プロローグ # 秩序を忘れた世界
人は自分が犯した罪をどうやって償うのだろう。
例えば、相手を傷つけてしまったあの時の言葉。
例えば、自分の我が儘で苦しめてしまった人間への責任。
例えば、見て見ぬふりをしたあの時の弱い自分。
もし、人が人を殺めてしまったら…その罪は一生消えないのだろうか…
2XXX年、世界はこれまでの平和な暮らしを失った。
戦争が終わって一時期、平和な時間が流れた世界。しかし、ある時を堺に秩序が乱れていった。
原因は未だ不明。
もはや、夜に一人で外を歩くのは自殺行為。毎日のように放送される殺人事件の数々…
医療機関が発達し、ほとんどの病は治すことが出来るようになった今、人々の寿命は伸びると予想されていた。
しかし、寿命が伸びることはなかった。
病死よりも遥かに、『他殺』で亡くなる人間が増えた。人々は平穏な暮らしを失ってしまった。
それはまるで生物濃縮のように人間を介して「毒」が広がっているかのようだった。
昔から、
「悪さをしたら神様から見捨てられて地獄に逝く」
という言い伝えがあるが、果たして本当に地獄はあるのか?
だとしたら。。。この世にいる人間の殆どが地獄に逝くことだろう。
おそらく、この世界には「罪」を浄罪する神様的存在はもういないのだろう、、、
数百年前、人間はもっと優しかった。
いつから、人間は変わったのだろうか。
この物語が終わる頃、人間は。。。
人間でいられるのだろうか。
それとも、、
次は本編です。