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今際の乙女ゲーム  作者: 抹茶パフェ
第一章 幼少期編
32/39

ヨークットル公国からのお客様


「きゃー!こっちきたー」

「にげろー!おにさんだ!」


「おりゃ--っ!!わるいこはいねぇかぁー!」


きゃはははっと中庭に響く子供たちをスカートをまくりあげて全力疾走している。こんな姿を家庭教師に見られたら青筋立てて3時間は説教されること間違いないだろう。

けど、そんなことお構いなしに私は中庭を走り回る子供たちを右に左に全力で追いかけ回る。


「はーいっカトリーヌつかまえたっ!」

「わっ!」

洗濯物を干してる竿の間を上手いぐらいにスルスル回りながら追ってからかわしていた女の子をやっと捕まえることができた。

ふう、走った走った。額にうっすら汗が浮かぶのでハンカチで拭う、ついでに捕まえたカトリーヌの汗も拭っとく。「アナベルおねえさん、足はやくなったね!」気づくと周りに一緒に鬼ごっこをしていた子供達がわらわらと集まってスカートを引っ張ったり手を引きながら次はむしとりしよ!とまだまだ遊びたい様子を見せてくれた。

虫は苦手だからやめとこう。



「すっかりなつかれましたね」

「シスター」

「喉が渇きましたでしょう?どうぞ、レモン水を召し上がれ」

「ありがとうございます!もう喉がカラカラで」

「いいなぁー!」

「シスターっシスター!あたしにもー!」

「はいはい、皆にもありますからね」


真夏の全速疾走はただでさえきついのに体温は更に上がり教会のシスターが冷たい飲み物が入ったコップを手渡してくれた。

レモン水をごくごくと一気に飲み干すと喉の乾きが潤うのを感じて今日の暑さを改めて実感した。




・ ・ ・


ある日の午後。


「アナベル様もよろしければ一緒に孤児院へいきませんか?」


グレース様を屋敷に招いてピアノの練習につきあってもらい休憩を挟んだときに思い付いたと言わんばかりにグレース様は突然言った。


「孤児院?なにかあるんですか?」

「じつは、今度の休日にクッキーを孤児院の子達に配ろうと思いますの。今回はフェシーも一緒に配るのを手伝ってくれるので用事がなければアナベル様も来ませんか?」

聞けば年に数回グレース様は孤児院にお菓子や絵本を自ら足を運んで手渡しをしているらしい。

貴族が孤児院に寄付したり慈善事業するのはどこもやっているけどグレース様みたいに直接渡すのは実は珍しい。大抵は従者が代理としてやるからだ。

慈善事業と言ってもいわゆる貴族の点数稼ぎ、『私たちの家はこれだけのことをしてますよ~』とゆうアピール活動としか思ってない貴族も多く寄付した後はほったらかしもする連中がいるくらい。


「今回はどうぶつの型をしたクッキーにしようかと思いますの。味はプレーンとチョコとあとは何がいいと思いますか?」

「えっ!?グレース様お菓子作れるんですか?」

「かんたんなお菓子くらいならつくれますわ。プリンとかタルトなら」

まじか。

貴族が自身で料理するのは二次元のキャラくらいにしかいないと思ってました。いや、待って『グレース』はゲームのキャラだった。ここゲームの世界じゃん二次元じゃん。忘れてた。


それにしてもまだ11才なのに自分から孤児院に行ったり料理もできて勉強もでき容姿がいいなんて、グレース様スペック良すぎない?


「グレース様は出来ないことって何かありますか?」

「もちろんありますわ……わたくし、シュークリームの生地はどうしても失敗しますの。……ぺちゃってなりますから……」


恥ずかしそうに視線をさげてはにかむ様子にかわいいなぁ……なんてホッこりした感情が沸き立つよ。

可愛らしさまであるなんて実はグレース様がヒロインなんじゃない?



「そういえば最近、テオドール殿下にお会いできてないと小耳に挟みましたが本当ですの?」

「あ~……、今は公国のお客様のお相手で忙しいんだとおもいます」


そう、実はここ2ヶ月はテオドール殿下に会えてない。



2ヶ月前に公国からの使者がやって来てなんか貿易や条約やらの会談が行われた。これ事態は前からよくあったけど今回いつもと違うのは使者以外に現公主の子供が一緒に来たことである。


この二人、男子の方はライアン殿下と同い年で女子の方は私と同い年だと聞いたことがある。

テオドール殿下がまだ4歳の頃に一度、前の留学の時も公国に行ったんだった。そのとき公国のお城で交流があったことを2ヶ月前に教えてもらった。


その交流があったからこそ今公国とうちの国は友好度がよりちかしくなり他国へのアピールにもなったりしてるらしい。

今回公主の実子を連れてきたのは只単に遊牧目的じゃない可能性の噂話もチラッと出回っている。国同士がより強固な繋がりを持つのに適したことはやっぱり王族の婚姻が一番だ、けど第一王子のライアン様にはすでに帝国の姫様と婚約が決定してるし割り込んで婚約にごり押ししようものなら帝国に睨まれ戦禍になりえないからなしでしょ。

そうなると、第二王子のテオドール様に的がいく。

公女様とも年が離れすぎてないし面識もある、テオドール様にも(婚約者)がいるけれど公国との繋がりを考えると婚約を白紙にした方がいいのでは?と一部貴族が話してるとグレース様が教えてくれた。


ただ、私の家も四大貴族にはいる公爵家だからか今のところ非もないのに一方的に白紙にすれば公爵家から反感と他の貴族に隙を与えかねない。

なによりテオドール様の婚約者は一度変わってるしコロコロ変更してたら周囲に不信感を与えかねない。


2ヶ月たっても公国に帰国しない使者の様子から見会うだけの功績を持ち帰るよう言われた可能性がある。そんな思惑が絡み合った大人達が腹の探りあいをしてる間、殿下方は公子様達の相手をしてるため最近は会えていない。




「まったく、婚姻がムリとわかったならあきらめて別の話でまとめればいいのにいつまでも居座るつもりなんでしょう?」


プリプリと怒りながら紅茶をにジャムを入れ混ぜながら、グレース様が不機嫌そうに言う。


「やっぱり公国は王族の婚姻が目的なんでしょうか?」

「…まぁ、そうゆうのはありますでしょう。けれど無理に婚姻が必要な状況でもないと思われます。帝国との繋がりもありますし」


ただこの会談でどちらに優位な取引が叶うかが重要とゆうことでしょう


友好国といっても腹のうちまではわからない


「はぁ……やめましょう!このような話、公務で来れないと言っても手紙一通渡さないろくでなっコホン。婚約者のことよりも孤児院に作ってくお菓子の話の方が重要ですわ」


わぁ、ろくでなしと思われてます。テオドール様。

たしかに手紙送っても返事が返ってくることがないけどね。留学のときも手紙なかったし殿下は手紙とかあまり書かないのかもしれない。



「……グレース様、豆乳のクッキーって知ってますか?栄養価もあるし美味しいんですよ」

「まぁ!なんですのそのクッキー知りませんでしたわ!ぜひ作り方を教えてほしいですわっ」

「料理長が作り方知ってますから聞いてきますね」


まだ知らないクッキーの存在に普段は大人びているグレース様の好奇心からあふれる様子が年相応にみえてなんかほっとした。


……不確かな話だけどもし婚約が白紙になってもそれは死亡ルートの一つがなくなるんだからうれしいはずなのにモヤモヤするのはどうしてなんだろう……



・ ・ ・


そんなやりとりがあり迎えた孤児院訪問日。

幸いにも天気に恵まれ雲一つない晴天、グレース様とフェリシエンヌ様と合流してお昼前に孤児院に到着。


「フェリシエンヌ様お久しぶりです」

「久しぶりね、ローズガーデン以来だったかしら?なにかしら、いきなりだけどアナベル様少し痩せました?」

「っ!!」

「じつは2キロ減らせることができたんですっ」

「すごいじゃない、途中でやめずに続ける人はわりと好きよ。肌もキレイになってるわね」

「本当ですかっ?」


自分ではあまり痩せた変化を感じれないけど、他人から痩せたといれると続ける気力が沸いてくる。

けど、隣で深刻そうにグレース様が「このままだとまんまるさが失われてしまうっどう妨害すれば」なんてぶつぶつ一人言言ってますがなんのことだろう?


院長に挨拶をしにいくと親切そうな50代くらいの女性で紅茶を出してくれた。私が出された紅茶を飲んでる横でグレース様が院長といくつか話をしてる、ふと視線を感じてドアを見ると隙間から小さな子供たちが覗いてるのに気づいた。

目があった瞬間にあっとゆうまに走り去り、廊下を走ることに注意する女の人の声が微かに聞こえてくる。


「はじめてみる女の子に緊張してるのでしょう。気になさらないで」

「あっ、ぜんぜん気にしません!私も小さい子とふれあったことないですしお互いさまです」

「わたくしが初めてきたときもあのような様子でしたわ」

「わたしのときも遠巻きに見られてたわね」

この二人の場合美少女二人が突然やってきたら子供にかぎらず周囲の大人にも緊張を与えてたとおもう。キラキラオーラがあるし



そんなやりとりのあと、食堂に移動し二十人くらいの子供たちが椅子に座ってる待っていたので作ってきたクッキーを三人で渡し、お礼に押し花で作ったしおりをもらってその日は解散した。



後日。豆乳クッキーが思いの外子供たちに大好評だったのでぜひレシピを教えてほしいと手紙がきたとグレース様から伝わった。

料理長も喜んでくれてレシピの写しを渡してもかまわないといってくれた。


それから空いてる日に何度か孤児院に行くことをしてると遠巻きだった子供たちと打ち解けれるようになり、本を読んだり、かくれんぼしたり今日は鬼ごっこをして体を動かしたりした。


ふぅ、それにしても暑い。木陰に入って一休みしてたけど午後からさらに暑くなるようだし屋敷に帰って涼みたい。汗かいてシャワーも浴びたいし


「それでね、グレースおねえさんすっごくかわいいんだから」

「フェシーおねえさんのほうがかわいいよ」

「こうじょさまもかわいかったでしょ」


ん?

こうじょさま?


手で扇いでたら同じく木陰で休んでた4、5才くらいの女の子たちが誰が一番かわいか話してるのが耳に入ってきてその二人ならどっちもかわいいよーなんて心で会話してたらまさかの公女さまがラインアップ。


「ね、ねぇ公女さまをみたことあるの?」

「?あるよーねぇ?」

「まえにおうじさまたちもここにきたんだよー」

「王子様……って」

「うんとねぇ、おうじさまとおうじさまとこうしさま?あとこうじょさまってシスター言ってたよ!」

指を一本ずつたてながら教えてくれた人数からみてライアン殿下とテオドール殿下今来日してる公子様と公女様なんだろう




「あたしね、こうじょさまはおうじさまのおよめさんになりたいんだとおもうの!」

「きっとそうだよ!テオってなかよさそうだったもん」

「いいなぁあたしもおよめさんになりたいっ」


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