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今際の乙女ゲーム  作者: 抹茶パフェ
第一章 幼少期編
29/39

慌ただしい一年だった……。


しんしんと雪が降り積もる。



季節も変わり紅葉も茂み寒さも厳しく雪もよく降るからか、以前までの暖かな印象を与えた街は降り積もる雪でひっそりと静かな印象に変わってく。寒さのため手を擦りながら早足で帰る人、みんな温かい家の中で暖まりたんだろう。


「はぁ~……。息曇るなぁ、夜はもっと寒くなるんだね」


「お嬢様、窓に息を向きかけないでください」


 馬車に揺られて進むなか雪でできた轍ででこぼこしてるからか振動が凄くくる。……滑って転倒とかしないよね?

 そんな不安が過るなか今年もあと4日で終わると思うと今日あったことが頭を過る。



* * * * * * * *



 『年末まであと4日。宜しいですか皆さん、大掃除も今日までに終えなくてはありません。明日からは年末年始の準備が待ち受けております!一分一秒無駄にはできません。各自役割を確認したら早急に取り組むように!始めっ!!』


 パンっと執事長が柏手を打つと整列していた使用人達が一斉に動きだしそれぞれの持ち場につくよう拡がってく様を2階の階段手すりを掴みながら見てた。


 冬の月に入ってから少しずつ大掃除が始まり今はラストスパートで追い込む型で掃除やチェックをしている。

 私も自分の部屋掃除くらいは自分でやろうとしたら、逆に汚れたのでミモザ達に凄い怒られた。(忙しくて気が立っていた)


 年末年始は親戚一同が我が家に来るため毎年慌ただしくこの日の準備をしている使用人達には悪いけど、これからお城に登城しに行かなければならないから心苦しい……。


「アナベル、馬車の準備が出来たからこちらへ来なさい」

「はい、お父様今行きます」


 1階からお父様に呼ばれて階段を駆けおりて側による。

共に外に出れば空は晴れ晴れしていても昨晩降り積もった雪と吸い込む空気の冷たさに喉が凍てつく。


「お嬢様足元にお気をつけください」

「わかってるよスミレ、行ってきます」

「「「行ってらっしゃいませ、旦那様 お嬢様」」」


 馬車に揺られて屋敷が遠ざかる。

雪道のために夏場より速度を落として進むためお城に着くまでが長く感じるかと思ってたけど車内でミモザと話したり、窓から見えるお店について聞いたりしてるといつの間にか城門が見えてきた。



「アナベル、殿下への挨拶がすんだらお前は客室で待ってなさい。私はその後旧友と話がある」


「わかりました。お父様」


城内の長く広い廊下をお父様と二人で謁見の間へ進む最中前方からグレース様が歩いてくるのに気づいた。


「グレース様!」

「…?あら、アナベル様ごきげんよう。公爵様もおかわりく安心しましたわ」

「これは様、お久しぶりでございます。フォスター嬢もいらっしゃってたんですね」

「えぇ、父の忘れ物を届けにきましたの公爵様は陛下への挨拶で参られましたの?」

「はい、今年も後4日になりますゆえご挨拶に。冬の間はわたくしは砦の強化を見直しなどしてましたのでその報告もあります」


お父様とグレース様が当たり障りない会話を繰り広げてるなか、子供のグレース様が臆することなく大人と会話する姿は2つ年上にしてもすごくないですか


実は中身が大人と言われても驚かないなぁ


「~それなら、わたくしも殿下に挨拶にご一緒してもよろしいでしょうか?そうすれば公爵様は陛下とゆっくりお話しできますしわたくしもアナベル様とお話でできます」

「……アナベルお前もそれでかまわないか?」

ん?一人会話に参加せずに呆けてたらなんかグレース様も殿下のとこに一緒に向かう話になってた


「わたしもグレース様とお話がしたいです。お父様」

「…わかった。フォスター嬢それでは娘をよろしくお願いいたします。いかんせん好奇心からかすぐ迷子になりやすい」

「あぁ…心得てますわ。それではアナベル様参りましょう?殿下がお待ちしておりますわ」

「ハイッ!」


なんかお父様もグレース様も一瞬遠くを見たようだけど、さすがに通いなれたお城のなかを迷うはずがない。

胸を張るアナベルの様子に公爵は溜め息をつきグレースは生暖かい目を向けてその後また一言二言話そのまま別れた




「とゆうわけで、わたくしがここにいても不思議ではありませんわ?殿下」

肩にかかっていた一房を指で遊びなからなにやら勝ち誇った顔で向かいに座るテオドール殿下にいい放つグレース様


その向かいに座る殿下はわたしたちが部屋にはいると笑顔がグレース様を見た瞬間ひきつったように見えたけど気のせいかな?


「今年も残りわずかな期間にグレース嬢が会いに来てくれるなんて光栄だね、けれど年の瀬は何かと忙しいだろうからお帰りいただいてもかまわないよ?」

「あなた様に会いに来た訳じゃないとご存じですわよね?はぁ、本当はあのままアナベル様をお持ち帰りしたかったのに…」

なんかわたしはお持ち帰りされそうになってたらしい


いつも通りと言ったらおかしいだろうけどグレース様とテオドール殿下は席についてから攻防戦を繰り広げてるさまをクッキー食べながらどうしてこんな仲が悪いんだろと考えたけど理由わからないので仕方ない


あっそうだった!

持ってきていたバックの中からラッピングがほどこされた目当ての物を手に取り向かいに座っている殿下へかけよってズイッと差し出す


「これは?」

「遅くなりましたが誕生日プレゼントです殿下っ」

「へぇ誕生日プレゼント?開けてもいい?」

「どうぞ」


冬の月のはじめに風邪を引いてしまい誕生日を迎えて11才になるテオドール殿下の誕生祭に参加できなかった

お父様は出席して替わりに手紙を渡してくれたと知ったのはだいぶ熱が引いたといだった


「アナベル様高熱を出して寝込んでましたものね、半月くらい完治に時間かかりましたでしょ」

「今年の風邪はみんな喉から発症して治りにくかったらしいね 」

「咳が止まらなくて寝れなかったのが一番つらかったですね、お二人に移さなくてわたしとしては良かったですが」

テオドール殿下からは見舞いの花がグレース嬢には果物が送られてきたらしい。本当は直接渡したかったとグレース様はいうけど移してしまうと厄介だから来ない方が助かったんだよね


ガサゴソと包装を外して出てきたのは精巧な透かし彫り工芸でできた栞が二枚。


冬の結晶の下に、ウサギとネコが生き生きしている様子でとても可愛いくて一目惚れしてしまった。

ウサギとネコは高品質の真鍮で精密に作られており、レトロなカラフルな色と細かい花と動物の模様がありしおり自体は薄いので、さっと本に気軽に挟めて使いやすく持ち歩きも邪魔になりにくい物を選んだ。

チェーン部分があるので、下側からもどこに挟んでいるか分かりやすいと思い買ったけど、デザインが可愛らしくて女の子が使うのはいいけど男の子には合わないんじゃ?と気づいたのが城についてからなので替わりは用意できなかった。


「まぁ、可愛いしおりですわっ」

「テオドール様よく本を読むと言ってましたし、そのしおりに一目惚れしてしまいました」

「わかりますわ!わたくしもそのしおり気に入りたした、どちらのお店ですの?」

やっぱり女子には人気のデザインなだけありグレース様にはうけたようだ


対して殿下はネコの方を手に取りフムっと考え込んでる


あぁ~……やっぱり男の子にはかわいすぎて気にさわったのかもしれない

それか誕生日プレゼントにしおりなのが気に入らなかったのかも


う~んとこちらも思考にふけっているとスッと渡したネコのしおりが手元に渡されてきた


えっ気に入らないから返品ですか!?


おどおどしてしおりと殿下を見比べるともう一つのウサギのしおりを持ちながら


「これペアセットだね。繋げるとつながった絵柄になるから僕とアナベルで一つずつ持ってよう」

ペアなら二人で持ってたほうがいいし


これペアセットだったんだ……気づかなかった

手元に戻ってきたネコのしおり、殿下と謀らずしもお揃いの物を持つことになってしまった


「お揃いだね、ありがとうアナベル嬢」

「……っ」


なんだろう普段と違って子供らしく笑う殿下にむず痒さが込み上げて顔が熱くなる


「~~アナベル様っわたくしともお揃いのしおりを持ちましょう!」

「なんでそこで張り合ってくるんだろうね君は」

「グレース様の好きそうなしおりもありましたよ」

花とか鳥とか妖精とかいろいろ

「わたくしコブタのデザインがいいですわ」

「コブタ……コブタですか」

あったかなぁコブタの可愛いしおり……

それにしても相変わらずのコブタ押し。ポークちゃんたちは元気かな


コンコンッと控えめにノックされ全員の視線が扉に向かうと入ってきたのはお父様ともう一人


「あら、お父様もご一緒でしたの、どうかなさいまして?」

「グレース……お前までなぜここにいるんだ。すぐ帰りなさいと言っただろう」

「言われましたわね。けどわたくし帰れない所用ができましたの」

「……聞かなくても言うことがわかるがよっぽどのことなんだな?」

「もちろんですわ。アナベル様とお話する為ですもの。それ以外に何かありまして?」

「せめて殿下にお会いしたかったと嘘でも言わないか」

「こんな、……んん!殿下に会いにくるならツチノコ探しに旅に出向いた方が楽しいですわ。それより楽しい会話の邪魔をなさらないでお父様?」

「フローレス嬢のことよりもなグレース」

「はぁあ?アナベル様のことよりも重要なことがありまして?お父様。ありませんよね?」

「……」


突然はじまったフォスター家親子のテンポいい会話

グレース様父を黙らせるなんてさすがとしか言えない

力関係どうなってるの?


それにしてもわたし何をしてこんなグレース嬢に気に入られたんだろ


胸に手を当てて考えてみたけど心当たりがまったくない


項垂れてるグレース様父になんか気の毒さを感じざるを得ない。

テオドール殿下にどうにかしてもらえないか視線を向けるとわたしのお父様と何か世間話を繰り広げていて助け船を出す気はなさそう

とゆうか、お父様も親子の会話を気にしてない様子


もしかしなくてもこの場をおさめないといけないのはわたし?


「あのー……グレース様」

「どうかなさいまして?あ、お父様のことはお気になさらず」


いや気にします


「ですが、わたしもお父様が来ましたし屋敷でも親戚が来るので準備しないと行けませんから帰ろうかと思います」

日も暮れてきたし、夜間になれば道も混む上に雪で滑りやすい

できるだけ明るいうちに戻った方がいいと思う

「そうですわね……たしかにこれから忙しくなりますわ、わたくしも帰ってやらなければならないことが……でもアナベル様ともう少し話がしたいですわ」

そんなシュン……としなくとも間違ってないのに心がいたい!


「また手紙書きますしいつでもわたしの屋敷に来ていただいてもかまいません。年明けにはどこかに出かけたりして、なので今日はこれでお開きにしませんか?」

「一緒におでかけ……?それはたのしそうですわ!ぜひご一緒しましょう、そうと決まれば屋敷に戻って早速やるべきことを片付けて参りますわ!行きましょうお父様っ」

「いや、私はまだ仕事があるんだが」

「そうでしたわ。ではしっかりお仕事なさいませわたくしは先に帰りますので、それでは未菜さま失礼いたしますわ」


どんなに急いでても退出するときの作法が洗練されてるので雑っぽくならないのがグレース様


そのまま扉からでていき部屋に残ってたグレース様父も溜め息一つせず「わたしも仕事に戻らせていただきます」と殿下とお父様に一礼して扉に足を向けてたがわたしに視線を向けて止まった


「グレースはずいぶんとあなたのことを気に入ったようだ。これからもあのこと仲良くしてやってほしい」

「はっはい。わたしもグレース様には良くしていただいて学ばせてももらってます。これからもグレース様とはお会いしたいと思います」


そうか、よろしく頼む。最後にそう言われしかし扉閉まる寸前に「なぜ気に入ったのか謎が残るが…」とこぼれ落ちた独り言が聞こえたけどわたしにもわかりません。名探偵よんでほしい


「それでは殿下、わたくし共も失礼致します」

「うん、帰ってからゆっくり休んだ方が良い。それじゃあねアナベル嬢、また来年」

「ハイッ失礼します殿下」


かくゆう私たちもお城のから帰ってまた慌ただしい屋敷で明日についてやることがたくさんあるのであまりゆっくり休むことはできなさそう






* * * *



そんなこんなで馬車に乗りうつらうつらとしはじめた頃には屋敷に戻っていた。


そっから先は本当に忙しく次の日から集まった親戚中の接待をしたりとハプニングがあったりと疲れのあまりによく覚えてない


今年はいろいろあったなぁ、せめてゲーム開始前は何事もなく過ごしていたい

そんなことを願いながらベッドに入って眠りについたのは覚えてる


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