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お姫様のワガママ『見守る先にある大切な物(えがお)』

少しだけ加筆しました。


「あのね…ソーマしゃん…アリシアのワガママ聞いてくれましゅか?」



先程まで、わんわん俺の胸の中で泣いていたアリシアは、泣いたことで少し落ち着いたのか…腕の中から俺をチラッと見てそう言ってきた

しかし、やはり自身のワガママを俺に話すことが心苦しいのか少しうつむき加減で、俺の顔色を窺うようにして見上げてくる


本人は無意識の行動なんだろうが…そのかわいらしい顔でそのしぐさは反則だ

少し俯き加減で見上げる瞳は涙に濡れていて、濡れて輝く瞳はなんだか幻想的だ




「ああ、お姫様の仰せのままに…俺に出来ることなら何でも言ってくれ」



と、少しだけおどけた様子で、腕の中のアリシアを見下ろす

なんだかアリシアが俺のことをぽーっと見上げているのがちょっと謎だが…


俺は何も言わず俺のことを見上げるだけのアリシアの頬をぺちぺち叩き



「どうした?アリシアそんなにぼーっとして…俺になんか頼みごとがあるんだろ?」



と、言ってワガママの内容を話すように催促する


するとその言葉にアリシアははっとして…



「そうでしゅ!アリシア…じいやたすけてほしいでしゅ…

もうあえないでしゅが…じいやをてあてしてほしいのでしゅ」



そう言って俺の服の袖をきゅっと握りしめる

そして、その手が震えているのは、王族の娘が願ってはならないワガママを望んでいることによる罪悪感からだろうか?


こんな小さくても一国の王女なんだな…


俺はこんなにも小さな体にのしかかる王族という肩書の大きさに、言葉で言い表せない息苦しさのようなものを感じた

それと同時に、俺だけはこの子が気兼ねなくワガママや弱音を吐きだしてもらえるような存在でありたいと、確かにそう思った



「そんなことならお安い御用だ。他の盗賊たちはダメだが…あの爺さんは別だ

とりあえず歩けるようにはするから安心しろ…なっ?」



俺はアリシアを安心させるため、軽く笑顔を浮かべ、そのだき抱えた小さな頭を撫でる

そしてこくんと小さくアリシアが頷いたので…その体を抱き上げ、一番近くにいたヒナにゆっくりと落とさないようにアリシアを受け渡す



「つー訳で、俺はあの爺さんのところに行ってくるから…アリシアのこと頼むな

一応もしものときは大声で俺を呼んでくれ。そしたら俺がなんとかお前たちを守るから」



俺はそれだけを伝えると、爺さんが倒れているであろう場所に駆け出そうとする

しかしそれを…



「ちょっと待ってください!」



と、叫ぶヒナの声によって阻まれてしまう。ヒナが俺の右手を掴むというおまけ付きで…


なんだよ?と思いヒナのほうを見ると…

彼女は何かを見極めるかのような目でこちらを見ていて、俺に思い切った様子で質問をしてくる



「まず、はじめに疑問に感じていた事なのですが…

あなたは一体何者なのですか?先ほどの攻撃といい、その最初と打って変わった態度と言葉遣いといい…

私にはあなたと先ほどの人物は別人と言われたほうがまだしっくりきます

それに…なぜあなたはただの依頼主であるアリシアさまにここまでしてあげるのですか?あなたへの依頼はアリシアさまの護衛だけのはずです。それをどうして?」



ヒナはそう言うとじっと真剣な顔で俺のことを見つめてくる

はじめ、テキトウなことを言ってはぐらかそうかとも考えたが…その真剣な瞳を見て、そうするのは止めることにした


ちょうどアリシアもその疲れから、ヒナの腕の中で眠ってしまったので都合がいい



「そうだな…まあ特に大した理由なんてないが…

最初の方の質問の答えは、んなもん知るかってところだな

別に俺自身特別何かが変わってるとは思ってないが…しいて言うなら、こっちの方が素なのかもな

んで、アリシアについて、なんで頼まれてないのにこんな事をしているのか?だったか?」



と言って、俺は一応聞いている内容が間違っていないかをヒナに尋ねる

するとヒナは「はい、そうです」と頷き



「あなたの人格的な事はこの際置いておくことにします…

それよりもその通りです。あなたとアリシアさまは、今日初めて出会い、関わりを持っただけ…

いわばただの知り合い程度の関係と言えます。

それなのにあなたは、アリシアさまのことを二重の意味で助けました。

一つはアリシアさまのその身を守るため、そしてもう一つはアリシアさまの心を守るため

一つ目は護衛としての役割と言えばそれまでですが、あなたはただの『監視役』でありその義務はございません

そしてもう一つの方は、全くあなたの役割とは関係ない事です。それをあなたは……」



ヒナはそう言うと、ジッと真剣な目をして俺の返答を待つ

そして、俺を捕まえている右手は答えてくれるまで絶対に離さないと言わんばかりに強く握られている



俺はその真剣な瞳を間近で見て、困ったなと心の中で苦笑してしまっていた


別に当の本人、アリシアはスヤスヤとヒナの腕の中で眠りについているので、聞かれるのが恥ずかしいとかはないのだが…


そこまで理由という理由はなく、ただの気まぐれだと答えようと思っていたのだ

しかしその真剣な瞳を見ると、そんな答えでは納得はせず、俺の手を離してくれはしなさそうだ



それでも何も言わなかったり、はぐらかすよりはまだマシか…と思い、少しだけ俺の想い、その考えを織り交ぜてヒナにそのワケを説明する



「そうだな…別に特別何か理由があったという訳ではないが…

そうだな、話は変わるが…子供って可愛いよな

それはさ…笑顔だったり、仕草、態度であったり

何気ない日常の1ページでも、なんだかホッコリさせられたりと色んな事で」



「な、何を言ってるのですか!今はそんな話をしてはいません!

なんですか!あなたはアリシアさまをそういう目で見て、助けようと考えたのですか!

そんな事であれば、即刻……!」



俺の話の途中までしか聞かず、ヒナはそう言って真剣だった瞳をまるで性犯罪者を見るかの如き視線に変えて、ジトっとした瞳で俺のことを見てくる


ああ!めんどくさーなコイツは!

俺は内心、テキトウにこの話を切り上げたくなったが…

まあちゃんと話せば理解するだろうと考え、脱線した話を少し軌道修正する



「まてまて、なんでそういう結論になる

そうじゃなくて!そんな子供がだ…そんな周りを笑顔にしてくれる存在であるはずの子供が、ただ王族であるというだけで『あれもダメ、これもダメ』と、そんな風に言われて、我慢を強いられていたら…その子は笑顔になれないだろ?

確かに王族の娘であれば、たくさんのことを犠牲にして我慢していかないといけないことは理解している

それは市民よりも保障された生活をしているのだから、そうなってしまう事も仕方ない部分もあるだろう

けどな?それはその子が笑顔になってはいけないって事じゃないと思うんだよ

たとえ色んな所からの圧力や立場で、ワガママや泣き言が言えない事があって…アリシアが笑顔ではいられない事もあるかもしれない

でもそれを王族の娘だからって理由で、それを当たり前のように押し付け続けるのは間違いだと俺は思う」



と、俺がそう言うと、再び真剣な目に戻ったヒナは「なるほど」と噛みしめるように呟き、続きを話すように俺に促す


俺自身は、ゲームの中のNPCに何をここまで真剣に話しているのだと、内心では苦笑しながらも…本当の人間、生身の人間ではないからこそ本当の自分の意見、その考えをありのまま伝えられるような気がした



「だから、俺が…俺だけであってもアリシアを笑顔にできるように、その笑顔を守れるようになればいいなって思ったんだ

それは別にアリシアに気に入られて報酬を貰おうだとか、王族に取り入ろうとかそういう考えじゃない

俺がそうしたいから、俺自身がアリシアを笑顔にして、それを見守れるような『監視役』でありたいから、こんな事をしてたんだよ

どうだ?これで俺を離してあの爺さんの所に向かわせてくれるだけの理由になるのか?」



俺はそこまで話し終え、少しだけおどけた様子でそうヒナに尋ねると

ヒナはパッと俺の右手を離し、俺の体を爺やの倒れている方向、そちらに離した右手でグイッと押し、俺からヒナの顔が見えないようにしてくる


なんだ?

と思い、ヒナの振り返ろうとするも



「もう行ってください!あなたの言い分は分かりましたから

結局はあなたは幼女の笑顔のために頑張る、ロリコンさんであるという話なのですね!

さっ!早く幼女さまの笑顔のために頑張りに行ってください!」



ヒナはそう言うと、俺の背中を早く行けと言わんばかりにグイグイと強引に押してくる



おい!絶対誤解してるだろ!

俺はそう思い、抗議のために振り返ろうとして…

それをやめた


なぜなら、チラッと少しだけ見えたヒナはほんのり赤くなった顔で…



「でも…そんな風にひとりの子供のために一生懸命なれるあなたは…とても素敵な男の人ですよ…ソーマ」



振り返ろうとした俺の耳元でそのようにコソッと呟いたからだ



初めて呼ばれた『ソーマ』と言う名前、そしてその少しだけ恥ずかしそうに頬を染めた様子にドキッとさせられてしまう


それには流石に俺も素の反応が出てしまい、つい顔が赤くなってしまう


そんな風にヒナの耳元での呟きにドギマギした俺は



「そ、そうか…ありがとう…ヒナ

お、俺もう行ってくる!」



と、言って赤くなった顔を隠すように逃げ出すしか出来なかったのだった…

なんか話があんま進んでないような?

まあ、次くらいには街に帰れたらなぁ(願望)


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