表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/4

Episode︰3

 それがもはや当然の事であるかのように俺はその水の大剣を弾き飛ばす。

「キュアハーツはただの回復スキルのはずなのに……なんだこれは」

俺はそう呟き、さらにリーダー格の男の逆鱗を煽ってしまう。

「くそっ!!こんな筈では!!こんな雑魚に負けるなんてあり得るはずが!!」

「もういいよ」

俺はそっと静かに言い放ち片手を添える。

そして白の蒸気が男を襲う。

「グワァァァ!!」

それを尻目に俺は教師とクラスᏚの集団に回復スキルを発動させる。

(正直これキュアハーツかどうかも怪しいけど……)

そんなことを呑気に思う。

クラスᏚと教師の集団は全快を果たし、一人一人喜びの声を上げる。

「はぁ助かった……」

「これで自由に動ける」

俺はそれを尻目に見た後、テロ組織集団に言葉を告げる。


 「さぁ。再開だな」

その言葉にリーダー格の男は悔しそうに(うな)る。

「くっ……!お前ら撤退だ。計画破綻だ。これは"予想外"だった」

そう言うとテロ組織はスッと姿を影にくらました。

「逃げられたか……」

俺は静かにそう呟く。

その後すぐさまライバが駆け付けてきた。

「お前すっげぇじゃんか。そんな強かったのか……」

そのライバの発言のあと気付けばサリィが俺の元に来ていて名前を聞いてきた。

「ねぇ、君の名前は?」

茶髪ボブヘアーがサラサラと揺れ、その美しい顔と向き合う。

俺はそれに適当に答える。

「カメタだ。クラスB所属のな」

「ふーん……」

サリィは品定めするかのように俺を見ていたがすぐさま興味なさそうな態度で去っていった。

その11歳の若々しいロリの身体からは想像できない大人っぽさを感じるが本当に11歳なのか?

真相は定かではないがウソをついてるようには見えん。まぁ何でもいいや。


 その後、教師やクラスᏚの奴らは完全に態度が変わり、俺の「今の戦闘」を見越してクラスᏚ所属は確定だと判断された。

「魔性石に触れてみて。そのスキルが本当にキュアハーツなのか……確かめてみるべきだ」

眼鏡を掛けた痩せ型の理系教師は俺にそう告げる。

魔性石の蒼白い光が俺を包み込む。

そして魔性石の上に表示される文字。

『覇王の(つるぎ)

階級は……

「神級……」

そう俺が呟いた途端、教師やクラスᏚがざわめいた。


『神級』

前にも言ったがそれは神話やお伽噺としてこの世界で語りつがれるスキルの階級の事だ。

まさか俺がその神級の所持者だっていうのか?

信じられねぇ。


「か、神級……!?」

「そんなのお伽噺の類だろ?」

「でもさっきのこいつの動きからするとそうかもしれん」

教師の一人がそのざわめきを落ち着かせる。

「皆さん一旦落ち着いて。今は散らばった生徒達を集め直すことが優先です」

超級スキル『(ゴッド)聖星輝(キュアリー)』の所持者であるサクラ先生の発言を皮切りに逃げ去った生徒達が集い、また全校集会が再開した。


 「えー先程のようにテロはいつ襲ってくるのか分かりませんので気を付けてくださいね」

校長先生が偉そうにそう言い全校集会は終わった。

どんな全校集会だよ……

それから俺は即、クラスᏚに配属が決定した。

 そしてその日の帰り道……

「覇王の剣か……クラスS所属のカメタか」

遠くを見つめながらライバは切なそうにそう呟いていた。

俺はそれに何と答えていいか分からなかったので適当に相槌を打つ。

「まぁそうだな」

「なぁ。カメタは卒業したらどうするんだ?」

突然そんなことを聞いてきたライバに少し動揺する。


 卒業か……国立魔法アオ学校卒業の進路は様々だ。

ある者は謎の大い大陸とされている『ヘラク大陸』へ旅立ったり、ある者は国家所属のスキル使いとして働いたり、ある者は花屋さんを経営したり……

まぁ結構自由だ。

だからこそライバの発言には困った。

自身のスキルがただのキュアハーツだと思っていた頃は雑務クエストをこなして細々と暮らして行こうかなと考えていた。

しかし、今の俺のスキルは覇王の剣。神級だ。

もう何でも出来るだろう。

俺は頭の中でグルグルと思考を巡らせていた。

そして結果的に思い浮かんだ事を言う。


 「国家所属のスキル使いかな。給料も高いしやりがいのある面白いクエストが沢山あるだろうし?」

「なるほどな。いいなぁ。それだけのスキルがあるとホント自由だろう……」

噴水通りでライバはそう言うと走って先に帰ってしまった。

(俺なんか悪いことしたかな……)

俺は帰ってしまったライバを思いながら家へと歩き出す。

そして夕焼け空を見ながらふと思い出す。

「そういやドワーフのおっさんトコにでも行くか。ちょいと聞きたい事がある」

ドワーフのおっさんっていうのはその名の通り種族ドワーフのおっさんの事だ。

あだ名でそう呼んでいるだけで本名はワフテ・ド・エレンだけどね。

たまにそのおっさんの家に遊びに行ったりしているんだ。


 「ようおっさん」

住宅街を抜け、辺境な地にポツリと立つ一軒家。

その扉を開けて俺はそう挨拶をした。

「何だカメタか。どうしたんだ?」

「いやちょっと聞きたい事があってさ……」

シンプルな木造りの家の中。

その部屋の中央にあるテーブルを囲いながら椅子 に座り俺とドワーフのおっさんは話し始めた。


「か、神級じゃと!?」

ドワーフのおっさんは飲んでいたコーヒーを口から吹き出しそう言った。

「う、嘘だよな?」

そして確認するように俺の目を見てそう尋ねてきた。

「そんな冗談ついてどうするのさ。本当だよ」

「確かにそうじゃな……」

どうやら信じてくれたみたいだ。

「スキル名はなんじゃ?」

「覇王の(つるぎ)だよ」

「ほう……強そうじゃのぉ……どうじゃ?ワシにその力を見せつけてみないか?」

どうやらドワーフのおっさんは俺と戦いたいようだ。

俺はそれに「うん、いいよ」と許可し二人で外に出る。


 土の色が広がる土地で俺とドワーフのおっさんは睨み合っていた。

「じゃ行くぞ!」

その掛け声と共におっさんはスキルを発動させた。

右手から氷の冷気が噴射してくる。

言っていなかったが、おっさんのスキルは超級。

クラスSレベルだ。

威力は凄まじくこんなのマグマの盾でも持たない限り氷漬けになってしまう。

「ほい」

俺はその軽い声と共にその冷気に対し防御スキルを展開させた。

「な、なにぃ!?ワシのスキル『氷像の女神』がいとも簡単に塞がれただと……」

戦意喪失したみたいでおっさんはその場にへたり込む。

「どうやらそのスキルは本当に神級なんじゃな」

そう呟き茫然自失としていた。


 「それじゃ帰るよ」

「ああ。気をつけてな」

俺は別れの挨拶をしておっさんの家から出た。

その帰り道……

「ゴブリンが……!ゴブリンが街にやって来たぞォォ!!」

焦った口ぶりで40代くらいの男が叫んでいる。

状況を見るに魔物の襲撃かな。

この街では、よくこういう事件が起きる。

(ま、こういう事件にはさっきも言った『国家所属のスキル使い』が来てくれるだろう。暇だしそのシーンでも見守るとしよう)

あと、言い忘れてたけど『国家所属のスキル使い』は『国家自警士』とも言われる。

どちらかと言えば一般的には国家自警士の方が使われるかな。

というか、そんな事より事件を見物しようとしてる今の俺はちょっと異常かも知れんな。

ま、いいか。

そう思いながら男が叫んでいた住宅街の通りの先に行く。

大通りが見え、そこには確かにゴブリンの群れが

いた。


 「おいおい、クソガキがいるじゃねぇか」

「殺しちゃってもいいよな?親分」

ゴブリン特有の間抜けっぽい声が大通りに響く。そして親分と呼ばれていた少し大きめのゴブリンが声を上げる。

その声は他のゴブリンより低めだ。

「ああ。殺っちまえお前ら!今日の夕飯は人間のガキだ!」

(やべ……見つかっちまった……辺りに国家自警士もいねぇし俺がやるしかねぇか!)

俺は余裕そうにそのゴブリンの群れの前に立ち告げた。

「かかってこい。低俗な魔物共よ!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ