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【#006】 プラアムジスの盾

GWの中、2話目です。

そろそろ身体が怠け始めた方も多いのではないでしょうか。

はたまた田植えで疲れ切った方にお勧めのお話になっています。

前話から3件のブクマ保存が増え、10件目になりました。

ありがとうございます、これからもよろしくお願いします。


 ギルド商会の正面の大扉から入った様々な人間たち或いはエルフであったり、ドワーフであったりする彼等を複数人の受付嬢が迎え入れてくれる。

ドレスアップしている彼女たちの格好は、本来ならば上級貴族の使用人が着るメイド服というものらしい。

城下町の隅の一角に設けられたピンク街に住まう娼婦たちとは別格の雰囲気と容姿を重ね持つ彼女たちの仕事は、来訪者と真摯に向き合いギルド商会の案内、クエストの受注や発注、商品の運搬などをサポートしてくれる。

ただ彼女たちは娼婦ではない為、もしも故意にお尻や胸にタッチしてしまうと…。


「ひゃい―――、」


 ギルドホールにゴツイ大柄な甲冑を着た冒険者一万人が押し寄せて来ても、十分収容できるほどの広さを持つ円柱型の作りが為されている。

正面の入り口と一階に設置された受付の窓口が十以上と最も来訪者が密集するフロアであっても、全フロアの天井がないのだから女性の悲鳴声はよく耳に入る。

悲鳴の発信源は、周囲の来訪者の耳に入ると反射的に向けられ直ぐに特定される。

群青を基調としたドレスにひらひらとした白色のエプロンを着た女性に手を上げているのは酒乱の男性だった。

赤ワインのボトルを片手に持ってぐびぐびと呑みながらも器用に両手首を押さえて、壁に追いやり逃げ場のない彼女のお尻をなでなでしている。

男性客はここぞとばかりにチラチラと見てはその行為を見逃すが、それは第四級と罪状は軽いものの立派な犯罪行為であることに違いない。

この場合はギルド商会の五箇条のひとつ、同じ職場で助け合うが優先され彼女たち受付嬢によって駆逐される。


 パープルな綺麗な髪をした受付嬢が冷ややかな目で現れた。

彼女の右手には小槌が握られている。

悲鳴をいち早く認識した彼女は掃除道具入れに立てかけていた竹箒ではなく、小槌を持って変態行為を平然と行う酒乱男性の頭部を表情一つ変えずに振り下ろした。


(ほろべ)―――、」

「ダメです。リリー、それは人殺しになります」


 酒乱男性の頭部すれすれのところで寸止めされた小槌とリリーと自分の名前を呼ばれて硬直した彼女が振り向いた先には、同僚のグリーンの綺麗な髪を後ろでくくったポニーテールの少女に向ける。

氷の表情を解かすこともなくリリーは、何処で習ったのか手刀の一打が酒乱男性の首へヒットし、まるで手品のように床へ倒れ込み気絶している。

またか、とこの光景を何度も見る熟練冒険者は即席タンカーを造って気絶した男性を衛兵に引き渡すべく外まで運んでいく最中でも問答は続く。


「怖かったよ~、リリー」

撫撫(よしよし)―――、」


 淡い赤色のミディアムボブの一際小さな少女は、涙を流しながらトテトテと駆けよって豊満な胸を持ったリリーに抱き付いた。

そんな可愛そうで仕方ない少女をリリーは、優しく包んで撫でて上げている。

そんな毎日のように続く日常的な光景を見たポニーテールの少女は、肩を落として説教モードに入る。


「もう少しは反省してくださいイヴ。私達受付嬢の仕事は、犯罪率を上げることでも犯罪者を捕まえることではないんです。ギルド商会に足を運んで下さった方々に奉仕の心で向き合い全力でサポートすること。それがなんです。イヴ、貴方のドレスは小さすぎです。スカートから下着が見えるなど女性として恥です。リリー、貴方もあなたです。後輩の面倒を鈍器で片付けるなど言語道断です」

「拒否(資格なし)―――、」

「はい?」

「エレノア先輩のぱつんぱつんのお胸よりはマシだと言っています」

「な!?」


 エレノアのダイナミックなGカップの大玉スイカ、リリーのミディアムなEカップの小玉スイカ、イヴの控え目で布の上からでは分からないそれぞれの個性を見て来訪者たちも一緒になって頷く。

彼等の視線を浴びて絶え切れなかったエレノアは、自分の胸を両手で包み込むように隠して頬をピンクに染めていく。

肩を震わせる彼女に言い過ぎたかな、と思ったリリーとイヴはエレノアを抱いて謝る。


(ごめんなさい)―――、」

「ごめんなさい、せんぱーい…」

「…謝ってくれるのは嬉しいの、だけれど。イヴ、貴方はさっきから何をしているのかしら」

「はい? 勿論、もみもみもみもみと揉み搾って感度をチェックしているのですよ」

(うらやましい)、大は小を兼ねる」

「リリー、意味分かって発言していますか? ん――、いや。ダメよ、こんなところで…」


 子供にはまだ早い大人を魅了する厭らしい声で反応するエレノアに、大の男達はごくりと生唾を呑み込む。

三人の中で最も幼い容姿をする少女イヴは、嫌がるエレノアへ執拗に胸を何度も何度も厭らしく揉み続ける。

それは自分を襲った酒乱男性よりも粘着性を持って、感度の高い突起物を叩いて突いて引っ張って攻めまくり彼女の火照っていくエッチな顔を見てニヤニヤしている。

まるで変態オヤジが本性丸出しになった状態だ。

こうなってしまった彼女を止められる者がいるならば、それは彼しかいないだろう。

突き抜けた円柱型造りのホール、その最上階フロアのガラス張りの塀から乗り出した若い顔つきをした男性が声を荒げる。


「コラ―――、イヴ。あまり先輩をイジメるな。エレノアのオッパイは、オマエのもんじゃない。俺様のハーレム要員を横取りしたらどうなるか、骨の髄まで押しえてやってもいいぞ。まずは手始めに寸止めの刑を与えて…ゴフッ、痛いじゃないですか。わー止めて、アイスジャベリングはシャレになりませんて」


 最上階で一体どんな遣り取りをしているのか分からないが、彼の声を聞いてからというものイヴは揉んでいた手を止めて床に膝をつく。

彼のことをよく知る彼女は、ガタガタと肩を震わせて身を縮めて青ざめる。

まるでトラウマを思い出したのか彼女の目には不安しかない。

ぺたんと両膝をついて倒れ小動物のハムスターのように震えている。

揉まれ続ける一種の快楽から解き放たれたエレノアは、快楽の余韻からまだ抜けられないのか小刻みに反応しリリーの膝の上に倒れていた。

人差し指を噛んで快楽の檻から脱出しようと試みるが、甘い吐息を吐いて過呼吸を繰り返している。

そんな彼女を見て、冷たい表情のまま何故か微笑むリリーは小さな氷結魔法を発現させエレノアの額に当てて覚醒を促す。

額に当たるひんやりした感覚が神経を伝って刺激へ変わりエレノアを強制的に起させた。


「冷た、」


 膝の上から起き上がった彼女は、青ざめた後輩を見て状況を素早く把握した。

最上階を見据えると白い冷気を漂わせた鋭い切っ先をした大槍を塀の上で器用に躱す人物を見る。

接客サービスの途中に恐らくイヴへ如何わしい言葉で黙らせるものの接客相手の逆鱗に触れたが為に、いまに至った状況に驚くことなく放って自分の仕事に戻る決心を付けた。

怯えきったハムスター…じゃなくてイヴをリリーに運ばせるように指示して、ホール中に聞こえるように増幅魔法で叩く音の波長を大きくさせて二度両掌を重ね合わせる。


「お騒がせしました、皆様。私たちの不手際をお許しください。神聖なるギルド商会には有るまじき失態でした。またお越しいただくよう心よりお待ちしております」


 深々と頭を下げて謝罪する彼女を見る来訪者の誰もが、先程まで悶えていた人間とは別人のように見えるその姿を笑う者もいなければ荒ぶる者もいなかった。

流石はギルドマスターの娘であり、この大きなギルド商会を支えている幹部の一人だと誰もが認識する。

貫録さえある謝罪に息を呑む初めてこの場所を訪れた流浪人の多くは、彼女に一目惚れするが階級社会という高過ぎる障害を前に手を出せる者はいない。

エレノア=ハムステルダム、十八歳にしてギルド商会の幹部を務め百人以上の受付嬢を束ねる彼女は十二歳から急成長する自分の大きな胸をコンプレックスとして抱き思い詰める故にお辞儀の姿勢でも悩んでいた。

(もう、やだよー。この胸の性で謝るの九回目だし、イヴやリリーが羨ましいよ)

心底、後輩と同僚を羨む彼女は埃が被ってしまったドレスを(はた)いて落とすと自分が受け持つクエストの受付口に戻っていった。



 ギルド商会の最上階ホールで、氷の大槍を次から次へとへらっとした男性に突き立て続ける少女の隣で青年は、塀に腕を組んで受付嬢たちの遣り取りを見ていた。

(エロい、女性同士が乳繰り合う光景を拝める日が来るとは…こりゃあ、世も末だな。それにしても、この男何者だ?)

寸分の狂いなく人間の急所部位である脳味噌がある頭部、頸動脈のある首筋、血液の循環器官が備わっている心臓を狙っているがすべてを回避もしくはナイフで受け流している。

その動きだけで常人ではないことが分かる。

大きく跳躍して回避することなく、器用に受け流しながら一定の位置から動かない固定砲台のように打ち出す彼女との距離を縮めていき右手に魔法を乗せて放つ。

幻惑魔法で視覚を歪ませることによって的を絞ることが出来なくなってしまった彼女は、酔ったように体勢を崩すその瞬間を狙い背後を取った。

両手を拘束して一息つくも束の間、背後から一気に沸騰する魔力量と殺意を感じた男が振り向く間もなく蹴り飛ばされてしまった。


「驚いたな。本気で蹴りを入れたつもりだったが、無傷とは」

「ハハハ、驚いたのは俺様も同じだよ。まさか介入してくるとは思わなかった。絶対障壁がなければ骨が折れ内臓が破れていた」


 顔付きは二十代に見えるほど若々しい男は、壁に叩き付けられるわけもなく平然とした表情で身体から数センチ離れた場所に展開していた白い半透明なオーラをした球体型の障壁を収めた。

魔力を込めていない性もあって威力は半減するが、完全な無傷が想定外だったこともあり心が僅かながら揺れる。

本気の蹴りは大きな岩さえも砕く破壊力を持つに対して、あの障壁からは男の魔力を感じられるが威力に見合った魔力量ではない。

鋭い眼光を男に向ける青年が右拳に魔力を込めて、攻めいる態勢に入った矢先色白肌をした細く小さな手で止められた。

彼女だ。

ドアのない酒場からここまで自分を誰にも悟られないように配慮し、手招きしてくれた美しいブロンドヘアの少女は「攻撃してはダメ」と言って背を向ける。

連続して詠唱なしで魔法を発動したことも勿論あるが、幻惑魔法によって生じた視界の歪みの影響で呼吸が荒くなっている彼女は自らを拘束しようとした男に向かって言葉を紡ぐ。


「お久しぶりです。第八十九代目ギルドマスター、ベラール=ハムステルダム様」


(な、この男がギルドマスター!?)

 心底驚愕する白銀の髪の青年は、開いた口が塞がらない。

青年の姿は長く伸びたブロンドヘアと少女の影によって隠されている為、彼を捉えることが出来ないベラールは目線を彼女に向ける。


「様付けなんて、王女がすることではないですね。先程は失礼しました。一種の防衛策として受け取って戴ければ幸いですナターシャ様。…で、彼は貴方の私兵ではありませんね」

「面倒事が嫌いなのは承知しています。ですが、話しを聞き入れてもらえないでしょうか?」


 溜め息を大きく吐いて頭を掻くベラールは、この上なく面倒そうな顔で彼女に答えを出す。


「―――、分かりました。立ち話では長くなるでしょうから、どうぞ中へ」

「ありがとう、ベラール。さっ、行きましょうギゼンさん」


 差し伸べてくれるナターシャの手を取るギゼンの目に映る彼女は、心成しか辛そうに見えた。

手に取ることでそれがよく分かる。

震わせ、目線を合そうともしない彼女は自分を軽蔑している訳ではなく、ただベラールの判断によっては運命が決まることを恐れているのだろう。

執事のハルバードが言った「灰色の塔」に収容されることになるかもしれない、そんな薄い幸しかない自分にどう接していいのか分からない顔をする彼女にギゼンは心の中で感謝していた。

あちらの世界、フェアリスと同じだ。

彼女以上に優しい人間を知らないギゼンは、ここでどんな運命を迫られても納得するつもりでいた。

それが彼女に対する唯一の恩返しになると思ったからだ。

これ以上迷惑を懸けられない、という彼の願いはベラールのあっさりした言葉によってシリアスな空気をあっという間に吹き飛ばす結果になった。


「うん、いいよ。採用」

「「え?」」


 シリアスな空気を台無しにした拍子抜けの返答は、二人の予想を一回りも二回りも上回る論外の答えが疑問符を産ませた。

応接室でベラールに幾つか聞かれた質問に答えただけで、あっさり答えられた言葉の「採用」という二文字の理由を尋ねると彼は考えることなく即答した。


「ん? いいよ。簡単な答えだ。いまのこの国に必要な人材は、より優れた強者に委ねられる。平和な環境と豊富な資源によって、この国は維持されているが時機に窮地に陥る可能性が直ぐ傍まで来ている現状を踏まえるとこの際、イレギュラーとされる異端者の存在価値を無視している場合ではないと思いませんかナターシャ様」

「・・・・・・」

「国防長官ドレイクの敷いた旧式のルールをここで破らなければ、この国は隣国によって潰されるのは時間の問題なんですよ」


 ベラールが指摘するのは尤もな答えだった。

この国の最大面積の大半を占めるヘイブンのブドウ畑と東の三つの山脈まで広がるクルブナ平原を除けば、八割は海で囲まれている領土は隣国が築いた石造りの壁によって異国の魔物の侵入を妨げている。

帝国ドラゴリオンと協定を結んでいるとはいえ、圧倒的な軍事力を持つ彼等がいつ消し掛けてくるかも定かではない現状をよく知るナターシャは頭で分かっていても命令は出来なかった。

過去許したが為に生んでしまった悲劇を忘れることが出来なかったからだ。

それでも彼の提案を無為にさせたくない、何よりも自分が連れてきた青年が無事で済むならと胸を撫で下ろすのだった。

そんな彼女の落ち着きを取り戻した様子を見て、呼び鈴を鳴らした。

ノックして入室してきたメイド服の女性は一礼して挨拶する。


「お呼びでしょうか、マスター」


 頭を上げた彼女の髪は、白い雪のようにふんわりとしたマッシュショートヘアをして何とも可愛らしい。

両耳が真っ直ぐ横に伸びて尖っていることから少女が、エルフであることが分かる。

この国の王女ナターシャと異端者とされるギゼンの容姿を見ても驚く素振りを見せない少女は、二人に対してドレスの裾を軽く持ち上げて上品に挨拶する。


「シルフィーユと申します。どうぞ、ごゆっくりお寛ぎ下さい」

「シル、いつものハーブティーをお願いするよ。客人にも同じものを頼む」

「畏まりました」


 シルフィーユを略してシルと呼ばれた少女は、軍手をはめて切れ目が多く入った半透明のビニールを抜けて菜園施設へ入っていった。

それぞれ異なる色をしたプランターや鉢に生えている葉を丁寧に摘んでいく。

収穫を終えた葉を洗い水気を切って、奥の「乾燥室」へ運んでいく。

再び出てきた彼女の手にはしっかりと密閉された容器を二つ持って現れた。

応接室中央に設置された机の上では、ベラールが魔法で片手鍋に入れた水を沸騰させて彼女が持ってくる容器を待っていた。

二つの容器にはそれぞれ異なる形や色をした葉や茎が雑じったものを同じ量乳鉢に入れて砕いていく。

沸騰させた鍋に砕いた葉や茎を入れて蓋をした彼女は、楽しそうにまだかまだかと待っている。

三、四分経過したのを見計らって、蓋を開けると閉じ込められていたメントールの清涼感ある香りが室内に充満し彼等の鼻を刺激する。

茶漉しでこしながら、ティーカップに注がれる夕焼けの涙のようなお茶を三人分用意したシルフィーユはそれぞれが座っている机の上へ置いていく。


「どうぞ、お召し上がりください。マスターがブレンドされた【夕日の雫】です。ペパーミントの爽やかな香りがマテのクセを消し、グリーンマテとブレンドすることによってスッキリとした飲み心地をお楽しみ下さい」

「うむ、流石は俺様ブレンド」

「ええ、とても美味しいわ。マテ茶にはカルシウム、鉄分、ビタミンB群やCといった栄養素が多く豊富に含まれていますしペパーミントの清涼感溢れるメントールが神経を刺激してくれる見事な逸品です」

「う、うん。美味しいと思うよ」

「ありがとうございます。さあ、遠慮なくもう一杯いかがですか?」


 ハーブティーを飲んだことのないギゼンは、苦々しい味を表現するわけにもいかずシルフィーユを気遣って小さな嘘をついてしまった。

その代償は決して高くないが、苦いお茶を三杯飲む破目になってしまったことに後悔と罪悪感を抱きながら啜るギゼンだった。

飲み終えたティーカップをシルフィーユがさげていく中、ベラールが先刻の話の続きを持ち出してきた。


「さて、ここからが問題だ。俺様がいくら採用したとはいえ、君が異端者であることに変わりはない。そこでだ、君にはこのクエストを請け負ってもらいたいのだ」


 ベラールが机の上に一枚のビラを叩きつけた。

クエスト内容は畑仕事[急募]、それも三食寝床付きを一週間。

募集人員の希望欄には、最低でも五人以上の腕っ節のある男性とある。

何処からどう見ても雑用の仕事にしか見えない。

ナターシャがこのビラを見た途端目つきが変わった姿を見て、何処かに目ぼしい内容でも書かれて要るのだろうかと思い読み直すが特に変わった処はない。


「クエストが掲示板に張り出されて大抵は一日で消化されるが、誰も遣りたがらないこれを君に任せる理由はひとつ証明だよ。新人が誰も遣りたくない仕事を請け、成功すればそれだけで箔が付くのさ。まあ、それでも一応監視役を手配するがな。備えあれば患いなしってね」



  △

  ▼



「―――ってな訳で、ここに‥」


 心地いい何かが眠気を誘うと思えば、当の本人から言い出したにも関わらずすうすうと寝息を立てて机の上に倒れているニナを見て語り手は話しを止める。

近くに寄って確認すると、完全に寝ていらっしゃる。

監視役としてベラールによって選ばれたビットは、リビングには居らず一人残されたギゼンは彼女を運ぼうとしたが手に握られた包丁を見て断念する。

借家から自分に使うはずの掛け布団を疲れ切って寝ている彼女に気付かれないよう細心の注意を払ってそっと掛けてあげた。

(こうして見てると可愛いのにな)

深夜の時刻を知らせる鳩の囀りが時計から聞こえてびくりと反応させながらも、自分の寝室に戻るとベッドの上に転がり込んで瞼を閉じた。

託された仕事を全うする為にも、睡眠不足で足手纏いになれば今度こそニナに殺されると感じたギゼンは寝ることを決意したのだが…結局寝付けず、睡眠に入ったのは三時を回っていた。


いかがでしたでしょうか、このお話で紹介したハーブティーには疲労回復と脳の働きを活性化する効果がありますのでお勧めです。

マテグリーンとペパーミントのブレンドハーブティーを一度飲んでみてはいかがでしょうか。

さて今回のお話で長い回想が終わりましたので、次話より現在進行形のお話に戻ります。

GW中にあと二話ぐらい上げる予定ですので、応援のほどを宜しくお願いします。

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