』する事じゃあない。」

「え? 『冒険』しない『冒険者』? 何だい、そりゃ。アニキ。」

「この国には、『騎士』もいれば『兵士』もいる。『衛士』って言う犯罪者を、取り締まる連中もいる。だが、連中は、基本積極的に、仕事をしねぇ。何故だと思う。ニック。」

「えっ……えとぉ……そのぉ……分からないよ……。アニキ。」

「そうか、これは街に住む者なら、『常識』だ。連中は、仕事をしても、しなくても、収入が、変わらない。戦争でもおきりゃ別だが、この国に喧嘩を売る国なんて、そんな奴いねぇよ。」

「えっ……そ、そんな! それじゃ、誰が、魔物や山賊から守ってくれるんだよ! アニキ。」

「だからだよ。そこに、俺達『冒険者』が、働く『余地』がある。分かるな。ニック。」

「あっ……そうか。それって、馬車の護衛とかやってるんだよね。」

「そうだ。が、他にも仕事はある。仕事の種類を数えたら、きりがねぇ。何しろ街の人口が、10万人もいるしな。で、問題だ。馬車の護衛は、『冒険』だと思うか。ニック。」

「えっ……そりゃあ、『冒険』だと思うよ。アニキ。」

「それも『勘違い』だぞ。いいか、『冒険者』は、基本『冒険』しちゃいけねぇ。ニック。」

「え? 『冒険者』が、『冒険』しちゃいけない? 何だい、そりゃ。アニキ。」

「いいか、『冒険』ってのは、『危険』の事だ。『剣の刃を渡る』様なもんさ。だから、滅多に『冒険』なんてやらない。『冒険』ってのは、『夢』じゃねぇ。『危険』だ。ニック。」

「わ……分かったよ。『危険』を冒しちゃいけない。だから、『冒険』もしないんだね。でも、『慎重』なだけで、アニキみたいに、成功できるの。成功の秘訣って何?」

「確かに、その話しもしておかなきゃなぁ。だが、話しには順序がある。いいな、ニック。」

「うん! お願いするよ。アニキ。」


 * * * 



次回予告

第3話 初めての講義 『冒険者』になる方法

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