二人目では……?
数日過ぎた朝食でお父様が一通の手紙を渡してきた
「王妃様が開く茶会の招待状だ。アナベルにもきている」
王妃様が学園に入る前の子供たちを王宮の第二庭園に招いてお茶会を開いてるのは毎年のこと
学園での学業は厳しい上に規則やマナーも細かい。
親元から離れての寮生活での共同生活もあり学園が始まる前に少しでも子供同士の交流をもたせて環境の変化によるストレスを軽減できるようにとはじまったのがきっかけだとか
「でもお父様、わたしは対象に当てはまりませんがなぜ?」
「王妃様の計らいだ。来年度からはテオドール殿下も学園にご入学なさる、まだ入学できないお前との時間があわなくなるのを気にして頂き招待していただいたのだ」
今年12才になるテオドール殿下は慣習に習い来年の春からイオリ学園に通う
ちなみにグレース様とフェリシエンヌ様も通うため今年は準備で忙しくなりそうなんだよね
「……今も時間が合わなくなってますけどね」
おもわずでた言葉にお父様はなんとも言えない表情をされた
「あー……アナベル、テオドール殿下のことなんだがな」
「わかってます。お父様、わたしのことは気にせず婚約がなくなってももうわたしは泣きわめいたりしません」
「うん。何一つわかってないな、いいかアナベル婚約がなくなることはない」
「お気遣いありがとうございます」
「頼むから聞きなさい、これには訳があるんだ」
* * * * *
晴天に恵まれた青空
夏の月も4ヶ月目例年よりも気温が高く衣服の生地も薄い生地で作られた菫色のワンピースだけれど裾が長いから暑い。
よく一緒にいてくれたグレース様もこの日の為に準備やお城からの招待にさすがに同じ馬車で登城するわけにはいかない。
お兄様も学園に通っているので一緒に来ることはできないし、保護者であるお父様達と共に向かうことは決定
実を言うと欠席したいのが本音。
だって王妃様の計らいと言っても今日お城に集められる子供達は来年に学園に入学する子達、私よりも2つ上なのだ。
同世代はいないし間違いなく私だけ浮くよね?
大人の2歳差は大したことなくても子供達の2歳差は大きいのですよ?
王妃様が気を使ってくれたならその事も気づいてくれてると思うんだけど、もしかして嫌われてるのかもしれない……
行きたくない。行きたくないけど、王妃様の招待状の断るわけにはいかない。
ましてや、仮病を使ったらお母様の怒りの雷が墜ちたから行くしかない。
……お城に行くとゆうことは、テオドール殿下にも2ヶ月ぶりに会えるかもしれない
ポシェットに忍ばせていた可愛く包装されたもの。中身は完成した猫柄のハンカチが入っている。
今日は王妃様に呼ばれたから会えるかわからないけど、もしも会えたならタイミングを見て渡そうと思い持って来ていた
あの人は絶対不恰好な刺繍のハンカチを想像してそうだから、我ながら出来映えのいいこのハンカチを得意気に見せたくなってきた!
『へぇ、刺繍は苦手だと言っていたけど良くできてるよ』
『そうですか?まぁ何度も練習しましたから私にもこれくらいできます』
『もっと不恰好なのを想像してたよ。これはあれだろ?』
『?』
『黒豚の刺繍』
「…………。」
なに、いまの妄想とゆうか想像とゆうか
包装されてるからもうハンカチの刺繍を確認できないけど、黒猫に見えるよね?みんなに確認してもらって黒猫と認めてもらえたから大丈夫なはず……
もんもんしながらハンカチを睨み付ける私の様子を見ていたお父様は後にこう言っていた。
あの子は憎たらしいものを見る目付きでハンカチを見ていたがあれは呪物ではないよな……?、と
ふと、視界にお城が見えてくると、一気に気持ちの減りが増してきて何がなんでも帰りたくなってきたけど私の座る隣にはミモザが正面にはお父様とお母様が陣取る感じで座るものだから逃げ場がない。
はぁ、窓から青空が見える……なんかあの雲の形鳥っぽく見えるなぁ……鳥かぁいいなぁ鳥は自由に飛べるし飛んで逃げれるし何の料理にしても美味しくて羨ましいよ……ふふ
「……思ってることが全部口からでてるわこの子、最近は大人しかったからその反動なのね……」
「そこまで現実逃避しなくてもよかろうに……目に光が感じられん」
「やっぱり、調子が悪いと言って欠席した方がよかったかししら」
「いや、王妃様の招待を仮病するのはいかんだろう、それに今は」
やはりそうよねぇ、アナベルが……
馬車のなかで話し合う主人たち、窓からただ空を見つめてぶつぶつ話すお嬢様、そしてそんな状況から離脱したいミモザ
一見バラバラな心情が一つだけそろっているのがある
「「「「何事もなく終わりますように(たい)」」」」
普段はそこまで混雑してない城門までのみちも行事で集まる人で段々と馬車のスピードが落ちてく様子に気分は憂鬱さを極めてく。
いますぐ帰りたいなぁ……でも、ハンカチ渡さないとなぁ
コンコンと外からのノックにお父様が小窓を開けて衛兵といくらか話したあと私たちに向き直り「城には入る前に多少の身体検査がある、まぁいつもどおり直ぐすむだろう」と
声をかけてきた。
まぁ、お城ですからね。物騒な物持ち込んでないか普段よりはより念入りに確認されるでしょうが仕方ない。安全のためだし、そんなことを考えながら両親に並んで馬車から降りて城の方へ進んでく
テオドール殿下の婚約者としてお城には何度となく来ていたけど、こちらの渡り廊下には一度もきたことがない。
第二庭園は王妃様が管理しているいわゆる後宮にある庭園
男性禁止の花園。
今日のような特別恒例であっても付き添い男性が入れるのは渡り廊下に差し掛かる前までと原則決められている。
そこから先にいる騎士も全て女性騎士が警護にあたっているらい。
なので、お父様達付き添いはこのあと茶会が終わるまで王宮の談話室で待っていることになり、女官により庭園に案内されてるのは参加する子供のみ
(……それはつまり、学園には入る前にどの家と懇意になれるかは自分達の子供にかかってるようなもの、と親世代は思ってるんだろうなぁ)
この恒例事態は純粋に親睦会を意味してるのに、貴族となるとどうしてもその考えが生まれるらしい
「ここから先が王妃様の第二庭園にございます」
普段入らない廊下を考えながら進んでると長いと思っていた道も庭園に続く大きな扉の前までにいつの間にか着いてたみたい
----まぁ、ではそちらの耳飾りは先ほどのお話にあったデザイナーの新作の~
----わたくしの領地にある~
大扉を開けてもらうと、まず比較的近くにいた令嬢達の話がし見渡せば何人かのグループで集まり会話を楽しんでる様子がわかる。そこから離れたテーブル席か庭園を散策したりと各々自由に過ごしてる様子が見えた
扉を開けたときにチラッと回りの様子を見たけど、子供達が思ってたよりギスギスしてないようで少し気が張れた。できるだけ、気配を消したかったかけど誰かが入ってきたから自然と出入口にその場の注目を集めてしまった。
「フローレス公爵令嬢のご到着です」
「皆さまごきげんよう」
庭園の扉に立ってた礼服をきた年配女性の言葉に軽く挨拶を済ませると近くで話していた令嬢達が不思議そうに見てくる
「…フローレス公爵令嬢とゆうとまだ学園には入学されないはずでは…?」
「なぜここにいるのかしら?」
「さぁ……?」
ほらー。早速不審に思ってるよ。
同世代の集まりに一人年下が来たら不思議に思ってしまうのは当たり前じゃないですか。
「アナベル様!こちらですわ」
内心どう噂されるかビクビクしてると奥で散策していたグレース様が日傘を手に持ちながら優雅に歩み寄ってきてくれる様子に知ってる人がいてくれてホッとした。
自然と笑顔になり、わたしもグレース様に駆け寄るとグレース様の他にフェリシエンヌ様と後ろの方に子息がいることに気づいた。
「グレース様、フェリシエンヌ様!お久しぶりです、おげんきでしたか?」
「えぇ、体調に変わりはないですわ。そうね……入学前の制服の寸法や準備に忙しいくらいですわ、ねぇフェシー?」
「そうね、教材とかはともかく寮の手配とか私の場合平日の領地についてとかの話でちょっとね。ん?あぁそういえば」
二人の最近の様子に入学準備が忙しいんだろうなと思ってたら、後ろにいた子息がフェリシエンヌ様の袖をクイクイ引っ張ってる様子がみえた。
だれだろ?この子と思ってたけど、袖を引っ張りながら上目ずかいにフェリシエンヌ様に視線を送ることで、そうだったわねと、子息が見えるように体をずらして
「アナベル様紹介します、こちらはモリス男爵家のご子息ケイレブとゆうの」
「はじめまして!アナベル様、ケイレブ・モリスと言います。ちなみに同い年だよ、よろしくね!」
「は、はじめまして、アナベル・フローレスと申します」
フェリシエンヌ様が紹介すると、ピョコンっ!と効果音がついてくるんじゃないかという勢いでブンブンと握手された
「わぁ、ようやく会えたねぇ!ボクねフィンちゃんとグレース様から君の話聞いてて会ってみたいと思ってたんだ!」
「フィンちゃん……?」
「あ、それは私のことよ」
「そうそう!春の女神みたいにキレイだからフィンちゃんってよんでるんだ」
「私のどこが女神みたいにキレイと思ってるのかしら」
「そんなことないよ!世界一ううん宇宙一キレイだよ!」
「はいはい」
い、いままでに見ないタイプの男の子だなぁ。
多少勢いに押されつつ改めてみると茶髪のふわふわ癖っ毛に真ん丸のオレンジの瞳、小さな体格、人懐っこい性格
なんか……なんか
ワンコみたい………
二人のやり取りに押されぎみでいると、隣にいたグレース様がコソッと内緒話するかのように耳元で
「驚かれたでしょう?彼、ケイレブとフェシーはお父様方が学友で二人がまだ赤ちゃんの頃からの付き合いらしいですわ」と説明してくれた。
なるほど……たしかにそんな感じがする
「今日、アナベル様もこちらにくるお話を聞きましたのでお一人だけ年が違うことを気にされてましたから、フェシーに頼んでケイレブもつれてきてもらったんですの」
な、なるほど……私にも同世代の子がいることで不安を与えないようにしてくれたらしい。
やさしい……やさしいけどアリなんだろうかと疑問が沸き上がってくるけど心が読めるのか、グレース様が王宮の許可も頂いてるから問題あるませんわと笑顔で答えるから大丈夫なんでしょう
なぜか泣いてるグレース様のお父様が脳裏を過った気がした……。
……なぁ、男爵子息なのに立場が上の人にあんなに馴れ馴れしいよな。
ほんと、貴族の端くれでももう少し礼節をわきまえなきゃ……ねぇ?
恥ずかしいやつだなぁ、それをゆるす令嬢たちもどうかと
ふと、聞こえるか聞こえないかの声で陰口が聞こえてきてそっちを見たら少し離れた場所で数人の男女が話してるのに気づいた。
わぁ……いかにも見下してきそうな子達
今のは私たちのことを言ってるんだとわかると、小馬鹿にしてくる態度に頭にきた。一理あるかもしんないけど群れで陰口を言われるのは気分が悪い
言い返そうかと口を開いた瞬間
「クスン……ご、ごめんなさいっボク馴れ馴れしかったかな……?」
「「「「「えっ」」」」」
「ボクみんなとすごく仲良くなりたかった、けっけど不快にさせたならっクスンか、かえります……」
真ん丸瞳から涙がこれでもかと流れ続けながらケイレブは手で涙を拭う
なっ
泣いちゃったっ!!!
突然のケイレブの号泣に陰口を叩いてた男女達も唖然としている。
かくゆう私も泣き出したケイレブにあたふたしてると、異変に気づいた他の子達も集まり出して
どうかされたの?
まぁ、あんな小さな子を泣かせるなんて!
少し訊いたけど、あそこにいるやつらが陰口言ってたらしいよ
なにしてるんだよ
段々人が集まり出して、注目を集めてしまった男女が「べつにそんなに泣くことないだろっ悪かったよ!お前は悪くないよっ」っと謝ると
「ほんと?怒ってない?」
「あぁ!怒ってないよ!だから泣くなよ」
「……よかったぁ!」
「「「「「!!!」」」」」
ようやく泣き止んだケイレブはフニャりと満悦の笑顔を周囲に見せた。
その笑顔は見る人みなにまるで天使のような春の暖かな笑みだったと子供達が親に伝えたがる笑顔だった
エヘヘ……ボクこそごめんなさい。
いや、気にすんなよ
ほら、お菓子食べて
さっきまでの、断罪?的ないやな空間から集まった子息令嬢達がケイレブに笑顔が可愛いやお菓子をあげに集まりそしてお菓子をもらって喜ぶケイレブに子息令嬢達はなぜか赤面している。なんとか問題は解決した………けど
「えっなんだったの」
その場の空気においてかれ気味の私でした。
なんだろう、このふれあいタイムみたいなの
「……はぁ、またやってるケイレブ」
「彼、またこうして周りを籠絡してくんですわよね」
一切口を挟まなかったグレース様とあきれた様子のフェリシエンヌ様曰く
ケイレブは自信の愛らしい容姿と泣き落としで周囲の敵を魅了してきたらしい。物心ついた頃から。
お陰でケイレブの地元からフェリシエンヌの領地までケイレブのファンは年々増えてきてるとか
えっ。なにそれこわっ。
もはや信者の集まりですか?
つまり、さっきのも嘘泣きってこと……。
ワンコっぽいと思ってたけどとんだ小悪魔な男の子だなぁ
ん?
ワンコっぽい小悪魔…………?
「あっ!!?」
「ふぇっ!?ど、どうかなさいましてっアナベル様」
「なに?なにかあった?」
「あっい、いえなんでもなくて」
苦し紛れに適当なことを言って二人の追及から逃れながらも思考を巡らせていた。
嘘でしょ嘘でしょっ
なんですぐに気づかなかったの!?
たくさんのお菓子をもらってこちらにかけてくる様子はまさに犬のよう。
ケイレブ・モリス
ワンコ系小悪魔な同学年男子。
幼馴染みのフェリシエンヌが大好き、けれど肝心のフェリシエンヌからは弟くらいにしか思われなくて長年の恋心に苦しんでるとこをなんやかんながあってヒロインと結ばれる。
「攻略対象じゃん!!」
「えっこんにゃく対象?なにそれ」
「あ、ちがうちがう」
こてんと首をかしげるケイレブ
第2攻略対象がきてるなんて訊いてないよ!




