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第3話 鍛冶師、初めて町で牙を剥く

「……こいつは、ひでぇな。」


町の武具屋の棚に並んでいる剣を一本手に取った瞬間、レオンはため息をついた。

赤錆、刃こぼれ、重量バランスも最悪。

この状態では、素人が振れば1合も持たずに折れるだろう。


店主の中年男が鼻で笑う。

「腕利きの職人なんざ、王都にもそう居ねぇ。辺境じゃこの程度が普通さ。おまえみたいな旅の小僧には分からんだろうけどな。」


レオンは表情を変えず、腰の工具袋を叩いた。

――ピン、と響く金属音。

そこには、旅の間ずっと磨き続けた自作の道具が揃っている。


「じゃあ、試してみますか。俺が作った武器とあんたの剣、どっちが売れるか。」


店主は笑い飛ばす。

「へっ、勝手にやってみな。客はすぐ分かるさ。」


■鍛冶台設置

店の片隅に簡易鍛冶台を広げ、レオンは炭火を起こす。

火床が赤く染まり、鉄が真紅に輝き始める。

――カン…カン…カン。

打撃の音は澄んで、まるで鐘の音のよう。

見物人がすぐに集まり始めた。


「おい、なんだあれ……」 「叩くたびに刃が光ってる……」


レオンのスキル 【鍛造極】Lv.7 が発動。

さらに 【魔力付与】Lv.5 を重ね、鉄の隙間に微細な魔力回路を彫り込んでいく。

仕上げの瞬間、打撃音が弾け、剣身が淡い蒼光に包まれた。


「……完成だ。」


手渡した瞬間、持ち上げた冒険者が驚きの声を上げる。

「何だこれ……軽いのに、腕が勝手に力強くなる……!」


■町の外で試し斬り

「性能は、現物を見た方が早いですね。」


レオンはその場で外へ出た。

近くの野原に現れたのは、鎧のような殻を持つ巨大ムカデ。

地元冒険者たちがいつも苦戦し、町では“壁役”と呼ばれる危険種。

だが——


ズバッ!!


レオンが片手で振っただけで、ムカデの頭から尾まで、真っ二つに裂けた。

切断面は鏡のように滑らか。

血に濡れた刃は、一滴の錆もなく輝きを保っている。


見物していた冒険者も武具屋店主も、言葉を失った。


■商売開始

「さあ、この剣を五本作ります。予約は先着順。」


そう言った瞬間、群衆が一斉に押し寄せ、あっという間に金貨の山が積み重なった。

店主は呆然とし、そしてレオンに頭を下げる。


「……わ、悪かった。あんた、本物の職人だ。」


レオンは微笑む。

「本物かどうかなんて、戦場が教えてくれますよ。」


その頃、森の奥では――

勇者カイル達がボロボロになった剣を抱え、必死で逃げ回っていた。

だが愚か者たちはまだ知らない。

唯一の命綱を、自分たちの手で切り捨ててしまったことを。

『噂の鍛冶師、辺境を支配する』

町での勝利が一夜にして噂となり、隣国や傭兵団が動き出す。

同時に、勇者パーティの武器が全滅寸前に……。

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