渡せなかったハンカチ②
そうこうしてるうちに、私たちもいつまでも庭園にいるわけにはいかないから両親のいる控え室に向かうことにした。自然とグレース様達と渡り廊下を進みながら行きはゆっくり見る余裕がなかったからキョロキョロと回りの作りを見てると設計や芸術に詳しくないけど造りがスゴいよなぁって感心する。
よく見れば庭園から離れたとこの生け垣に誰かいるけどあれは…………(って、テオドール殿下!?)
思わず立ち止まってガン見してしまったけど見間違いじゃなく間違いなくテオドール殿下だった。
お茶会に間に合わなくていまきたとか?終わったけど
偶然だけど殿下をみつけれたならハンカチをいまここでわたすか、それともいきなりは失礼だからまたの機械にするか
「………うん!」
忙しさで連絡のつけようがないなら今がチャンスでしかない
そう思ったら自然と殿下がいる方へ駆けてく
「おまちくださいっテオドール殿下!」
「、アナベル……?どうしてここに……」
「っぜぇ、ちょっ、はぁ、ちょっとおまちを……」
「あっ…うん、ゆっくり休んでから話してごらん?」
「はぁ、はぁ、ありがどうございます……」
すぐに駆けよったつもりだけど私の足の遅さか殿下の歩きの早さかなかなか追い付けなくて、気づけば小走りから全力で走ってようやく追い付くことができた。
ただでさえ、雨が降り出す前の蒸した気温で暑いのに走ったことで汗が流れてくる
ふぅ、けどやっと殿下に会えたから早速ハンカチを渡そうと息が整い出したとこで顔をあげると、なぜここにいるのかと、不思議そうな殿下の様子を見てようやく今いる場所が第二庭園ではなく来賓客が住まう区域に立ち入ってることに気づいた
夢中で追いかけたらとんでもないとこまで入り込んでた!
サァ……と青ざめる私を見て殿下は考える素振りをみせた後困った子だなみたいに苦笑されたのをみて赤面してしまった
「あっ、あのテオドール殿下お久しぶりです」
「そうだね……本当に久しぶりだ。今日はアナベルはたしか母上の茶会に来てたんだよね」
「はい、王妃様の計らいでお呼ばれさせて頂きました」
「そう。行けなくてごめんね」
申し訳なさそうな表情になんかあったのかと聞きたい気持ちもあるけど、王族関係の場合私が軽々しく聞いてもいいのか悩む
「それであの、お渡ししたいものが」
「テオーーー!ここにいたのねっ」
突然遮られるように殿下を呼びかける声が聞こえてきて、ダレ?って思ってる間に、その人物は来賓館から駆けてくる
「んもう!渡したいものがあるから早く来てちょうだいと言ってたのに何してたの?待ちくたびれよ」
「カロリーヌ公女、いま話の途中なのであとにしてもらえますか?」
「話の途中?……あら、あなたは?」
殿下に詰め寄るように迫ってた公女様は今になってわたしがいることに気づいた様子
「お二人とも会うのははじめてですね。
アナベル嬢、こちらはロピア公国カロリーヌ公女様になられます。
カロリーヌ公女、こちらは私の婚約者アナベル・フローレンスになります」
「アナベル・フローレンスになります。公女様」
「……あなたがアナベル様なのね」
殿下の紹介で互いのことがわかったけど、なんか公女様にジロジロ全身をみられてる気がして気まずい
やがて興味を失ったのか「それよりもね、テオに渡したいものがあってきたの!」と、後ろについてきた侍女に声をかけていた。
なんだろう……なんかやな感じだなぁ。
「はい!ハンカチに刺繍してみたのよ、開けてみて!」
……え?
贈り物がハンカチでしかも刺繍と聞けば思わずテオドール殿下の手元を覗き込んでしまう
すぐに受け取らなかったようだけど、公女様から受け取った小箱の中身は鮮やかにグラデーションされた楓の葉と水面が刺繍されたハンカチが入っていた。




