まずは食生活改善!
「アナベルお嬢様?いかがなさいましたか?」
メイドに車椅子を押してもらい辿り着いた食堂にはすでにアナベル以外の家族が着席してるのをみると私が最後らしい。
広い食堂に長方形のテーブルには真っ白なテーブルクロスの端に金色の花の刺繍が控えめに散らばれて鮮やかさがあり、上座には我が家の当主のお父様がワイングラスに入ったミネラルウォーターを飲んでいる。左側りはお祖父様とお母様、その反対側にはお兄様が座って何か会話している
「おはようございます。お祖父様、お父様、お母様、お兄様遅くなって申し訳ございません」
「「「「っアナベルが自ら謝った……!?」」」」
ペコリと頭下げて挨拶しただけで父は飲み物でむせ母は目を見開き顔を青くして口に手をあて兄は眉間にシワを寄せ信じられないものを見る目を見メイドは食事を運ぶ台を壁にぶつけた。祖父は口が閉まらないようだ
大袈裟な反応だけど分からなくもない。
私は前世を思い出したけど現世の『アナベル』自身の記憶を忘れた訳じゃない。
崖から落ちる前までの私は乙女ゲーム通りの性格で甘やかされた我が儘令嬢だった。謝るなんてしたことないし父や母からの叱責を受けては祖父に泣きついてばかりで両親からは8才で見限られてもおかしくないことをしても頑固として我が儘を突き通した自覚がある。
(そんな私が初めて謝るんだからまぁ驚くよね……)
車椅子越しに小刻みに振動がくることから車椅子を押してるメイドも震えてるようだ
お兄様の隣の席に着いた。メイド達が食事を運ぶのを視界のはしに入れながら家族の様子をチラミしてると戸惑いの空気が漂っている
「おはよう、アナベル。怪我の調子はどうだ?」
お祖父様が痛むだろう?可愛そうにと眉を下げて労るように私に話しかけてくる。確かに骨折が痛むが中身16才の私にしたら耐えられない訳じゃない
「はい、お祖父様まだ痛みますが昨日よりは体調もよくなりました」
「……アナベル、その本当に痛めた足以外は大丈夫ですか?」
「?はい、お母様他に体調不良はありません。怪我も2ヶ月したら治りますし私リハビリ頑張りますね!」
「!?が、頑張ります……?え、えぇけど無理をせずにやるのですよ?」
アナベルが頑張るなんて言うなんて……聞き間違いかしら?やっぱり頭に問題が?混乱しているお母様の独り言が聞こえるけどここは突っ込まないでおこう
テーブルに次々と料理が並べられて行く。シーザーサラダとオムレツに自家製のベーグルの近くには2種類のジャム、コンソメスープなどが皆の前に置かれてるのを横目に私の前に置かれた料理と見比べてみる
バターがたっぷり使われただろうクロワッサンの山盛りに厚切りビーフサラダとビーフシチューにチョコがふんだんに使われたケーキ
美味しそう、さすが公爵家のシェフの料理。けどちょっと待ってほしい
「朝からこれはきついですわ……」
「何を言ってるんだ?体調を考えてこれでも三品減らした方だろう」
「ハァ、まったくアナベルは食べきれないのにいつも大量に作らせては残す。少しは作ってくれる料理人達に悪いと思えないのか?」
「はい……その通りですお兄様、食料も只ではないのにいつも私は料理を悪気もなく棄ててました。人として恥ずかしいです。申し訳ございません」
「「!?」」
更に何か言おうとしていたお父様とお兄様は私の話を聞いて瞠目した。
最初は私のメニューも家族と同じだったが好き嫌いが激しく食べたい物だけをねだり変えさせた。本当にどうしようもない
朝からこんなカロリー高めを毎日食べれば太るよね。テーブルの下でこっそりお腹周りを触って惨めな気持ちになった。よし!
「お父様!私ダイエットを始めようと思います!なので今日の昼からメニューをダイエット用に変えてもらうようお願いできますか?」
「ダッダイエット!?あれほど嫌がったアナベルがか!?」
「アナベル!またそんな急なこと言って、人の都合を考えなさい。勢いだけで言うもんじゃない!」
「お兄様、確かに急ですが勢いだけではありません。私は思ったんです!自分がデブだとゆうことを、これ以上太ったら病気にだってなりますわ!」
本日何度目の衝撃か、食堂にいた人は驚愕に満ちていた。あの、アナベルがどれだけ言われても現実を認めず暴飲暴食をやめなかったアナベルがここまで己の肥満を認めてダイエットにやる気を燃やす姿は見たことがない
本人がやる気を燃やしてるのを鎮火させてしまえば二度とダイエットをやらないとゆうだろう、両親を含め使用人たちはこれに関しては無言で意見があいこれが天から与えられた最後のチャンスと思いアナベルのダイエットを認めた
「けどこの朝食は食べますね。せっかく作ってもらいましたの」