グレース・フォスター
落ち着いた色合いの、深緑色のドレス。
銀髪の縦ロールに巻いた頭には薄い碧のカチューシャを付けている。
その瞳はまるでマスカットのように艶めく甘いグリーンが今は軽蔑を現している。
馬鹿な私でも知ってる。突然現れたその少女は、左大臣の一人娘に間違いない。彼女の隣には、白いマントを身に付けた護衛の男もいる。
「グレース様……まさか此方にいらっしゃるなんて」
「あれは……フォスター家のご令嬢じゃないか!?」
「そうだ、左大臣様のご息女!っよく見ればここにいるのはフローレス家のアナベル様じゃないか?」
「えっえっ?これはどうゆう展開なんだ?」
集まりだして困惑する周囲の視線なんて気にもせずに、グレース様は幼いながらにして堂々とこちらに歩いてくる。
目の前に来て3人の令嬢と私を見比べては手に持っていた扇子を広げて口元を隠しながら……舌打ち…しました?
「それで、貴女方は何が気にくわなく従来の真ん中でこの方に言いがかりをつけるのですか?」
「グレース様!わ、わたくし達は言いがかりなどつけておりませんっ。アナベル様が文武相応にも殿下の婚約者にしがみついてるのが悪いのです!」
「そうですわ!公爵家の権力を使って殿下と引き裂かれたグレース様を気の毒に思っての進言ですわ」
「わたくし達はグレース様の為に」
パシンッ
尚も私に対する暴言が繰り広げられなかグレース様が広げた扇子を閉じる音で黙らせた。
「もう結構です。何を勘違いしてるのか知りませんが、わたくしの身内でもない友人でさえない貴女方にそのようなことを発言する権利はありませんわ」
「なっ!?グレース様それは失礼ではありませんかっ」
「事実を言っているだけです。わたくしが殿下の婚約者候補の時は我が家に媚をすり付けておきながら候補でなくなった途端掌を返すような方々をわたくしは友人と思いませんわ。
それで今度はこちらの方へ言いがかり。貴族と言うより人として貴女方は恥じるべきです」
グレース様に懇々と諭されて顔を真っ赤に染め唇を噛んでる者逆に真っ青になって震えてる様子を見せられるとこっちとしては胸が少しスカッとした。
「おおかた、貴女方は今度はフローレス家にとりいろうとして失敗したのでしょう?」
「わたくしはっグレース様が領地に追いやるほど悲しみに暮れてるなら力になりたいと思って!」
「……?別にわたくし悲しみに暮れてませんでしたが。むしろ婚約者を変わってもらって感謝してますわ」
「「「「「えっ」」」」」
「あら?」
何かおかしなこと言いましたかしら?と首をかしげて扇子を口元に当ててる。
かっ可愛い。じゃなくて!可笑しいなたしかテオドール殿下とグレース様は相思相愛じゃなかったっけ?それでアナベルが強引に2人の仲を引き裂いたはず……だよね?
他の3人令嬢達も聞いてた話と違うと顔を見合わせてるから私の記憶違いではないはずだと思う。どゆこと?
「何か思い違いをしているようですが、貴女方がいますべきなのはこの方への謝罪と即刻この場を立ち去ることですわ。それとも、どうしても謝罪をしたくないのならそれでもよろしくてよ?我が家から貴女方のご実家に抗議させていただきます」
クスリとさげずみながら笑う姿にグレース様って本当に11才?私の知ってる11才はもっと子供らしいんだけどな……。そんなことを考える私は多分この状況から現実逃避したいんだろう。だって恐い
チラリと3人の令嬢達を見ると一人は事態の悪さに気づいたのか謝罪しようか残り2人の様子をキョロキョロ見て困り顔してる。一人は悔しそうに手を握り締めて黙り、最後の一人は……無表情でなに考えてるかわからない。
「……アナベル様この度は失礼なことを言い申し訳ございませんでした」
「っ!申し訳ございませんアナベル様、グレース様!わたくし出すぎた真似をいたしました」
「申し訳ございません。決してフローレス家と王家を軽んじていた訳じゃありません」
やがて少しの沈黙のあと3人の令嬢達は頭を下げて謝罪した。
が、その顔は納得のいかない不満さが現れている。とゆうか、軽んじてなくてあの発言するのはそれはそれでどうなのって話なんだけど。しかしここは街中、これ以上の(もう手遅れでしょうけど)騒ぎは大きくしない方が賢明なんだろうな
グレース様も顔に(怒)と書いてるけどそれがわかるから溜め息一つで引き下がることにしたらしい
「貴女方のことはご両親に忠告を入れさせてもらいます。同じことが今後ないようにしていただかなくてはありませんから」
「そんなっ」
「まだ何か?いい加減下がりなさい」
苦虫を噛み潰したような顔をしながら失礼いたします、そう最後に言い3人の令嬢達は人混みを分けて立ち去っていった。
その姿が見えなくなったと確認したあと優雅な動きで、グレース様は周囲を見渡す。
深緑のドレスの裾がひらりと翻り、その場にいた人々が皆その美しさに感嘆し見とれるほど。
一瞬で皆の視線を虜にしたグレース様は、さすが幼い頃から礼儀作法を身に付けてるだけあり指先まで洗礼されている。1年間遅れを取り戻そうと習って来た私とは比べようがない。
家柄だけでなくこの方が婚約者候補に選ばれるのがわかる。
私はおそらくこの方に勝てない。
「皆さま。このような騒動をおこしてしまい申し訳ございません。ですが問題は片付けましたのでごゆるりと各々ご自由にお過ごしください」
グレース様の言葉にその場にいた人々は、滅相もないっあの方がたが問題なだけであなた様が謝ることじゃありません!と慌て二目ことになった。
段々集まっていた周囲の人が散り散りに離れて行きグレース様と私それとそれぞれのお付きとか護衛が残った。
「ふぅ……。災難でしたわねフローレス様ですがさすがに言いがかりはもうされないでしょう」
「あ、ありがとうございます。あのよろしければ私のことはアナベルとお呼びください」
「まぁ!よろしいのですか?でしたら是非わたくしのこともグレースとお呼びください」
「わかりました、グレース様」
ニコニコと嬉しそうに笑うグレース様だけどなんでこんなに友好的なんだろ?私あなた方の婚約の邪魔した存在なんだけどな……でも婚約者を変わってもらって嬉しいってことは二人になんかあったことなんだよね
「アナベル様ずいぶん痩せられたようなんですね。ですが……はぁ
まだまだコブタちゃんで安心しました」
……………ん?
いま、なんて……?
「あぁ、ごめんなさい。アナベル様を見てるとつい我が家で飼ってるミニブタを思い出してしまい。わたくしにとってコブタちゃんはかわいらしい存在なんですわ」
「は、はぁ」
えっなに?うっとり見てくるけどコブタちゃん……いや可愛いってこと?それとも遠回しにバカにされてる?あのフォスター家の方説明してほしいんですけど
グレース様の後ろに控えてるフォスター家の付き人があぁ、また始まった……って顔して暗い顔をしている……なんか、お疲れ様です。
「グレース様そろそろサロンに行きませんと皆様がお待ちしております」
白いマントを身に付けてるグレース様の護衛の方が先を急がせたことによりようやくグレース様の視線が外れた
「そうでしたわね、残念。わたくしこのあとサロンで友人達とお食事しますの。よろしければ今度我が家に招待しますので遊びに来てください」
「ありがとうございます。そのときはぜひ招待お待ちしております」
「えぇ、では失礼いたしますわ」
そうゆうとグレース様はフォスティーヌ・サロンに入って行った。
何故ここにいるのかと思ったけどサロンに用があったのね。時間とらせてしまった。
「お嬢様、わたくし達も帰りましょう。旦那様方が心配なさります」
「そうだね、ミモザ……なんか今日は疲れたよ」
「大変な1日でしたからね。帰ったらリラックスするお茶をお入れいたします」
ありがとう、馬車に乗り疲れた体を椅子の背に預けながら今日1日を振り替える。
本当にいろんなことあったなぁ。グレース様に招待されたけどまぁ社交辞令だろう。そんなことを思いながら目を閉じた。
「まぁ、まさかアナベル様に会えるとは思いませんでしたが、丸々としていてかわいらしいわ。
なのに……テオドール殿下が憎たらしいわね」
「グレース様……貴方も大概不敬ですよそれ」
「あら、わたくしは良いのよ?今さら王家に媚を売るつもりはありませんから。領地に追いやられてもも構いませんわ」
旦那様が困るでしょうが……お付きの者と護衛が頭を悩ませてる間グレースは実に楽しそうに招待は、何時にしましょうかと予定を考えてるのだった
アナベルに一つ言いたい
完璧な人はいないとゆうことを……




