水髪の女性と全世界技巧大会
書庫の真ん中で、4人が話している。カイは、右腕に包帯を巻いている。女性は、
「私はルミナス。ルリデン・ルミナス。各地を旅してるの。貴方達は?此処にくるってことはそれなりの理由があるんでしょう?」と聞く。
「まぁ…ね。僕達、悪帝を倒す為に、情報集めに来たんだ。その為に、此処に来たってわけ」とリーフが説明する。
「ふーん…でも、ここはそんな軽いノリで行けるようなとこじゃないわ。そんなやつは、全員あのガーディアンに潰されていったの、聞いたことないの?」とルミナスは言う。
今度はこっちが聞く番だ、とダレンが遮る。
「お前は何で俺らを助けた?此処にくる理由が分からない。普通は気づきすらしないだろう?」
と聞く。ルミナスは、
「私も此処に用があって来たの。あと、此処の町の人が大騒ぎしてたわ。ガーディアンが動いたって。それで、用事を済ますついでに助けたってだけよ。」と答える。
カイは、
「用事っていうのは…?」
と、右腕をさすりながら言う。
「…運命って奇遇なのね。貴方達と一緒。この腐った世界をぶっ壊しに旅に出たの。私の故郷を滅ぼした、悪帝をね。」
と、カイ達に背を向けて言う。
「どう?私も旅に付き合わせてくれない?損はさせないわよ」と聞く。
「……この世界を変えるために、死ぬ覚悟はあるのか?」
「無いとこんな旅してない。」
少しの沈黙の後、カイが、ふーっと息を吐き、
「分かった。一緒に行動しよう、ルミナス。」
と言う。
ルミナスは、
「ありがとう。これで仲間ね。あの、自己紹介してもらっていい?」と聞く。
一人一人、自分の名前を紹介していく。
「さて、目当ての本も見つかったことだし、次は何処に行けばいいんだ?」とダレンが言う。
すると、ルミナスが
「いいところがあるわ。ここから北西に向かうとある、ムアジスタっていうところ、そこで全世界技巧大会っていうのが行われるの。そこで、新しい仲間を見つけたいの」と言う。
カイが、「全世界技巧大会?」と聞く。
「世界単位で行われる、武術と魔術を競い合う大会。殺しさえしなければ何でもありな大会。毎大会特別ルールが設けられるんだけど今回は…」
とまで言い、右手で「2」を作る。
「…"2人で出場"?」
正解、というように首を縦に振る。
「ルールとかはあっちで確認しましょ。ムアジスタはここからそんなに遠くないし、今日中に着いちゃいましょ」
と言うと、荷物を持って歩いていく。すると、ダレンがカイとリーフに、
「なんか腑に落ちねぇな。なんかきな臭ぇんだよな」と耳打ちする。
「悪帝の手先だって言いたいのか?気にしすぎだ。まだ悪帝に俺らの動きはバレてない…はず」とカイが言う。
「ダレンさんにも疑い深いとこあるんだね」とリーフも言う。
「あ?どう言う意味だ?リーフ!!」と、鬼の形相でリーフに向かって走り、ヘッドロックする。
「どう言うことだ!?言ってみろよ!!」
「いたたたた!ぼ、僕は別に馬鹿にしたわけじゃ…折れる!首が折れるから!」
と、取っ組み合いながら、言い合っているのを、遠目でにやにやしながら見ているカイ。しかし、彼も、同じことを考えていた。本当にたまたま偶然で、旅の動機が被ったのだろうか。
それとも、自分の主人を殺そうとする輩を狩りに回っている番犬となってるのだろうか。
『まあそうだとしても、俺が2人には手を出させないけどな…』と心の中で呟く。
痺れを切らしたルミナスが、
「いつまでそこで戯れあってるの?早くしてよ!」
と言う。
ダレンが、
「全く、まだ16のガキが、2歳年上のやつに抗えると思うなよ?」と不機嫌そうに言う。
「さっきから、僕はそんなつもりじゃないって言ってるのに、話聞いてくれないんだよぉ」
とカイに抱きつく。
「おいダレン。リーフをいじめるなよ。」と嗜む。
ルミナスは、
「もうっ!早くしろ!」と声を荒げる。
ダレンを無理やり引きずって、自分に引っ付くリーフの頭に手を置きながら、ゆっくりとルミナスの元へと向かった。
ーー移動中
ダレンとリーフの間にカイ。その前をルミナスが先導する形で歩いている。
「2人とも、早く仲直りしろよ」
とカイが言うも、リーフは口を聞かない。ダレンに関しては聞いてすらなさそうだ。
「全く…2人も頑固だな」
とカイが呆れる。ルミナスが、
「そんなことしてる暇ないわよ。もう着くわ。」
と言い、前を見ると、山を切り開いて、作ったのだろうか。山に隣接する形で建物が建っている。しかし、それより、その奥に建っている、超巨大なスタジアムに目がいく。まるで、スタジアムが町そのものであるように。
「此処が、ムアジスタよ」




