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今際の乙女ゲーム  作者: 抹茶パフェ
第一章 幼少期編
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領地でのふれあい


「ーーー見えてきましたわ。アナベル様」



 フォスター家馬車に相席をさせてもらってると向かい側に座っているグレース様が車窓から外を見るので私も顔を覗かせて見てみると道行く道に薔薇が咲き誇っている光景が広がっていた。



「ここが、薔薇の都(ラ・ヴィ・アン)(・ローズ)ですか?観光地にはあまり来たことがないんですが、町中薔薇で溢れてますね……人もすごい、賑わってますよ」


「西の町には観光地が多数ありますの。他国からきた観光客で毎年賑わいますわ。それに今は夏の月の初夏、薔薇も咲き誇って見頃な時期になります。この先にある『ローズガーデン』も更に見ごたえがありますわ」



ユノプルノ大国でバラを本気で見たいなら、世界一バラが美しいと言われる「薔薇の都(ラ・ヴィ・アン)(・ローズ)」を訪れるのが良いと言われるほどに最も美しい町に選ばれている。

王都から日帰りで行ける場所にあるので国内からも訪れる人が多く、町中の家々を飾るバラの美しさは、世界中から一目おかれるほど美しく観光客で賑わっている。



* * * * * *


年末を終えてから春の月があっとゆう間に過ぎ去り、夏の月も1ヶ月が早くも過ぎたある日


グレース様とお茶会をしているときのことだった。


『アナベル様、覚えておりますか?以前観光地には3500種類あるローズガーデンのこと。この夏の月が見頃なのでよければご一緒しませんか?』


『ローズガーデン……、いいですね!私まだ行ったことないのでぜひ行きたいです!あぁ……でも、両親の許可をもらわないと』


 たまに忘れがちだけど、私は今年10才にグレース様は12才になる。

まだ子供の私達は親の許可がないと遠出は許されてない。なにかあったら大変処じゃないしね。

 そして、最近家の両親は兄を含めて忙しいから遠出について許しが出るのは難しいかもしれない。


『あら?わたくしもご両親の説得に協力しますわ。アナベル様お一人の遠出は許しがなかなか降りなくても誰かが動向するのであればかまわないでしょう』


『でも、グレース様もご両親の説得をしないといけないのでは?』


『わたくしは大丈夫ですわ。行きなれた場所ですし護衛(つれ)と行くことを伝えてるので許可はおります』


『すごい、信頼されてるんですね!』


『………ふふっ』


『?』


 そんな会話をしてから数日後に私はグレース様と共に両親に西の町へ外出の許可を求めた。

 最初は貴族の子供だけで出かけるのは危険と渋っていた両親もグレース様が親身に説得したことで許してくれた。


* * * * * * * *



馬車を停めて従者の手を借り石畳の上に足をついて周りをみると薔薇で咲き誇る町中に道行く人々は自然と笑顔で往来している。



観光客で賑わっている町でも住民の人口は少なく、若い人は都会に憧れるのか王都か南の商業が盛んな町に移住するらしい。


 しかし伝統で引き継がれたコロンバージュ建築と呼ばれる木骨造りと地方特産のレンガが組み合わさった建物は赤、青、オレンジ、カラフルな色で建てられ、そして石畳にまで溢れ出るように咲き誇るバラ一面の姿はまさに『おとぎの国』と言われる風景で、画家達の絵がをゆさぶられるのもわかる。




「ローズガーデンまで少し歩きますが町を観光しながらならアナベル様も楽しめると思いますわ。カフェもありますし休みながら進むこともできますわ」


「えーと、この道を右に曲がるとその先にあるんでしょうか?」


案内順が書かれたガイドブック(付箋ありまくり)を左手に向かう先を指差してグレース様を仰ぎみると微笑みながら緩く首をふり言った。


「いいえ、アナベル様。ローズガーデンにはこの道の坂をまっすぐ進めば見えてきます。右に曲がると宿泊所に当たりますわ」


「あ、そうなんですね……」


やんわりと否定され先導するグレース様について歩き出すと、視界のはし『この先ローズガーデン』と書かれた案内板が普通にあって気づかなかったのが恥ずかしくって顔が赤くなるのを感じた。


 案内板に従って緩やかな坂を進みながら、近くのカフェでケーキと紅茶を嗜んだり、お土産やさんの愉快なおばあさんにミニ薔薇を貰ったり道行く薔薇のアートを見ながら歩いてると苦にもならずあっとゆう間にローズガーデンの入り口にたどり着いた。


 坂を上がって開けた場所に古びた屋敷を囲うように、あっと驚くほどの薔薇が一面に広がった光景が目に入ってきた。


複数の薔薇が互いの存在を邪魔しないよう尚且つキレイに見えるよう植えられた薔薇並木は見事としかいえない。


「いかがですか?アナベル様、美しいでしょう」

「っ、はい!私薔薇にそんなに詳しくないですけど、こんなにもキレイな薔薇見たことありません。今日来れたことが凄く嬉しいです!」


 両手を胸の前で握りながら興奮気味にグレース様に答えると、それはもう、嬉しそうに笑い


「そこまで喜んでもらえるとわたくしも幼なじみも嬉しいですわ」


「……え?幼なじみ…ですか?グレース様の?」


「えぇ、ちょうどいま……あぁ来ましたわ。お久しぶりね、フェシーこちらですわ」


グレース様が私の後ろに向かって声をかけたことで私も後ろを振り返るとちょうど少女が私たちのとこについた。



「紹介しますわアナベル様、この子がこのローズガーデンを治めてる領主の娘フェリシエンヌ・ロズィエリストですわ」


そこにいたのは、これまたグレース様とは違った美少女が背筋を綺麗にただしてスカートの端を持ち上げて頭を下げながら


「お待ちしておりました。フォスター様、フローレンス様。わたくしどもの領地へようこそお越しくださいました」


「へっ?えっえぇと……ご丁寧にありがとうございます、えっとロズィエリスト様?」


突然の美少女の登場だけでなく丁寧な挨拶をうけて変にどもってしまう。


「もう、フェシー!らしくないことすることないですわ。わたくしにまで社交辞令みたいな態度はなしと言いましたでしょう?」


「と言いますけどね、グレース。私の家は男爵、あなたは公爵家なんだから一応礼儀的な挨拶しないとどやされるのは私なのよ」


 美少女ことフェリシエンヌ・ロズィエリスト様は顔にかかった髪を耳にかけながらやれやれと溜め息をはいた。


 グレース様は、それはわかってますけど今は誰も見てないから平気ですわと返すのに対し、フェリシエンヌ様は意外と人は見てるし噂好きなものと話を繰り広げるなか私は話についていけず一人ポツンと会話の流れを聞きながら改めて周りを見てみる。


 広々とした薔薇園には訪れた人々がおもいおもいに花を愛でたり談笑してるのが見える。

 坂の上からだと町の様子やちょっと遠目には来るときに通過した教会が小さくだけど見えた。


「そういえば、この建物はなんだろう?」

「あぁ、薔薇園にあるあの古い屋敷?あれは先の大戦で廃村になりかけたこの町に薔薇の苗を植えまくって村お越しをした創始者の元屋敷よ。今はただの博物館になってるの」

「へぇ……そうなんですねって、え?」


 薔薇園に囲まれた屋敷が急に気になって独り言呟いたら、まさか返答が返ってくるとは思わず驚いた。


 いつの間にか、会話がすんだのかグレース様とフェリシエンヌ様が同じように屋敷を見ている。


 曰く、150年前に隣国と始まった戦争は膠着状態も含み3年も続いた。

この村も戦禍に巻き込まれ大戦が終わる頃はほとんど焼き野原と化し大半の村人も亡くなった。


大戦後、負傷しながらも故郷へ帰り着いた彼の人を待ってたのは戦争で変わり果てた村の様子と、待っててくれたはずの妻子の墓の前で泣き崩れるしかなかった。


生還を果たした末の現実に向き合えず日々をただ過ごしていた彼の庭には、いつの間にか運良く戦禍の被害から逃れた薔薇の蕾が一つ花を咲かせていたことに気づいた。


 生前、妻と娘が大切に育て上げた薔薇が、たった一つでも咲いたことが、二人との思い出がすべて亡くなった訳じゃないことが、どれだけ彼の心を救ったか…

分からないだろう。


 戦争を終えてから彼は兵士を辞め村の再興に力を注いだ。荒れ果てた上に村人の数も減っていたが皆で力を会わせて数十年で復興を果たせることになるがそれはまだ先のことである。

 

 彼は生前から育て上げた薔薇を自宅の庭だけでなく近所の住民を初め村中に薔薇を渡し植えてくことで、村はあかるくなっていくのであった。



「……とゆうことがあり、今代まで続けてきたことでかつては荒れ果てた村が薔薇の観光地まで発展したと言うわけ」


 めでたし、めでたし。片手を挙げてため息一つつきながら話終えたフェリシエンヌ様が薔薇園を見渡した。


「……こんなに人が賑わってるのに、なんだか、想像できないです」

「まぁ、それはしかたないのよ。私たちが生まれる前の話だしね、更にたてば此処が戦禍にあったことも忘れられるかも」

「けれど、フェシーは両親の跡を継いでこの町を守っていくのよね?今の話もあなたが語り継いでいけば皆忘れてかないわ」


グレース様の話にフェリシエンヌ様が「まぁね、私もこの町が大好きだから盛んな町の姿だけじゃなく成り立ちも覚えててほしいからね」

少し誇らしげに胸を張った姿に、私より少し年上なのにこの年で将来について考えてるなんてスゴいな


 私たちの間に一際強い風が吹き抜け、髪を押さえる。


「風が強くなってきたわね。薔薇園を見たあと博物館の中で2階に飲食ベースがあるから寛いでくといいわ」


その言葉に私もグレース様も賛同し、早速薔薇園に入って行った。


先を進む二人を見てると私もおいてかれないようにもっと頑張って、何か将来についてやることを考えるべきだとこっそり心に決めたのだった。


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