目覚め
第1話 目覚め
目が覚めた。
最初は久しぶりに光をみたせいなのか、すごくまぶしくて目がはっきりと開けられなかった。
徐々に慣れていき、周りが見えるようになってきた。
目の前に二人の男性と一人の女性がいる。
20代の黒髪短髪、180cm以上ありそうな長身の男性。
50代くらいの落ち着いた雰囲気のある黒ぶち眼鏡をかけた男性。
そして40代くらいで軽いパーマのかかった髪に清楚な服装の女性の3人だ。
私は体をゆっくり起こした。全員驚いた顔をしている。
若い方の男性が私の肩に軽く手を当てて、じっと見つめてきた。
「芽衣…!意識あるのか?俺のことみえるか? 」
メイ?それは私のことなのだろうか。うぅ…考え出した途端に頭痛がしてきた。
そういえば自分のことや今目の前にいるこの人たちが誰なのかが、さっぱりわからない。
「意識がまだはっきりとしてないみたいだな… 」
心配そうな顔でそういってきた男性。
もう意識もはっきりしてきたし、これ以上心配かけるのは申し訳ないな…。
私はもう大丈夫だと一言伝えなければ。
「いえ。私は大丈夫です。」
自分の声に驚いた。私はこんな声なのか。自分の声すら覚えてないなんて…
「よかった…聞こえているし見えているんだな…」
安堵した表情になる男性。傍にいる他の二人はなぜか泣いていた。
私は気になっていた疑問を彼らに言った。
「あの…失礼ですがあなたたちはどなたなのですか?記憶がどうも曖昧になってしまっているみたいで… 」
先程までの明るくあたたかい雰囲気が一瞬で驚きと哀しみの空気に包まれた。
「…記憶ま……だったか…」
ボソッと中年の方の男性がうつむきながらつぶやいていたが、うまく聞き取れなかった。
「大丈夫。気にしないで。意識が戻っただけでも奇跡なんだ。だって君は事故に遭ってから
五年も意識がないまま眠り続けてた。」
「それに医師からももう寝たきりで目覚めることはないだろうって言われていたのに…それなのに意識が回復して…嬉しいよ…」
若い男性は涙目になりながら笑顔で私を励ますように言った。
「私は事故にあったのですか?それに五年も眠っていたなんて…」
医師に残酷な現実を突きつけられ、それでもなお、私が目覚めることを信じてずっとこの人たちは面倒をみてくれたのかと思うと、胸が熱くなり、自然と涙がこぼれた。
その後、一人ひとり順番に私を優しく抱きしめてくれた。
そして涙をこぼしながら、みんな笑顔で自分が誰なのか話してくれた。3人は私の両親と恋人だった。
「無理して思い出そうとしなくても大丈夫だ。」
「そうよ。たとえ思い出せなくてもこれから芽衣との思い出はたくさん、私たちと過ごして作っていけばいいのだから。」
そう両親は私に話してくれた。優しい言葉に自分が抱いていた記憶をなくしてしまったという罪悪感がすこし和らいだ気がした。
早く過去の記憶を取り戻さなくては…
そう強く私は思った。
はじめましての方も知っている方もどうも。ひめここです。
今回はじめて「小説家になろう」さんで小説を投稿させていただきました。
普段は漫画やイラストを描くことが多い私ですが、最近とあるコンテストがきっかけで、また小説を書くようになりました。それから、このサイトからデビューされた作家さんで憧れの方がいらっしゃるので、私もこちらで掲載してみようと思い、始めました(^^)
こちらは別サイトでも掲載している作品ですが、ここでも多くの方に楽しんでいただけたらなと思います。
始めたばかりで、まだ慣れないことも多いですが、これからよろしくお願いします。