4話
武芸大会前日
アルビオン王国王都ロンディニウム 大国アルビオン王国の王都として近隣の都市とは一線を画した規模をもち、特に人口の増加に伴う増築によりできた何重もの城壁はロンディニウムが難攻不落と謳われる所以である。
そのロンディニウムの中央に位置する王宮
「リア様、明日のご用意はお済みでしょうか?」
メイドはそう言って確認する
リア
「ええ、大丈夫よ。」
そう答えたのは美しい金髪の若く高貴な女性
「しかし、よろしいのですか?このような時に魔法学院の視察など……」
リア
「このような時だからですわ。それに以前から決まっている事です。変えてしまえば無用な心配をかけるでしょう。」
「わかりました。では、おやすみなさいませ。」
メイドは部屋から出ていく。
リア
「明日が楽しみだわ。」
………
………
アルビオンの国王エドワード王の前に重鎮が集まっていた。
エドワード王
「セウェルスから使者が来た。」
エドワード王の言葉に驚く者はいなかった。隣国セウェルスで将軍ソラスによる反乱が起こっている事は周知の事実であったからだ。ジークハルト侯爵
「どのような内容なのですか」
ジークハルト侯爵家は軍務卿である。
エドワード王
「セウェルス王から支援が欲しいという内容だ」ティベリウス侯爵
「これは好機。セウェルスに恩を売り、中央進出の足がかりにすべきです。」
ティベリウス侯爵家はアルビオンでも有数の名門貴族であり、軍務卿のジークハルト侯爵家に次ぐ軍閥の長である。
ソレイシィ侯爵
「他国の内乱等に手を出すべきではない。」
クライン侯爵
「かといって何もせず。というのは後々の外交に影響が出るのでは?」
外務卿であるクライン侯爵が言う
ソレイシィ侯爵
「出兵はせずに物資の補給だけしてやれば良いでしょう」
エドワード王
「軍務卿はどう思う」
ジークハルト侯爵
「私も出兵には反対です。セウェルスの反乱軍は精強で手を出せばこちらの犠牲も少なくないでしょう」
ティベリウス侯爵
「軍務卿殿は戦わずして臆したか!我等アルビオンが遅れをとる等有り得ない!」
エドワード王
「うむ。ではティベリウス侯爵に任せよう。出兵の準備をせよ。」