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だから、魔王やめたい  作者: 江村朋恵
一章 12歳編
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1-2【ラクエル】いつもの面子のご紹介

 今日は八歳のお誕生日パーティーである。

 人の流れがふいっと途切れて一人になった瞬間、この3人+1匹は再会の挨拶をかましてきた。


「おかえり」

 私はシンプルに出迎える。


 さて。

 今日この日にお誕生日会ということで我が家で開かれた規模大きめのお茶会。

 そこで私はお披露目されたわけだけど、父母が選んで招待した近い年頃の貴族のご子息ご令嬢が集まってくれた。


 ご挨拶頂いて、お顔拝見し、お名前伺って……あまりの衝撃に私の心の中の私はにっこり笑いつつ口角の端から血を垂れ流す。



 この世界基準で二〇〇〇年前……日本人だった頃の前前前世で読んでた物語の【悪役令嬢】設定がついにきてしまった……。


 まあ、なるよね、わかる。

 記憶ありのまま三回も転生してたらそのうち一回くらいは昔嗜んだ物語の悪役令嬢に転生しちゃうよね。

 アハハ……ハ……ハ……ハァ……。


 でも、前提がおかしいんだよ。

 私は魔王ですよ?

 いや、ちがうな。

 ──私【が】魔王なんだよ?


 前世は元気いっぱい魔王で、女神の神託と加護を受けた聖女と勇者に見事打倒された魂なんですよ?


 なんなら、前前世も魔王扱いで女神の使徒達に討ち滅ぼされましたよ。


 歴史上の魔王、私!


 むしろ魔王デビューしてなかった前前前世は女神ご本人直々に殺られてますから!


 今世も、前前世から仕えてくれてる大幹部達が集ってきて、嫌でも『やっぱり私ってば絶対的魔王かな……』なんて軽く絶望したのに……続々集まる子息の名前が乙女ゲーム攻略対象と一致。


 何より私の名前が悪役令嬢と一致。

 公爵令嬢ラクエル、頭の悪いワガママ残念令嬢が自分とか……ホントです?


「ラクエル様、この度は8歳のお誕生日おめでとうございます!」

 そう声をかけては去っていく、きらっきらにおめかしした同年代10歳未満の少年少女たち……。


「──今のは筆頭侯爵家令嬢のノビア様ですね。魔王様同様、この国の王子二人と年齢が近く、真っ先に婚約者の候補として挙げられるご令嬢かと」

「はんっ!(盛大に鼻で笑う)お嬢に見合う男が人間になどにいるものか」

「もう香水どばどば……くさい……(あるじ)様……もうそろそろ帰りませんか……人間多すぎて臭い……くさい……」

「みゃー↘うん↗」


 複数人の取り巻きを引き連れ去って行った令嬢について、アイリ、サシャ、クイン、ララが順にこそこそと述べてくる。


 1匹は除いて、この3人、やはり10歳未満の人間の姿をしている。

 が、全員、元魔王軍大幹部の復活体だ。


 大幹部というのは、幹部連中を仕切っているトップオブトップみたいな解釈でいいんじゃないだろうか。幹部連中も加わると人数そこそこ大変なので、魔王の私の負担軽減のため、大幹部を置いてある。


 今世では今日が初対面。

 一切の初対面さを感じさせない初対面。


 私が転生する度こいつらは姿を変えてやってくる。

 毎回違和感あるが、対応はぶれることなく、キャラ変もしてこないのでちょっとばかりの気持ち悪さが漂う。ホッとはするんだけど。


 最初のかしこまった発言者アイリの正体本性は青髪ドS眼鏡のクールガイ。

 だが、なんの腹積もりか今回は青髪の三つ編みそばかす丸メガネ少女だ……。今までイケメンできてた癖になに地味っ娘気取ってんだよ……。

 なんかやけにその外見アバター、むかつく。本性が腹黒イケメンなせい……?

 こいつのいまの姿は仮で、いつでも本来の成人ドSクールイケメン男性の魔形態になれる。

 三つ編みロリッコの姿は趣味による擬態ということで、気持ち悪さが膨れ上がる。


 アイリの役職は首席補佐官。秘書みたいなものだ。

 アイリオルという立派な名前があるが、長いのでアイリと呼んでいる。魔王軍暗部を束ねているのもこいつ。鬼畜眼鏡らしく『汚いお仕事お手のモノ♪』のリーダーを勤めている。


 ちなみに、この世界の人々の髪色はカラフル!

 色数はあれこれある!

 魔法そのものも『色』魔法──赤魔法、黒魔法、白魔法などと呼ぶ──なので、この世界において色は割と重要らしい。

 現世の私は金髪です。

 まっすぐ金髪碧眼の魔王。

 初代というべきか、この世界に初めてやってきたときは純日本人だったから黒髪黒目だったんだけ、色々あった……。


 さらにサシャについて……やくざかと言いたい「お嬢」呼びを出会ったときからやめてくれない男。

 こいつ、今回も外見男でよかった。

 なんせ、本性はガチムチ肉体派。

 それもそうだ、魔将軍、基本的に魔王軍全部を背負って立つ男なんだから、か細い少女の姿とかで出てこられたら鼻水出る。

 私の右側に三つ編みアイリがいて、後ろにサシャ……昔から名前だけは可愛らしい将軍が立っているわけだ。


 今回も前回同様、毎回変化もなく、本性本体の魔形態を低年齢化させただけの姿格好をしてきているのはわかりやすい。

 ただ、10歳未満で成人女性くらいの身長があるのはどうしたことだ。

 子供らしくほっそりはしているが、これで筋肉付いてたら成人男性と言われても…………いや、顔は幼いな?

 あからさまに10歳以下の顔をしているな?


 左側で「はぁ~……」と長い溜息が落とされる。

 相変わらず根暗さを隠しもしない、オープン根暗なクインことクインシーがジトとこちらを見上げてくる。


 一番小柄で女の子のように見える容姿だが、出会い頭で確認したところ、ちゃんと魔形態と同じ男なんだそうだ。

 ただ、本性本体と同じ白い髪に赤い瞳、褐色肌をしている。そう、これだ!

 本性と遠くない外見が一番わかりやすくて助かる。

 これも魔形態を低年齢化させたような外見できてくれている。そもそもが低身長、ショタっ子なので本当に違和感が少ない。

 白い髪や赤い瞳はいつの時代も珍しいのだが、こいつ、わざわざそういう両親のもとに偽装誕生してくる。小手先の器用さのレベルがほかの連中と桁違いだ。


 前回、魔王軍が暴れまわった頃からすると──人間社会では何世代だ?──500年ほど経っているので、魔王や魔王軍大幹部の姿を見てわかる者は生きてはいないだろうから見た目が変わらなくとも安心。


 だが、女神本人にはバレるぞ? と思ってしまう。

 そもそも女神には外見を変化させたくらいでは誤魔化せないわけだけれども。


「……いやだ……かえりたい……魔王城の復活を急がないと……人間となんか居たくない……引きこもりたい……」


 ほんとオープン。本心を隠しもしない。

 なのに心理戦始めたら黙って一切読ませない。魔宰相という立場上、そうでなくては困るとも言えるけれど。


 魔宰相という立ち位置で、魔導士部隊すべてを掌握しているのがこのクインシーになる。

 魔王の私に次ぐ魔術の使い手なので、毎度、ラスボス手前の大ボスとして君臨して勇者たちの体力を削ってくれている。

 …………すぐに女神の加護が発動して勇者どもは大回復するんだけどね。


 あとは、再会時には子猫サイズで現れたものの、パーティ真っ最中なのでさらに小さく親指ほどの大きさに変化してもらってるララニール。


 私のドレスのひらっひらの袖の中に隠れてしがみついている、こんなでも伝説の神獣。ペットね。

 虹色の耳毛を持つ、仮の姿は猫のような神獣……本体本性になると……定番のドラゴンだけどね。


「みゃみゃ~?」


 ミニマムサイズで顔を洗っているようで、目の前のことに関心はないらしい。

 愛らしいことこの上ないけど、この国の王城よりデカいからね、本当のサイズ。

 一蹴りで城を平らにするだろうし、一吹きで城下町は火の海だろうな。

 魔王軍で唯一、討伐されず毎度封印されて、私の復活にあわせて目覚めてくる。

 魔獣部隊を指揮してるんだよ、これで。


 こんな魔王軍大幹部擁する魔王様が私。

 悪役令嬢になっところで破滅エンドと言われましても……。



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