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光視
これまで歩いてきたこの道を見た
希望と後悔の花が咲き乱れている
畦道や茂みの中をかいくぐり続け
数え切れない傷と共にここまで来た
言葉では伝えきれなかった心を
表情では分からなかった背景を
時間が作ってくれた距離感で
少しずつ飲み込めた気がするんだ
思い出といえるものがあったかな
あの日終わると思えなかった帰り道
夕方の中に黒く長い影を伸ばして
カラスの鳴き声をずっと聞いていた
鮮やかな景色を切り取って
光の欠片を空に投げ上げる
目の前をひらひらと踊る様は
春の訪れを喜んでいるようだ
嬉しさや寂しさを巻き込んで
これまでの日々を肯定できたら
目の前をひらひらと踊る光みたいに
なれる日が来るのだろうか
これまで歩いてきたこの道を見た
希望と後悔の花が咲き乱れている
その土をその水を作り上げたのは
あの足跡以外この目には映らない