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文明の崩壊
これで安泰だ。
矮小な生き物は身の程を知っただろう。
ドラゴンは多くの血で濡れた己の領土を闊歩していた。
だが再び鉄火を備え、甲冑を纏う人間が隊列を成して前進する姿が見えた。
ドラゴンは困惑した。
彼らは矮小だが、我らを脅かそうとする。
ドラゴンは人間を敵と見做した。
幾度もの闘争があった。
人間はドラゴンに勝つことはなく、過ちを繰り返した。
そして、ドラゴンによる人間社会への侵攻が行われる。
初めてドラゴンが捕食以外で他種を襲ったのだ。
数多のドラゴンが飛び回って大空を埋め、
城郭を、住居を、橋を、田畑を、船を、大地を焼き尽くす。
何千年もの時を経て築かれた人間の文明・文化は崩壊した。