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第2話 男の人ってどんな人?


 さてと、門番の兵士さんが告げ口しちゃってるだろうからモタモタしていられない。

 素早く野盗を見つけ出して素早く捕まりあたしの用事を終える!規模の大きな野盗さんなら国外に売り飛ばすまであるかもしれない。


 噂では女を性奴隷として扱う夢のような国があるらしいからそこに連れて行かれないかな〜?でもミサって娘が1週間経っても売られなかったから期待は薄い。でも可能性はゼロではない!


「ウフフ、夢が広がる。これが外の世界なのね!」



 空気が美味しい!視線をビンビンに感じる!


 ん?視線?



「こんな所で一人きりとは危機管理がなっちゃいないね」

「ややや野盗!?嘘!?」

「あらあらビビっちゃって可愛いね」


 いくらなんでも早過ぎる。展開が早過ぎる。まだ心の準備ができてない。

 ままずは深呼吸。吸ってーーーー吐いてーーーー吸ってーー



  よし 心を落ち着かせた。あとは毎晩寝る前にするシュミレーション通りにやれば、


 腰の剣(支給品)を引き抜きながら野盗を睨みつける。覆面をつけてるからよくわからないけど……まあいいか。


「なな、舐めないでよね!あたしだって騎士見習いなんだから野盗なんかに遅れはとらないわよ!」


 うん!我ながら初めてとは思えない程の演技力!膝を震わせちゃうのもポイント高いわ!


 さあ!はやくはやく来なさい!あたしは隙だらけでしょ?

 その太い剣であたしの手首を切り落としなさい。うまく避けて剣を手放すから!


「お嬢ちゃん、痛い目にあいたいのね?」

「ききき来なさい!負けるもんですか!」


「震えてるね。その手足を切り取ってあげる」


 はやくはやくはやく!早くしないと王国からの教官殿が来ちゃうじゃない!教官殿にかかればあんたなんてイチコロなのよ!だから能書きはいいから早く!



 野盗が剣を振りかぶった。その動きは洗練さの欠片も見当たらない。


「え……遅」

 どうやって躱そうかな?てかその速度だと指は落とせても胴体は愚か首も落とせないよね?よっぽど切れ味鋭い剣なのかな?



 あ、そっか!この後にあたしを陵辱する為に手加減してるんだ!だったらあたしも貴方の手加減ダンスに合わせないとだね!


 野盗の剣を刀身で滑らせる。まともに受けたら研ぎ直すのが面倒なので最小限の負荷を心がける。

 折れでもしたらあたしのお給料がなくなっちゃう!



 んーーー  ここ! 

「きゃあ!」


 可愛いらしい悲鳴と共に剣を空に放り投げる。剣は弧を描きながら柄から地面にズシャリ。


 よしよし。刃は無事と。あとは野盗の相手をしなきゃ


「く……あたしの……あたしの剣が。騎士の証でもあるあたしの唯一の武器が……アレがなきゃ戦えない」

「よくわからないけど運が悪かったねぇ〜」




 言うぞ言うぞ言うぞ言うぞ言うぞ!



 毎晩練習して夢にまで見たあのセリフを言う時が来た!噛むなアイシャ!あたしは出来る娘、やれば出来る娘!平常心で平常心に平常心を!



 いけ!



「く……殺せ!野盗の慰み者になるぐらいなら死を選ぶ!それが騎士の意地にょ!」


 やった!言えた!ちょっと噛んじゃったけど初めてなんだからオッケーでしょ!


「お嬢ちゃん、中々唆るじゃないのさ!もうここでおっ始めようかい!」

「やめて!やめて!……やめてー」


 くっ!『やめて』なんて下手なセリフしか出てこない。しかも連呼とか恥ずかしい。普段からの勉強が足りない証拠だ!読書の時間を増やすように教官殿に進言してみよう。



 あたしの手を必死に縛る野盗。

 手際悪いな〜。後が残るぐらい手を縛ってもいいのに何を遠慮してるんだか?こっちは縛りに関しては無知じゃないのよ!


「お願いだから!やめ……あ。や めて やめ て」


「どうして急に小声になって?存分に泣き叫んでおくれよ」


 うるさい!こっちにも事情があるのよ!教官殿に気付かれでもしたらあたしと野盗さん。二人の努力が水の泡なのよ!わかってるの!?



 あたしの涙目に興奮したのか野盗が覆面を剥ぎ取った。整ったとは言えないながらも見た目は……女性と変わらないんだ。

 次に野盗が服を脱ぎ始めた。胸はあたしよりあるな。男の人は胸に脂肪はつかないって噂だったけど百聞は一見にしかず!




 さてさてお待ちかねの下半身は〜……っと!



「あれ?……ない」

 

 アレがない。教官殿に何百回も、何千回も確認したアレが付いていない!あたしを喜ばせる股間の剣が!



「なにがないんだい?安心しなよ。私のテクで可愛がってあげるからさ!ちょっと目を話した隙に抜け出した娘の分までたっぷりとね!女同士で楽しもうじゃないか!」


 女?目の前の野盗はおんな?アレがない時点で覚悟してなきゃいけなかったのに……野盗から宣言されるまでは期待してしまった自分がいた。


「……あたし女同士は無理なんで。そもそも女同士だと初めてを卒業できないし。さようなら」


 あたしを縛っていた縄を引き千切る。あぁ〜時間の無駄だった。なんだかムカムカしてきた。



 ダメダメダメお肌に悪いお肌に悪い!あぁーもう!


「そもそも女なら女って最初に言え!」


 裏拳を野盗の鳩尾みぞおちに叩き込む。手加減はするけどあたしのワクワクを奪った恨みは一生忘れないから!

「グフッ……うぐぐ……その強さ……惚れちまいそう…だよ」


「うっさい!あたしに惚れんな!」




………


 あたしが無断で街の外に抜け出した事は同僚の無念を晴らすと言う情状酌量が認められて10日間の謹慎とお給料を30%カットで済まされた。


 情状酌量がなかったらどうなっていたかと思うと……



「考えても仕方ないし今度教官殿に聞こう〜っと!今夜も寝る前にスッキリしてグッスリ寝るぞー!」


 


……



  ふぅ……

 お休みなさい







おまけ  アイシャの反省文



 拝啓 教官さま〜


 あたしことアイシャは今回命令違反をしてしまいました。ごめんなさい。自宅謹慎はやる事が限られています。毎晩の日課は朝昼晩の日課に変わり、日々押し寄せるムンムンとした日々を過ごしています。


 話しは変わりますが教官様、読書の時間を増やすべきと思いませんか?教養を養うことによって正しい対処が可能になりあらゆる選択肢が生まれるとあたしは考えます。

 つきましては軍費の拡張を進言しておいてください。増えたお金であたし自ら最高の書物を探してまいります。まずはお試し品としてお勧めの本を貸しますので是非読んでください。



「……本?来てないよな?他になにか贈り物はなかったか?」


「内容があまりに淫欲に溢れた邪悪な書物なので思わず焼却処分致しました!申し訳ありません!」

「……うん。思い止まらずによくやった」


 




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