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ゆりたちの交換日記  作者: 日々一陽
第1章 みずいろの贈り物
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第8話

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 6時限目が終わると、今日残るは部活動説明会だけ。

 クラスメイトはめいめい席を立って教室を出て行く。

 千鶴も会場の体育館に向かうべく立ち上がった。


「ところで、千鶴さんはもう決めた?」


 結希さんも一緒に立ち上がる。


「決めたって?」

「決まってるでしょ、部活よ」


 ふたりは並んで歩きだす。

 令女の部活動は基本、中等部と高等部合同だ。そのため中等部のときの所属のままという人も多い。それでも、この説明会は中高一年生の全員参加だから、紹介する方にも力が入っていて、工夫を凝らした紹介が多くて面白いらしい。


「う~ん、深く考えてない」

「文化系? 体育会系?」

「体育会系はなナシかな」

「どうして?」

「時間的に厳しいし、今から始めるのはちょっと」

「大丈夫よ、令女の部活は活動日も決まっていて、そんなに拘束されないし、初心者大歓迎のところもいっぱいあるわよ」


 結希さんの言うとおり、令女ではほとんどの部活動が週の半分程度しか活動しない。だから、日程さえ合えば掛け持ちだって可能だ。


「そっかあ。でもやっぱり帰宅部にしよっかな」

「だったらさ、一緒に新聞部はどう?」

「新聞部? 結希さんって陸上部だったんでしょ?」

「なんかね、正直、限界が見えたの。後輩にも負けちゃったし。それより新聞部、面白そうじゃない?」


 令女の新聞部は「さくら新聞」と言う名の学園紙を隔週で発行している。「突撃・となりのお弁当」とか「ルージュをのろけろ」とか「当たるも八卦の星占い」とか、常識に囚われない記事がいっぱいで、令女の生き字引さんはここ1年分を1部残さずファイリングしていると豪語する。話題の号は増刷がされるほどの人気を誇り、さくら新聞フリークも多いらしい。


「そうねえ、確かにさくら新聞は面白いと思うけど……」


 かく言う千鶴も最新号に載せてもらっていた。「新学期特別号」と称したその巻末に小さな写真と一言コメントが載っている。合格手続きの日にインタビューを受けた。勿論、千鶴だけが特別ではない。高等部から入った外部生は全員載っているのだ。


「私にはあんな突撃取材は出来ないと思う」

「そんなことないわよ。いけるって」

「「ゆっき!」」


 すでに一端いっぱしの新聞部員気取りで勧誘を始めた結希さんに、背後からお声がかかった。

 そこには千鶴の知らない二人組。「すまない」とばかりに千鶴を拝んだ結希さんは、彼女たちに半ば強制連行されていった。ぽかんとそのさまを見守る千鶴。


「あれは去年の同じクラスのお仲間よ。結希さんはお友達が多いですから」


 今度は千鶴の背後から別の声がかかった。

 振り向くとそこには「金色の姫君」こと、佐木絵里花さんの綺麗なお顔があった。



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