6話
武芸大会当日
魔法学院 教室
先生
「今日は武芸大会当日だ。皆大怪我をしないようにな。試合の順番はよく見ておけよ。少しでも遅れると失格だからな」
武芸大会は多くの生徒が参加する為、同時にかなりの数の試合を行う。その為試合に遅れると失格になってしまう。
先生
「最後になるが危なくなったら棄権するように。君たちは初めての武芸大会だからな」
武芸大会はカグヤ達の学年から参加ができた。
棄権があるのは学年が違う者が試合をする時の為でもある。
先生
「じゃあくれぐれも試合に遅れないようにな。」
先生が教室を出ていく。いつもなら先生が出ていけば雑談が始まるが今日は皆緊張してかあまり喋らなかった。
サヤ
「今日は静かですわね」
アリシア
「皆緊張してるんだよ。サヤは緊張してないの?」
サヤ
「全くしてませんわ」
アリシア
「……サヤが羨ましいよ」サヤ
「?、そろそろ行きましょうか」
アリシア
「そうだね。遅れると大変だもんね」
学院長室
ミーシャ
「アルビオン王国軍大佐、ミーシャ・フリューゲルです」
ミーシャは敬礼をしながら言う。
学院長
「学院長です」
学院長は内心の驚きを静めながら言った。目の前の女性の軍人の階級が一瞬信じられなかった。見た目の年齢は二十歳より若く見えた。士官学校に在学中ですと言われた方が信じられた。それが大佐だとは信じられなかったがフリューゲルと聞いてあり得る話かもしれないと思った。名門フリューゲル侯爵家ならばと思った。
学院長
「今日は警備の方よろしくお願いします」
例年の武芸大会には軍の警備等はなかった。だが今回の武芸大会には王国第一王女リア・アルビオンが視察に来る事になっていた。王女の警護には王国騎士団がいるが用心して小隊を一つ学院に派遣するという事になっていた。
ミーシャ
「いえ、これが仕事ですから。ギルドマスター代理は既に学院に?」
簡単に答えながらギルドマスター代理について聞く
学院長
「ええ、先程こちらに。今は来賓席かと」
学院長は先刻会ったギルドマスター代理の事を思い出した。今会っている軍人と同じ顔であったなと。噂には聞いていたがあの若さでギルドマスター代理というのに驚いた。
ミーシャ
「わかりました。では私はこれで」
ミーシャはそう言って退出していった。
来賓席
ギルドマスター代理、リーシャ・フリューゲルは学院の来賓席で学院の教員と話していた
リーシャ
「生徒の避難経路は確認しましたか?」
リーシャは教員に聞く
教員
「昨日避難訓練という形で行いましたが必要あるのですか?」
リーシャ
「第一王女の視察ともなればよからぬ事を企む輩がでてもおかしくないでしょう?盗賊とか」
教員
「それもそうですね」
教員は明らかに考えすぎだという顔をしていた。
平和そうな顔をしている。リーシャはそう思った。今王国は戦争の準備をしていて開戦も間近だというのに。だがその事は一部の者しか知らないのだから仕方ないのかもしれなかった。それも後少し。平穏の終わりは近いのだから。
ミーシャ
「姉上ここでしたか」
声がリーシャが思考を止める。
リーシャ
「思ったより遅いんじゃない?」
声をかけてきたのは妹のミーシャであった。
ミーシャ
「十分間に合っていると思いますけど」
リーシャ
「少し外していただけますか」
リーシャは先程まで話していた教員に言う
教員
「わかりました。」
教員は忙しくまだ仕事が残っていた為早足で戻っていった。
リーシャ
「配置は終わったの?」
ミーシャ
「終わったからここにいるんだけど。そっちは?」
リーシャ
「こっちは特にできることはないんだけど」
ミーシャ
「審判もやらないといけないものね」
今来賓席にいるのはリーシャとミーシャ、ミーシャの副官クリス、リーシャの秘書シェリーのみであった為二人はいつもの様に話していた。
クリス
「大佐、そろそろ到着の時間です」
クリスは上官に王女が到着する時間だと伝える。
ミーシャ
「それでは行きましょうか」
リーシャ
「そうね」
学院正門前
馬車
近衛騎士
「リア様、到着致しました」
リア
「わかりましたわ。」
馬車の中はやはり退屈だったなと思いながら馬車から降りる。門の前には学院長、ギルドマスター代理、学院の警備を任された軍人達が恭しく礼をしている。
学院長が挨拶をするが
リア
「席に案内してくださるかしら」
王女は学院長の挨拶もそこそこに来賓席へと向かって行った
来賓席
リーシャ
「もう少し丁寧に扱ってやっても良いでしょうに」リア
「最低限の礼儀は守ったつもりですわ」リーシャ
「そろそろ始まるようですね」
会場
学院長
「今日は年に一度の武芸大会です。皆頑張って……」学院長が開会宣言をし始めた。
ライト
「今日は頑張ろうぜ」
カグヤ
「ああ、そうだな」
気合いを入れているライト。
ライト
「こういった経験は大切だからな」
カグヤ
「戦闘がしたいなら魔物でも狩ればいいだろうに」
ライト
「それもいいけど対人戦闘の機会はそうはないからな」
カグヤ
「まあ頑張れ」
ライト
「おう、カグヤもな」
学院長
「……では皆の健闘を祈る」
武芸大会が始まった
説明
試合会場のイメージはローマのコロッセオ