一話目
「海~、一緒に帰ろ~」
陽気でうるさい声が聞こえてくる、今名前を呼んだのは俺の幼馴染であり、彼女の優衣である。
「悪い、今日は無理だな」
「そっか、今日金曜日だもんね…陸兄のお墓参りの日だったね」
「うん…多分暇してるだろうからさ!俺が相手してあげないと!」
「じゃあ~明日の休日は一日デートだからね♡」
「じゃあ、行きたいところ考えといてくれ、俺はどこでもいいからよ」
「りょうか~い」
「じゃーなっ」
「また明日、午前10時に駅前集合でね!」
(さて、兄貴のお供え物でも買っていくかぁ)
俺の通う高校から電車に揺られ40分、バスで30分、のところにある兄貴のお墓参りに毎週金曜日に兄貴が死んでから3年間一度も忘れたことがない。ちなみに優衣と付き合ったのは4年前からなので、墓参りの時にはいつも兄貴には俺ののろけ話を聞いてもらっている。
「なんか、母さんが最近兄貴の声が聞こえるって言いだしてさ~ww流石に冗談きついよな…」
「なあ、なんであの時死んじまったんだよ…俺が兄貴と全く同じの服なんて着てなければよかったのに!」
俺は当時のことを不定期で思い出して涙が止まらなくなってしまうことが多々あるのだ
「こんなとこ絶対に優衣に見せらんねーな!」
「、、、、、、、、、、よ」
「え?」
何かが聞こえた気がした
「あっ、兄貴、、なのか!?」
俺は思わず叫んだ、しかし返事は帰ってくることはなく俺の叫びは冷たい墓石達に溶けていくだけだった。
「はっ!?」
ここで俺は我に返った。そこで何分立っていたのだろう…俺には数十分もったっていたように思える。
「まさかな…俺にも兄貴の声が聞こえるようになったら末期だよなwwじゃーなっ、兄貴、また来る」
そう言いながら俺は兄貴の墓を後にした。