二人は犬猿の仲と書いて仲良し?
突然ですが「月の宮感謝祭」とゆうのをご存知でしょうか?
転生前の世界でもアメリカが感謝祭をやっていたけど、この国でも感謝祭がある。
いったい何に感謝するのかとゆうと大昔に月の女神が厄災を封じて救ってくれたことに感謝を告げることから始まり、今では王家への感謝や親への感謝、友人、知人とにかく日頃の感謝を皆で祭りを挙げ祝う日になっている。
「……そんなわけで街はお祝い騒ぎで賑わっているのに、私は王宮で政務の手伝いですか…」
王宮の大きな窓から城下で楽しそうに賑わっている国民の姿にため息が自然とでる。
私が居るのは王宮の客室の一室で待機してる状況。感謝祭になんで私が王宮にいるかとゆうと感謝祭の一日目は王宮のバルコニーから国王夫妻並びに王太子のライアン殿下そしてテオドール殿下と私が集まっている国民に挨拶をしその後王家の馬車で王宮から大聖堂へパレード形式で向かう。
「アナベルお嬢様はテオドール殿下の婚約者なのですからこれも務めですよ。そろそろ時間も近づいてきたのでシャンとしてください」
「わかってるけど、緊張で胃がいたくなるのよぉ……ミモザぁ」
「……情けない声出さないでください。」
コンコンとドアをノックされソファーでだらけてた私にサッと鋭い眼を向けてきたミモザにソファーから慌てて立ち上がり、手で身仕度を直した。
ミモザはおかしなとこがないか確認してからドアを開けて来訪者をなかに招き入れた。
「やぁ、ミモザ。アナベルの準備はできたかな?」
「はい勿論でございますテオドール殿下。準備はできてますのでいつでも式典に出れます」
「頼もしいね、それじゃあ行こうかアナベル。陛下達も既に向かわれてるから僕らも行かないとね」
「はい……テオドール殿下」
(ぜんっぜん心の準備ができてませんがっ!)
胸の内に葛藤が沸き上がるけどテオドール殿下に手を引かれて国王夫妻方がお待ちする場所へ進んでいく。
「感謝祭開催の言葉を王宮のバルコニーから広場に面した場所へ集まっている国民へ国王夫妻が挨拶されます次にライアン殿下その後テオドール殿下並びにアナベル嬢が国民の皆へ顔を見せて戴きます。」
いいですか?貴方は挨拶ないんですからね。笑顔で手をふればいいだけなんですからどじ踏まないでくださいね?
老紳士の最終説明を受けた後スミレに私は念を押されているけど私はそんなにどじじゃないと伝えたら自覚がないんですか?何かしら問題がおきるんですよ貴方は。と飽きられた。失礼だなもう
近衛騎士が窓の扉を開けて国王陛下が王妃へ手を差し出し王妃も笑顔で頷いて前に進み出る。
王宮のバルコニーへ国王夫妻が姿を見せるとワッと歓声が聞こえていた。けれどその喧騒も国王陛下が右手を挙げると唐突に止んだ。国民の皆が陛下の言葉を聞き逃さないように静まり返ったんだ。
「今年もまた、皆と共に感謝祭を迎えることが出来き喜ばしいと思う」
広場に陛下の声が拡張聴を伝って重低音が響く。
全く関係ないけど目立たないように拡張聴を設置できるなんてジミにすごい。
「古来より月の女神に救い救われ国が建国してから、今日迄我々で築き上げてきたすべての出来事に感謝しそして皆の此れからも健やかなる成長と国の繁栄に祝福があらんことを!」
陛下の御言葉にワァっ!と歓声と拍手が鳴り響いた。
何処からか広場に紙吹雪が舞い上がりに国民が驚き頭上に降り注ぐ紙吹雪を掴もうとする子供もいたりした。これより四日間の感謝祭が開催を告げられたのだ。
「そんなに緊張しなくてもいいんだよ?アナベル嬢」
「そうは言われましても…」
今私達は六頭の馬に引かれた儀式用ランドー型馬車に乗って大聖堂に向かっている。
先頭を騎士団長が率いる騎馬隊が先導し続いて国王陛下と王妃様を乗せた馬車その後にライアン殿下とテオドール殿下と私を乗せた馬車が順に王都を東から周り大聖堂で大司教様から洗礼を受けて今度は西から周り王宮へ戻る予定になってる。
国王陛下万歳!
王妃様相変わらずお美しい!
きゃーーっライアン殿下テオドール殿下がいらしたわ!
よく見えないよお母さんっ
町中を音楽が奏でる中を近くで王族を見ようと国民がせめぎ会う姿を馬車の上から手を降りながら見てると王家の人気度が凄まじくて押される。
私もテオドール殿下の婚約者だからこうして近くで王族と話せるけどそうじゃなければ顔を見合わせることもない存在なんだと改めて思い知った。
しかも普段あまり話さないライアン殿下……王太子様と相乗りなんて緊張するなと言う方が無理すぎるし緊張から顔がひきつるよ
「アナベルに緊張するなと言うとかえって緊張して動かなくなりますから言わない方がいいですよ兄上」
「そうなのか?それは変に意識させて悪かったね」
「ほら見てください、既に緊張のしすぎでからくり人形みたいな手の振り方ですよ。本人気づいてないのが面白いですね」
「お前は……なんでそうゆうことを言うのかな」
なんかお二人がしゃべってるが私の耳を右から左に流れてく。はやくおうちに帰りたい。
そんなことを考えてると視界の端に人混みに紛れて見え隠れしたピンクゴールドの髪が見えて思わず立としたらテオドール殿下に手首を掴まれた。
「危ないよアナベル。馬車は今動いてるんだから座りなさい」
「あっ……申し訳ございません。知り合いがいた気がしたんですが」
でも、気のせいでした。通り過ぎた道筋を振り返りながら座り直して考える。
この『世界』でピンクゴールドの髪を持つのは一人だけ、『ヒロイン』その人のみ。
※ ※ ※ ※ ※ ※
大聖堂での洗礼を受けた後王宮に戻り陛下と殿下達は他の公務があるため私は屋敷に戻り休んで良いと言われたので帰り支度を整えるために控え室にいる。
「ん~~。緊張したぁ!お腹すいたぁ!」
「お嬢様……休んで良いとは言われましたがだらけて良いとは言われてませんよ。早く着替えてくださいね」
「そうは言うけどミモザ、朝から緊張し過ぎて何も食べてないしあんまり寝てなかったんだよ」
……帰ったら軽食を用意します。ため息付きながらミモザに着替えを手伝ってもらい終えるとスミレがお客様ですとグレース様を案内してきて驚いた。
ここ王宮なのに気軽に入れるの?
「ごきげんようアナベル様。先ほどはお疲れさまでした」
「グレース様……あの、どうして王宮へ?」
「父の仕事ついでにわたくしも陛下へ挨拶しに登城致しましたの。アナベル様はこのあと帰られるようだと聞きましたので、その前にこちらをお渡ししたくて参りましたわ」
そうゆうとグレース様は真っ白な蕾の『月光華』とゆう切り花を差し出してきた。
『月光華』は日中は蕾だけどその名の通り月の光で華が開花され淡く光る華。
とても育てづらく栽培地も少ない感謝祭のためだけに栽培し売られてる華。
感謝祭に相手に送る華とゆうのが習わしなんだよね。まぁ、四日くらいしたら枯れちゃうけど
「ありがとうございますグレース様、私も屋敷に戻りましたらグレース様にお花送りますね」
「まぁ、嬉しいですわ!そうですわ感謝祭の日によろしければ出店を回るのご一緒しません?わたくしぜひアナベル様と回りたいですわ。ご迷惑でなけば……」
おう、ぐいぐいくるグレース様かわいいなぁ。普段大人びてるけどこうゆうとこは年相応の女の子みたいな感じするね
「婚約者を差しをいて誘うのはどうかと思うなグレース嬢」
和やかな会話のなかにいないはずの……いや、テオドール殿下の声がしたね。確実にとゆうか居るね、何か用でしょうか?
「あら……テオドール殿下ごきげんよう。差しをいてと言われますが友人を誘うのに殿下の許可はいりませんよね?それとも殿下は人の交遊関係に口を挟みたくなる器の小さな殿方ですの?」
「……アナベルがグレース嬢と友人になるのは予想外だったな。正反対だろ君たち」
「うふふ、正反対だから馬が会うこともありましょう?それにわたくし達これまでも何度かお会いしておりますのよ」
「君たちが?」
そうなのだ。あのお茶会から4ヶ月たったけどその間も私の屋敷にグレース様を招待したり手紙のやり取りやたまに出掛けたりと交遊が続いてる。
最初は近づきづらい方かと思ってたけど今では仲が良い友人と言われても過言じゃない
「それに殿下は感謝祭の間も公務がおありでしょう?アナベル様はわたくしと過ごしますのでお気になさらずお過ごしください。えぇ、殿下でなくわたくしと出店を回りましょう?アナベル様」
ここで私に振るんですかグレース様!
……でも、まぁ確かにテオドール殿下は感謝祭の最中も王族の為王宮で公務や陛下達と過ごして忙しい。月光華は毎年くれるけど過ごした時はないしなぁ。
「テオドール殿下は忙しいしでしょうし、グレース様がよろしければご一緒したいです。ただ」
「ほーら、御覧なさい。アナベル様はわたくしと出店を回りますので貴方様は王宮でお過ごしくださいな!」
「……なんだか凄く勝ち誇ってるねグレース嬢。まぁ、友人との付き合いも大事だしね。楽しんできてアナベル、後最終日の灯籠飛ばし忘れてたらダメだよ?」
「ふふっ………え?最終日……アナベル様、まさか最終日は殿下と過ごすのですか?」
「え?はい、以前から殿下から誘われてましたので」
感謝祭の最終日は家族と灯籠を空に飛ばし一年の祈願を願うのが多いけど中には恋人や婚約者と過ごす特別な日
「あぁ、まさか友人が婚約者との会瀬に口を挟んだりしないよね?グレース嬢はそんな器の小さな女性ではないから」
「ぐっこのっ……ほんといい性格ですわっ」
さっきはグレース様が生き生きと実に楽しそうだったのに今ではテオドール殿下が楽しそう……。
あれはハムスターが反抗してきて猫がイタズラに爪を立てて遊んでるよう。
しかし、未だに言い争う二人を見てると何てゆうだっけ……たしか
「ああ!喧嘩するほど仲が良いとはこのことですね!」
「「絶対ありえない(ですわ)!!」」
『これは、犬猿の仲とゆうのですよお嬢様』
ミモザは静かに心で突っ込んでいた。




