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色熱《いろねつ》  作者: 花咲乱世
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第一章 外出

“ノクターン・ノベルズ”“ムーンライト・ノベルズ”に官能小説をUPさせて頂いていますが、このたび本家の“小説家になろう”には、やはり恋愛をと思いましてUPさせていただきました。性描写はありませんが、大人向けの小説になっています。

結婚観や実生活と比較しながら読んでいただければと思います。

 また子供を殺した。

 中学1年生13歳の娘、小学5年生頃から顔を合わせて注意をすれば口ごたえばかり。自分が必要とするときだけ上手く甘えて擦り寄ってくる。いつから、そんな芸をおぼえたのだろう?

文句を返されてから、思いっきり右頬、右の頭をゴンッゴンッと自分の手首が打撲するほど殴りつけてやった。するとグッタリして動かなくなる。

もちろん殺したのは頭の中で・・。

自分の表情にも出てないはず。


「ふぅ~っ」

 そういう殴りつけ方をして、本当にグッタリとして死んでしまうのか、どうかはわかるわけがない。

過去に見たニュースやドラマ・映画の一部と重ね合わせて想像しているに過ぎないのだから。

以前はムッとすると、スーパーで貰う袋や紙袋を膨らませてはパンッと叩いていたが、最近はリサイクルや資源を大事にということで、紙袋をくれる所も少なければスーパーの袋を貰うのも少なめにしている。ので、渋々想像に切り替えた。


ま、現実には手を上げたことなど無いし、本来は可愛くて仕方がない。

だんだんと若い頃の自分に似てくる容姿、しぐさ、話し方、好み、遺伝子ってすごいなぁ~と感心する時がある。。

女の親子は生まれた時からライバルだとか聞いた事があるけれど、今は好敵手というより、ただ敵視されている気分。

まかり間違って殴る蹴るなどとなれば、もっと反抗してくるだろうし、今の生活を破滅させることにもなり兼ねない、あり得ないことと想像してストレスを解消している。

これでも自分の心の均衡を保っているつもりなの。

 

〝朝から由菜を殺すことになるとはね、あ~イヤだイヤだ、ちょっと言うと胸にグッサリと刺さりそうな厭味いやみを言い返すんだから〟


 朝、夫と娘を送り出したところだ。

 夫の由一よしかずの方が少し早く出るので、由菜の文句は耳にしていない。

たとえ、耳にしても知らん顔だろうけど。

朝ギリギリに起きて、仕度を整えて朝食もそこそこに出かける毎日の夫だ。

結婚して12年。

〝夜も遅いし、疲れているのはわかってますけどね~、ほとんど話さずに、“じゃ、行って来る”って、あんまりじゃありませんか~だ〟


「ほら~、由紀人、朝ごはん食べ終わったの?」


 お姉ちゃんの方は、文句を云って早めに出て行ったけど、小学2年生の7歳の息子の方はのんびり屋だ。

毎朝ギリギリまで朝の子供向け番組を見て、友達が迎えに来てから出て行く。


「ちゃんと準備したの?忘れ物ない?」

「うん」


 まだのんびりと、温めたミルクを飲んでいる。

3月、朝はまだまだ寒い。

家族を少しでも身体の中から温めて、出してやりたい。

 ドアのチャイムが鳴る、

毎朝迎えに来る息子の友達。

「あ、浩一君来ちゃったよ、早く早く」

 ランドセルを背負って、靴を履く。

「気をつけてね!鍵持ったよね!お母さん今日は遅くても夕方までには帰るから、留守番お願いね」

「うん、わかった~。行ってきま~す」

 玄関から門に出て、二人を見送る。

「おはよう、浩一君お待たせ、二人とも今日一日頑張ってね」

「おはようございます」

「行ってらっしゃ~い、車に気をつけるのよ」

「は~い、行ってきま~す」

「いってきま~す」


 ついでに玄関先の掃除をして、家に入る。

「ふう~やっと行った~」


 ダイニングテーブルには、朝の食器と食べ残しが“どうぞ片付けて”とでもいうようにバラバラと散らばっている。

洗濯物を洗濯機に入れて回す。

この量だと今日は2回回せば大丈夫ね。


それからテーブルの上を片付けて、洗い物を始める。

今日は、学生時代の友人とランチの約束がある。

〝二人とも、何着てくるかな?〟

 一応、昨夜までに着ていく服は決めてある。

天気なら、あの服とバッグ、靴はあれ。

雨なら、あっちの服とバッグにして、靴はあっちで傘はあれ。

不思議と都心に出るという事でなく、友人と会うという事でお洒落に身が入る。

ああ、帰りにスーパーで買い物もして帰って来ないと…買う物メモしなくちゃ。


洗い物を終えて、1回目の洗濯物を干す。

2回目の洗濯物を入れてから、部屋の掃除を始める。二階の部屋は明日でいいわね。

一階の部屋を掃除して、トイレも軽く掃除すると2回目の洗濯機が丁度終わった。

〝ふふ、ピッタリ〟

 小さな事で妙に嬉しい。

 最後の洗濯物を干す。

さっき子供向けの番組で天気予報は確認してある、今日は一日好天気。

洗濯物は外に干して行ってOKね。


軽く汗をかいた。

普段ならこんなにせっせと急いで片付けないから汗なんかかくほどではないし、たとえかいてもシャワーなんて夏でもなければ浴びたりしない。

でも今日は、スッキリとした装いでやっぱり清潔にお洒落で行きたいものね。

物はついでと浴槽を洗ってからシャワーを浴びた。

ぼちぼち用意しないとね。


髪の毛を乾かしカールドライヤーを使ってはずみをつける。

動いてもウェーブが自然と出るようにヘアスプレーをする。

顔に下地をつけてファンデーションを塗る。

眉毛を書き足して、薄ピンクのアイシャドーをのせペンシルでアイラインを引き、睫毛まつげをカールしてマスカラをつけた。

あまり派手な顔ではないが、目がパッチリとして少し華やいだ顔になった。

薄ピンクの頬紅を軽くはたいて、ピンクオレンジの口紅を塗った。

歳の割に、悪い方ではないと思う。

今日は晴れだから、口紅と同じようなオレンジとピンクの混ざった春色のスーツにした。

バッグと靴はお揃いのブランドでベージュ系の皮。

髪は、下手にピンで留めると野暮ったくなりそうなので、ふんわりとウェーブのきいたままにした、風も一日弱そうだし。

ブラウスは毛が混じった少し厚手のもの。

スプリングコートは重そうに見えるから、今日は若草色のショールを持っていこう。

きちんと下着をつけていれば寒くないでしょ。

着替えてピアスと腕時計をした。

バッグに入れる物の確認、ハンカチ、ティッシュ、化粧品、財布に携帯、携帯の充電もOK~。そうそう買い物のメモっと。

 もう一度、姿見で自分をチェックする。

〝よし、完璧。これ以上どうにかしろって言われても無理、ふふ〟


 時計を見るともう、10時半になるところ。

〝うはっ!早い、もう出ないと〟

 待ち合わせは都内のホテルロビーで11時半。

家からだと徒歩を入れて約1時間。

戸締りをして駅へと急いだ。


 

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