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第一章 魔物の国 1

目を開いた。


光が滲み、世界が虹色に見えて不思議な感覚だ。


視界が悪い。


視力が落ちたのかもしれない。


確か……王子っ!!



「ぁ……っ……ぁぅ……」



声が出ない……!?


そういえば、俺は首を……。


ギリギリ助かった、というところか。


いや、それに王子は死んでいた。


この命が助かったところでなんの意味も価値も無くなったのだ。


まさか、我々が守ってきた国民に見放されるとはな……。つくづく、意味のない人生だった。


視界が悪いところをみると長い間眠っていたのだろう。


体もほとんど動かない。


近くで物音がする。


多分、俺を助けてくれたものだろう。


よく、あの状態で助かったものだと自分のことならがら驚く。礼を言わなくては。


王子を失って、これからどうすればいいのか……これからそれを考えていかなくてはならないな。


目が光に慣れてきたのか、だいぶ視界がはっきりしてきた。視力を失ったわけではなさそうな事に安堵する。


ど、どこだ、ここは。


どうやら森の中のようだ。


かろうじて屋根と呼べるのか怪しい葉が見える。壁はない。


あの国は森が極端に離れた場所にあるため、かなりの距離を運ばれたのか。


植物の全てを知っているわけではないが、この場にある植物を俺は知らない。


つるのようなくきに丸い葉が付いているものや、剣のような形の植物が見える。



「○○○○○○」



なんだって?


ダメだ。聞き取れない。


酷いボロ着をきた女性が俺を覗き混んで何かしゃべっている。大事な部分をかろうじて獣か何かの毛皮で巻いた程度の服だった。


それにしても全く聞いたことのない言語だ。


彼女が辺りを警戒している事だけはわかった。


俺に喋りかける言葉はかなり小さい声だし、後ろを振り返ったりとビクビクしている。


女が俺を持ち上げた。


ば、バカな。


俺はかなりの重量だ。物が食えてないのかかなり痩せたこの女性に俺を抱える事など出来るわけがない!


いや、長い間眠りについていたから、いくらか体重が落ちているのかもしれない。


動きづらい手を動かして、自らの手を見た。


なん……だこれは。


小さな手。


上手く握れない。


これは、なんの冗談なんだ。頭がイカれたのか?


腹が減り、本能的に女性の乳をもらいながら事態を理解し始めた。


俺は、どういった原因かは不明だが、赤子あかごになってしまったようだ。

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