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双子の妹と両思いだったので二人暮らしすることにした

作者: 妹萌え紳士

「今から緊急家族会議を始める」


俺が放った言葉を皮切りに、俺の部屋にいた妹の顔が強張るのを確認した。

まあ緊急家族会議と言っても、兄妹で話し合うから正しくは兄妹会議なのだろうが。


「急に改まってどうしたの美影?」


そう言ったのは双子の妹の霞である。

確かに急かもしれないと我ながら思ったが、この問題に関しては早急に解決しなければならないと思った次第。

そのことを伝えると霞が不思議そうに言った。


「何か問題があったかしら?私たちの兄弟仲は至って良好。どちらかが用事があるとき以外は互いの部屋に入り浸るし一緒に寝ることもある。別に問題があるようには感じられないのだけれど?」


どうやら霞は事の重大さに気が付いていないらしい。


「知ってるか?世間一般の兄妹は互いの部屋に入り浸ることもなければまして一緒に寝ることなんてありえないらしいぞ」

「そうなの?」


続けて知らなかったと言っているが、実際俺もこのことを知ったのはつい先日のことである。


「どうやらそうらしい。普通の兄妹は思春期になると下着は別々で洗い、顔も合わせたくなくなると何かの記事で読んだ」


普通の兄妹はそもそも互いに干渉したくなくなるという文を見たときは、さすがに嘘だろと思ったものだ。


「その記事がでたらめな記事を書いている可能性は?」

「それはたぶんあり得ない。まさかと思って兄妹のことについて書いてあるサイトを徘徊したところ、どうやら本当のことだと思われる」


俺らのような兄妹もいるかもしれないと躍起になって探したが、俺たちのように仲が良すぎる兄妹はゼロといっても過言ではなかった。


「そうなのね。でも他の兄妹が仲が悪いからと言って、私たちには一切関係ないわ。私たちは私たちの兄妹道を歩めばいいもの」

「兄妹道がなんなのか分からないが、それについては同感だな」


そのことについては俺もそう思う。


「それなら、なぜこのような話をしたの?」


もったいぶらないで教えてよと急かすので、俺はこの話の本題を話すことにした。


「実は、この事実が判明した時にふと思ったことがあってな。俺らは兄妹なのに仲が良すぎる。そこで本当に霞に抱く感情が家族に対する感情なのか考えたんだ。学校にいるときは常に霞のことを考えながら授業を受けて、霞が笑ってくれた時は落ち着かなくなって、終いには一緒に寝るときなんてめちゃくちゃドキドキする」

「....」

「そうやっていろいろ考えてるうちに、一つの仮説が思い浮かんだ」

「.....その心は?」



「俺、現在進行形で霞に恋してるわ」



そう口にした後、今まで想っていた霞への感情があふれ出した。


「家族なのに、双子の妹なのにと思いながら葛藤するたびに、幼少期の霞から今の霞に至るまでの思い出が、俺の脳内に駆け巡った。

俺の脳内は、霞との思い出でいっぱいだ。

それほどまでに霞のことを愛していた事実を知って、俺は羞恥を覚えるよりも先に、なんだかほっとしたんだ。

ああ、この娘を愛してよかったなと。

この娘とずっと一緒にいれてよかったなと。

自分でもくさいこと考えてるなと思ったけど、そんなことしか考えられなかった。

別に告白に対する返事は求めないし、なんなら一発殴ってくれてもかまわない。

だからこれからも、兄妹として一緒にいてくれないか?」


真っ赤になっているであろう自分の顔を恐る恐る霞の方へ向ける。

そこには、俺と同じくらいか、それ以上に真っ赤にした顔をこちらに向けながら見ている霞の姿があった。


「.....実は私も、たまに考えることがあった。もし美影が私の夫になって、家庭を持つことになったらどうなるのだろうって」

「.....へ?」


まさかの言葉が聞こえて俺は思わず素っ頓狂な声を上げることしかできなかった。

そんな俺のことなどお構いなしに霞は続ける。


「その妄想は、今までに感じたことがないくらいの幸福で満たされていた。胸がドキドキして、それでいてどこか夢心地な気分になったの。さっき美影が言っていた言葉が正しいなら、私も美影に恋をしているのだと思うわ」


そう口にすると、霞は耐えられなくなったのか赤い顔を隠してその場にしゃがみ込んだ。


「まさか俺たちが両想いだったなんてなぁ....」


そう言わずにはいられなかった。

何億と居る人間の中で、霞と両想いになるには一体どれだけの確率だったのだろうか。

ましてや双子の兄妹だぞ?

奇跡としか言いようがない。


「でも、私たちが双子の兄妹だからこそ、こうやって互いを好きになっていたのかもしれないわね。そう思うと、美影と私を兄妹で産んでくれた両親には、感謝してもしきれないわ」

「双子だからこそ互いの趣味嗜好が似るし、分かり合えるということか」

「そういうこと」


確かに俺たちが兄妹じゃなかったらと考えると、一生のうちに接点を持つ人物数が全人口の約0.0004%と言われる時代に、霞と出会えるなんて奇跡に等しい。

もし出会っていたとしても、容姿端麗、文武両道、品行方正である霞と親しくなれる可能性なんて、ほとんどゼロなのではないだろうか。

そう思うと、なんとも言えない虚無感に襲われた。

この事を伝えると、どうやら霞も同じことを考えていたらしい。


「やっぱり私たち双子ね」

「そうだな」

「そうなの」


そう言ってお互いまだ赤い顔を向けて、笑い合った。

この話をする前は、受け入れてもらえないと思ったけど、さすがは双子。

考えることは同じで、すぐに受け入れてもらえた。

その事が嬉しくて、霞を自分の方へと抱き寄せる。


「......美影?」


困惑したように声を上げる霞だが、徐々に俺の抱擁を受け入れてくれる。


「もう、甘えん坊さんなんだから」


と言いつつも離すまいと力一杯に俺を抱きしめてくれる霞が愛おしい。

やっぱりこの娘が好きだなぁと思うと同時に、これからどうしていくのが良いのか、考える。


「俺たちは兄妹。妹との結婚は日本ではご法度なんだよなぁ」

「だったら、海外で結婚すれば良いじゃない。こんなに愛し合っているんだもの。きっとお母さん達は了承してくれるはずだわ」

「確かに、それが一番手っ取り早いかもしれん」

「でしょ?」


褒めて褒めてと言わんばかりに頭を突き出してくるので、抱擁と同時進行で頭を撫でてやる。


「.....むふぅ」

「可愛すぎかよ」


可愛すぎて考えることを放棄しそうになるが、まだ問題が残っている。


「海外で結婚するのはいいとして、そこに住むための資金源はどうする?流石に母さん達に頼むのは気が引ける」

「確かにそうね.....」


そうなのだ。

海外に住むとしても、多額のお金がかかる。

それらをどうやって集めるか、それが問題なのだ。

働こうにも俺たちは大学をまじかに控えた高校3年生。

バイトをしようにもまだ学生なので、あまり期待できない。

何かいい方法はないのかと考えを巡らせていると、霞がこんな案を出してきた。


「MuuTuberなんてどうかしら?ほら、歌ってみたとかの歌う系の動画なら学生でも簡単に始められそうじゃない。それに、自分で言うのもなんだけど私たちの容姿はモデルと比べても良い方だと思う。顔出しすればそれだけで見てもらえると思うのだけれど......」

「それ採用」


俺は迷うことなくその案を採用した。

実はMuuTubeには前々から興味があったのだ。

忙しいながらも、どこか楽しそうにしているMuuTuberを見て、やってみたいと思っている自分がいた。

しかも、それを霞とできると言うのだ。

これは採用しない手はない。


「でも歌ってみたをやるとしたら、流石に実家でやるのは迷惑かしら」

「確かにそうだなぁ」


問題を解決するとまた次の問題が現れる。

だが、これに関してはすぐに解決することになった。


「だったら、二人暮らしをすれば万事解決じゃない?」

「......母さん」


そう。

俺たちの親が乱入してきたのだ。

なぜここにという疑問が湧くのと同時に、どこまで聞かれていたのかヒヤヒヤしていると、霞がそれだわ!と大きな声で言った。


「二人暮らしなら、お母さん達に迷惑かけないし、何より美影と2人で暮らせるもの。まさに一石二鳥だわ」

「そうそう。二人暮らしをすれば今までお互いが知らなかったようなことも分かるかもしれないし、何より私たち両親がいない方がイチャイチャできるもの。もっと愛を深められると思うわぁ」


親として、そんなに楽観的で良いのかと思うが、この提案は俺たちにとってとても大きいものになる。

まだ俺の知らない霞のことをもっと知りたいと思うし、霞もそう思っているはずだ。

この提案をしてくれた母さんには、感謝してもしきれない。


「母さん、俺らにここまでしてくれてありがとう。そのかわりと言ってはなんだけど、俺たちがMuuTuberとして成功したら、母さん達が行きたい場所とか一緒に旅行しよう」

「あらぁ、それは嬉しいわねぇ」


そう言う母さんを見て、俺たちは笑い合った。

これからどうなるのか分からないけど、霞とならどんな苦難も乗り越えていける。

そして、その先に待っている幸せを、霞と一緒に過ごしていく。




「美影、大好きよ」



「ああ、俺もだ」



そう言って、俺たちは抱き締め合うのだった









ここまでお読みいただきありがとうございました。


初投稿なのでかなり短めの文章になったのですが、いかがでしたでしょうか?


もし反響があれば続きを書く予定なので何卒よろしくお願いします。

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