第1話 初めての追放
「残念ながらお前には、適性が無い。今すぐ、俺のパーティーから出て行け。」
「そっ……そんな! アニキ! 僕だって、できるよ。アニキに、出来たんだろう。」
* * *
時は、一か月程遡る。
「すっ……げぇ……ここが、アニキの家……じゃなくて、屋敷かよ……。」
いわゆる『おのぼりさん』特有の、驚愕と好奇心の入り混じった貌になる主人公だった。
勿論、通行人の目も生暖かい物だったが、それに気付く余裕も無い。
「……おっと、いけねぇ……ドアノッカーあんじゃん。」
扉を叩こうと、手を振り上げて、思い留まる主人公だった。そして、ドアノッカーを使う。
ややあって……
「どうぞ。お入りください。」
中から女性の声が、やって来た。その声に従って、屋敷に入る主人公。
中は、こじんまりとしており、奥へと続く扉と、適切かつ愚かな例えをするなら、映画館のチケット売り場の様な設備がある。その受付にいる女性が、口を開いた。
「本日は、『レキシントン冒険者隊本部』へようこそ。どの様なご用件でしょう。」
「……え……えっと……初めまして。僕、ニックです。ア……ケヴィンさんに会いに来ました。」
受付嬢の美貌に見とれて、会話がスローになってしまった主人公……ニックだった。
「ニック様……予約表に、記載がありますね。少々お待ちください。」
受付嬢が、何か操作したのか屋敷の何処かで、鈴が鳴っている。そして、暫し待つ。
「大変お待たせしました。案内させて頂きます。」
ノックの音を伴って現れたのは、メイド服を着用していた。
「……ひゃ……ひゃい……。」
今度は、メイド服の美貌に見とれて、かんでしまったニックだった。
「うわぁ……褐色肌のメイドさんだぁ……せもでかいし……すげぇ、おっぱいだぁ……。」
等と言う黒歴史でしかない無駄口など叩かないニックだった。
メイド服の案内により、『マスターズ・オフィス』まで、辿り着いたニック。
「『マスター』、お客様……ニック様をお連れ致しました。」
ノックの音に続けて報告するメイド服。ほぼ間を置かず、中から声が響く。
「入れ。」
「失礼、致します。」
扉を開いて入室するメイド服と、ニック。ニックの入室直後に、退出するメイド服。
「アニキ……久しぶりだね。」
* * *
次回予告
第2話 初めての講義 『冒険者』、『冒険』とは
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