第一話:プロローグ
学園物のコメディが書きたくなって勢いで書き始めました。書き貯めとかありませんので、書けたら続きを投稿していこうと思います。
楽しんでもらえたら嬉しいです。
私立鳴瀬川中学校に通う14歳の俺、魚間 亮は先日晴れて二年生になった。
クラス替えも終わり、一年生の時とは違うメンバーになった『2-A』の教室。
まぁ入学した時とは違い、体育祭や文化祭等々、同じ一年生として色んな行事に参加し、もう顔見知りも多かったのであまり緊張しなかったけど。
お世話になった三年生の方々が卒業し、自分も今年からは先輩と呼ばれる立場になった。その事に気恥ずかしさもあるけれど、皆そんな感じだったのかなと思う。
そんな桜の舞うある日、午前の授業が終わり、クラスの給食を取りに行った時の事。
(うちの学校では、授業終了後給食係が料理の乗った台車を取りに行く。その為、休憩時間が通常より10分ほど長い。給食係以外は、授業終了後から休み時間の為、給食係が料理を皿に盛り付け始めるまで自由時間なのだ。勿論、給食係が皿に盛り付け始めたら、その皿を自分の机に持って行くのは各自でする。先生の挨拶で皆揃って食べ始めるので、勝手に食べ始める事は無い)
皆の昼食の乗った台車を運んでいると、2階へと続く階段の踊り場で声が聞こえた。
視線を向ければ女子三人がふざけ合っている。「やーだもぅ」とか言いながら、皆笑顔でとても可愛らしい。
あの三人は小中と同じで、昔ながらの仲良し三人組だ。
一人は親がアメリカ人と日本人のハーフで、肩まで伸ばしている綺麗な金髪で目立つが、染めているわけではなく地毛。
背はモデルの様に高いが高圧的ではなく、目を合わせる時は少しかがみ、視線の高さを合わせてくれる。
優しい笑顔の似合う美人さんで、名前を小鳥遊 麗華という。
三人組のリーダー的存在だ。
最近はプリクラにはまっているらしい。
もう一人は小柄で、どことなく小鳥を連想してしまうような可愛い子。
黒髪のショートカットで、この子も笑顔がよく似合う。
というかこの子が笑っていない所を見かけた事がない。
三人組のマスコット的存在で、木之下 桜。
スナック菓子についてくるシールを集めるのが趣味で、お菓子も大好きらしい。
最後の一人は身長が俺と同じくらい。
小柄ではないけど大柄でもなく、言ってしまえば普通。
だけど、出るところは出ているし腰も細いという一般的な女子が羨む体型だと思う。
茶髪に染めていて、いわゆるギャルって感じの子。
靴下はゆるゆるのルーズソックスで、スカートも短く、絶対領域から見えそうになる度に俺はいつも目をそらしてしまう。
村上 美穂。
三人組のムードメーカーといったところかな。
彼女は多趣味で、これっていう特定の趣味はないらしい。
何故こんなに詳しいのかと言うと、俺の悪友が女の子の情報を逐一集めているチャラ男で、聞いてもいないのに話してくるせいで覚えたからだ。
特にこの三人組の事はよく聞かされる。
ちなみに、俺と彼女達に接点は一切無い。
遠くから眺めるだけの、高嶺の花だ。
クラスが今回一緒なのだが、挨拶しかした事はない。
ちなみに幼馴染の悪友とは去年も今年も一緒だ。
なんなら小学校から一緒という、もはや腐れ縁だ。
どうせなら可愛い女の子で幼馴染とかいたらと妄想した事もあるが、現実なんてこんなもんだと思っている。
まぁ、悪友と言っているけど、根は悪い奴じゃないしな。
金髪で(小鳥遊さんと違って染めている)俺と違ってイケメンだし明るくて調子のいい奴だから、陽キャって言葉がしっくりくる。
俺とは正反対なんだけど……不思議と憎めない。
無類の女の子好きだしそれを隠しもしてないが、女子からは遊ぶ分には良いけど付き合いたくはないと公言されてたりする。
顔が良いので、横に侍らしておく分には他校の女子にどやぁ出来るとかなんとか。
そんな扱いでも挫けずにアプローチを続けるので、同じ男として見習うべきなのかもしれない。
けど、男友達も決して邪険にするわけじゃないし、皆と仲が良いムードメーカーだ。
俺には少し眩しいかな。幼馴染なせいか、やたらと俺に絡んでくるのが鬱陶しくはあるけど。
そんな事を考えつつ、あいつの言う通り仲が良いんだな、そう思って台車を押すのを再開しようとしたその時、上から叫び声が聞こえた。
「「桜ーッ!!」」
見上げると、木之下さんが階段から足を踏み外し、後は慣性の法則に従って落ちようとしていた。
背中を向けているので、足元が見えていなかったんだろう。
いや、今はそんな事はどうでもいい。咄嗟の事で体がすぐには動かなかった。
時間が酷くゆったりと流れているような感覚。
このまま彼女が落ちれば、怪我では済まないかもしれない。
もしかしたら、命を……そう思ったら、動かなかった体が動いた。
まさに火事場の馬鹿力だったのかもしれない。
とはいえ、俺にスーパーマンのような力はない。
給食の台車から手を放し、階段を数段だけ駆け上がる。
そして、落ちてくる彼女をなんとか受け止めた……と思ったら、小柄な彼女なのに重くて支えられず、俺は一緒に落ちてしまう。
「あ、魚間君っ!?大丈夫魚間君!?ねぇ、返事をしてよぉ!」
良かった、木之下さんは無事だったみたいだ。俺は後頭部を強く打ったようで、意識が朦朧としていた。だからか、ふと変な場面……これは、誰かの記憶……だろうか?それが頭に流れてきた。
「桜!大丈夫!?」
「う、うん!私より魚間君が!」
「ちょっと魚間君!大丈夫!?先生!誰か先生呼んできて!」
「う、うぅ……」
三人の女の子達が、何か叫んでいる。
だけど、俺の頭には中二病のような内容がフラッシュバックしていて、呻き声を上げる事しか出来なかった。
俺の前世が「魔王」だった、なんて……酷い、妄想、だ。
そうして、意識を手放した。目が覚めた後、これまでの生活が一変する事になるとは、夢にも思わず。