表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶の先に  作者: ひめここ
8/24

変化と不変



第8話 変化と不変



結婚して10年が経った。

彼は結婚当初の姿とはまるで変わっていた。

まず、白髪が凄く増えた。しわも実年齢にしてはありすぎるくらいだった。

体は痩せていて、ほほも少しこけているような様子だった。

休みがほとんどないくらい、彼は外に働きに行っていた。

帰ってくると、ご飯を食べる気力もないのか、シャワーを浴びてすぐにベッドに横になり寝てしまうことが多かった。

比べて自分の容姿はこわいほどに変わらない。変わったことといえばこの前一本だけ白髪が生えているのを発見したことぐらいだ。他は顔も体系も何一つ変わっていないように見えた。でもそれは事故による体の変化の副作用かなにかだろうと、すぐに気にすることはなくなったのだった。


彼のやつれた姿があまりにも辛そうで、私はこんなことを言ったことがある。

「頑張りすぎだよ。次郎。これ以上無理をして働いたら体おかしくなっちゃうよ…」

そうしたら彼は

「誰の為にこんなにボロボロになってまで働いていると思ってるんだよ…」

そう言った。

実は私の家の家計は彼が管理している。私に何故任せないのかというと、定期的な治療を受けるのに必要な治療費を彼が全部負担、管理しているからだ。私はいつも治療するときに眠りについた状態になる必要がある。無防備な状態になることから家の金をすべて私に任せるのは危険だということで彼に任せているのだ。買い物などはいつも必要な分を彼からもらうシステムだ。ちなみに治療のときは彼がいつも同伴する。

「私の治療費っていつもどれくらいかかっているの?」

何度も彼に聞いたが、いつも彼は

「金のことは気にするな。俺が何とかするから」

その一点張りだった。


「きっと治療費がかさみすぎて家計が大変なのかも…」

そう思った私は、働きに出ようと思い、彼に相談した。だけど…

「絶対に駄目だ。前にも言ったけどお前は普通の人と比べて体が弱いんだ。働いて怪我なんてしたら大変なことになるんだぞ」

「私、怪我しないように気を付けるから…」

そう言ったが、彼が納得するはずもなく、働くことは却下されてしまった。


でも、どうしても彼の負担を少しでも減らしたい。

そう思って、彼には駄目だといわれたが、パートの面接をいくつか受けに行った。

だが、結果はどれも不採用。理由がどこも〈身分の証明が確認できない。〉ということだった。役所に言っても、確認できませんといわれた。


身分を確認できるものがない。どういうことなのか…。

わたしは彼に怒られるだろうとは思ったけど、今までのことを正直に話して、相談してみよう。そう思った。



挿絵(By みてみん)



第8話です。

一気に時が10年過ぎました。次郎も大分雰囲気というか印象が変わりましたね。

そしてまさかの芽衣の身分証明がない…。どういうことなのか

次回をお楽しみに

いつも読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ