うわべだけの誕生日パーティー
開いた扉の向こうではガヤガヤと賑わった音楽と話し声が聞こえてくる。
すでに広間に案内された招待客で人混みで前に進めないとまでいかないけど結構な人数が集まったなぁ。すでに何人かのグループに別れて談笑したりしていて時折誰かが面白い話をしたのか笑い声が聞こえる。
それも、テオドール殿下と私が入って来たことに気づいた数名が道を譲ってくれて歩きやすいけど王族と一緒だと仕方ないとはいえ注目の的にされてるけど流石テオドール殿下はそんなの気にせずに堂々としその姿をみて回りの年頃の令嬢達が殿下に頬を染めながら扇で顔を隠しながらチラチラ見ている。
両親の回りには他の貴族達がフローレス家に取り入るために近づいているが両親とお兄様がそうゆう貴族を上手に捌くという感じで進んでいく。
流石というべき立ち回りで、誰一人として付け入る隙を見つけることは出来きなかった貴族が今度は祖父に取り入ろうとしてるが右から左へ受け流されて全く相手にされていないのがみえる。
なんか私の誕生日をだしにされてる気がするんですが……。
「あら、アナベル主役の登場ね。こっちにいらっしゃい」
「テオドール殿下、ようこそお越しくださいました」
お母様が私達は気づくとお父様達にも気づかれ挨拶するために前方に呼ばれた。前の方からだと広間全体がよく見え招待されたお客様の私を値踏みする顔がよく見える。王族の婚約者に対して興味深い顔、自分の娘の方が相応しいと思う者まぁ、大半よく思われてないのが分かる。
「お集まりいただいた皆様我がフローレス家の娘アナベルの誕生日にお越しくださりありがとうございます。本日は存分に楽しんでお過ごしください」
テオドール殿下と共にお父様の隣に行くとお父様が広間の皆様に向かって挨拶をすると広間から拍手が沸き起こりクラシックな音楽が流れメイド達が飲み物を注いだり談笑を再開する人もいる。
今日は立食式だから広間の端のテーブルに美味しそうな料理が沢山用意されている。匂いの誘惑に負けてそちらにいきそうになるけど、いけないけない今日の私は誕生日パーティーの主役。ホスト役がゲストをほったらかして食事にありつくのは貴族のマナー的に良くない。ちゃんと接待しなければ。うぅ前世ではスィーツパラダイスやホテルのブィッフェで我慢せずにありつけたのに今では気軽に食べれないことの辛さがおわかりいただけるでしょうか。
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「アナベル嬢お誕生日おめでとうございます。いやもう9才とは月日の流れは早いですな」
「フローレス公爵ご令嬢はだいぶ雰囲気が変わりましたな。以前は…いやなに女の子は急に可愛らしさが出てくるものですからは!はっはっは」
「テオドール殿下こちら我が家の末の娘でございます。年も殿下と近いですしよければ今度子爵家へお越しください。え?あ、アナベル嬢もそうですね御一緒ですと……この話はまたいずれ」
「リアム殿よければ以前はなしていた教授の講義についてあちらで他の方と話さないか?」
うん。なんかもう私の誕生日関係なくない?って会話が8割は占めてるね。いいけどね、社交的だけど祝いの言葉はもらってるし
「そういえばアナベル様、本日は剣聖はいませんか?わたくし一度お会いしたいと思っておりましたの」
「まぁ!|わたくしもお会いしたいです!噂では女性でありながら剣技が優れており殿方を押さえて大会では毎年準優勝するほどですもの。さすがフローレス家のご令嬢ですわ」
しかも美しいと言われてますでしょ?私の回りにいる(とゆうかテオドール殿下の側にいる)同世代の令嬢達がきゃっきゃっと憧れのお姉様に会いたいとおっしゃってますが残念なことに今日は来れなかった。
お姉様は私より10才年上で既に結婚もしフローレス家を出ている。昔から騎士を選出してきた我が家でも異質な剣の才能があり剣聖の異名を持ち騎士団に入ってからスピード出世を果たすなどなど結婚してからも騎士団に所属してるので今日来てくれるはずが仕事が入りこれなくなったわけです。
因みにお兄様と私は6才差があり今は中等部三年生。
私がようやく学園に入る頃はお兄様も王女様と結婚しこの国を離れてしまう。
美しく才能のある長女と長男に比べて私は………
「アナベル様?どうかなさいましたか?お顔がすぐれませんが…」
「あ……。すみません人によったようなので少しはずれますわ」
「まぁ、大変ですわ。人を呼んできましょう」
「いいえ一人で平気です。大袈裟にはしたくないので皆さんはこのまま楽しんでいてください。テオドール殿下もここでお待ちになってください」
「アナベル、顔色が悪い私も「テオドール殿下いいではないですか。アナベル様も一人で休みたいとおっしゃってるんです。そっとしときましょう?それより」」
尚もテオドール殿下が私に付き添おうと令嬢から離れようとしてるけど今の私は本当に一人になりたかったので失礼だけど令嬢に纏まりつかれてるテオドール殿下は離れる絶好の機会なのでそのまま置いてその場を離れることにした。
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広間から出て廊下から誰もいなさそうな中庭にしばらく気持ちが落ち着くまでベンチで休もうとおもってたけどどうやら先客がいたみたい
「あーあ、テオドール殿下にお会いできるから今日来たのに全然お話できなかったわ」
「アナベル様とずっと一緒にいますからね。彼女が一緒だとお話の邪魔されてお近づきになれないじゃない。本当に邪魔で愚図な令嬢ね!」
「あんまり大きな声言わない方がいいのではなくて?フローレス前公爵様のお耳に入ったら只じゃありませんわ」
「たしかにそうだけど、都合が悪くなるとすぐ誰かに泣きついてどうにかして貰おうとするその性格が私嫌いなんですよ。あんなのがテオドール殿下の婚約者を名乗るなんて悔しくてしかたありませんわ」
中庭の小さな花園の近くに3人の令嬢達が集まって私について最初は小声で話してたのが盛り上がってきたのかどんどん声が大きくなっていく。
あの三人が誰か知らないけど年齢的に私より上なのは何となく分かる。にしても出るに出れないし今動いたらいることがバレてしまうから離れられないし何かもうついてない。
「アナベル様も気の毒ですわ。お姉様とお兄様が優秀なばかりに比べられてばかりで私少しは同情してますのよ?」
「同情なんかしなくていいわよ今まで何もしてこなかったんだから。それより気の毒なのはテオドール殿下とグレース様よ。あのお二方はお似合いでしたのに後から横入りして!腹正しいわ!!」
「たしかグレース様は婚約内定を取り消されてからしばらく領地で暮らしてたのでしょう?ショックのあまりに寝込んでいたらしいですがよくなったのかしら」
「だいぶ良くなって今年都に戻って来るそうよ。」
「それは良かったですわ。具体的にいつ戻るかわかりましたらお茶会に招待しましょう!」
「素晴らしいわ。その時には私も参加させてくださいませ。あら?だいぶ話し込みましたがそろそろ戻りましょうか肌寒くなってきましたわ」
「そうね戻りましょう」
令嬢達がぞろぞろと広間に移動し始め慌てて近くの観葉植物の影にくれた。会話に夢中だからか私の存在感がないからなのか気づかれずにすんだけど、彼女達の話しを忘れることができそうにない。
けれど彼女達を捕まえて文句言うこともできない。言われたことが的を得てるから反論できない悲しいけど私が婚約を横入りしたのも祖父に泣きつくのも事実だから。これまでなにもしてこなかったから変わろうと思ったのにここで泣いたら全然変わってない。
なのに涙が止まらなかった―――。
「え!お嬢様どうされました?泣いてるんすか…?何が」
「スミレ……」
廊下の床にうづくまっているとスミレが通りかかり誰かになんかされたんですか?って聞かれたけど何を言われても何もない大丈夫繰り返しそういい続けたらスミレそれ以上何も聞かず崩れた化粧を直して更に泣いて腫れた目元も化粧で隠してくれた。
広間に近づくとテオドール殿下が扉の近くに壁に背を預けるようにして立っていた。
「…テオドール殿下」
「戻ってくるのが遅いから探しに行こうかと思ってたんだよ」
殿下の右手に目元を一度撫でられ泣いてたことが知られたのかとなにか言われるかと思ったけどすぐに手は離れて左手で背中を支えながら広間に戻った。
テオドール殿下が何か言うことはなかったけどパーティーが終わる頃中庭で話をしていた3人の令嬢達が居ないことに気づいた。
「急用ができて令嬢達は帰った」とテオドール殿下がいうのでまぁ、お茶会開くとか言ってたから帰ったのね
会場の招待客の一部がテオドール殿下をチラチラ見てるけど最初の時と違ってどこか怯えてる様子があるけど余裕のないアナベルはそのことに気づかなかった




