ソシャゲのキャラ考察でよく言う『今の環境的に』の便利さは異常
テストやばみ
「はい、じゃあ皆さんおはようございます。えー、今年は4組の担任をする事になりました、松井です」
先生の軽い自己紹介から、ロングホームルームが始まった。
「去年は1年5組の担任と男子の体育を担当してましたんでね、1年5組の生徒と男子は僕の事知ってると思うんですけども、まあ皆さんね、よろしくお願いします」
先生は話しながら今年度の予定表やその他諸々の配布物を配って行く。
その後、高校2年生に進級したと言う事で色々変わった点を説明され、いよいよ自己紹介のターンだ。
「じゃあ、出席番号順でいいかな。井川、どうぞ前に」
出席番号が1である光樹が教卓に招かれた。
さて、どんな自己紹介をするのか楽しみだ。まあ一番最初だし当たり障りのない自己紹介だろうな―――
「っとー、井川光樹です。趣味はFPSなので気軽に話しかけてこないでください。話しかけてきたら俺のスナイパーライフルが火を噴くぞ? 一年間よろしくお願いします」
いやツッコミどころ多過ぎるわ! なんで話しかけちゃダメなんだよ! 『俺のスナイパーライフルが火を噴く』って若干下ネタっぽいじゃねえか! 聞いてる側は1年間よろしく出来ねえよ!
俺が心の中で光樹にツッコミを入れていると、数人の男子が爆笑していた。光樹と同じ部活の連中だ。部活の連中と自己紹介ふざけようぜ、ってなっていたのかも知れないが、流石に度が過ぎてるだろ......。
幸樹が席に戻るときに、こちらに向かってドヤ顔をしていた。いや、お前なんでドヤ顔できるんだよ。まあメンタルの強さはすげえと思うけどよ………。
光樹が割と大きな爪痕を残して以降、硬式テニス部以外の男子にもスイッチが入ったのか、ふざける生徒が出てきた。
なんかないか………ここで俺だけ普通のだと逆に浮くんじゃないか………。
そんな不安を抱えながら、俺の番が回ってくる。くそっ。さっきは苗字が『新城』で良かったとか言ったが前言撤回だ。『新城』なんて苗字最悪だ!
少しでもなんか考えようとゆったりとした動きで教卓に向かうが、脳が上手く回らず、時すでにお寿司。間違えた遅し。
ってこんなこと言ってる暇があったらなんか考えろや俺の馬鹿!
「えっとー、新城進です。えー」
やばい、何も思いつかねえ! なんかないかなんかないか……ゲーム。もうゲームのこと言って終わろう!
「ゲ、ゲームが好きで、名前だしていいのか分かんないけど特に『チェスターズ』大好きです!」
………ん? ちょっと待て。チェスターズ?
何か違和感、というか何か重要なことを忘れてるような……って、あああああ! ここで『アレ』言っちゃえばいいのか!
なんで今まで忘れてたんだよ! 緊張って怖いな!
さっきまでの硬い表情から一転、ぎこちないながらも口角を持ち上げて笑顔で、口を開く。
「えっと、チェスターズやってる人は分かると思うんですけど、僕今、魔法石200個持ってるんですよ。ああ、もちろん無課金で」
「「「はあぁぁぁぁぁ?」」」
半数近い男子生徒が、驚きの声を上げる。
無理もないだろう。魔法石を200個貯めるなんて普通じゃない。『チェスターズ』では、魔法石一個の価値が他のゲームに比べて非常に『高い』。そのため、運営からの配布も他のゲームより少ないため、貯めるのが非常に困難なのだ。まあ10連ガチャとか無いし、貯めても良いことはないのだが。
俺の落とした爆弾はそれなりに強かったようで、男子には衝撃が走っている。女子は……まあ無反応だよな……今年も男子とだけ仲良くなるのかな……ん?
どうしたんだろう。女子の中で1人だけ驚きの表情で俺を見ている人がいる。もしかしてチェスターズやってんのかな? いやいや、よりにもよってあんな可愛い人がやってるわけないか。ないない。
そう思考を断ち切ると、ざわついていた教室もそこそこ静かになったと感じた俺は、春休みから考えていた計画をクラスのみんなに伝える。
「今ある魔法石なんですが、明後日、クラス全員に1回ずつガチャを引いてもらおうかな、って思ってます。良いの出してくれることを期待してます」
言い終わった後、盛大な拍手が巻き起こる。「俺がいいも出してやるよ!」とか、「爆死しろー!」とか声に出す生徒もいる程だ。よかったよかった。いやー、チェスターズやってる人多そうだな。やっぱ神ゲーだったか。
そんな感じで、自己紹介を終えた俺は自分の席に座る。
すると、前の席の男子生徒―――確か佐藤だった気がする―――がこちらを向き、
「ねえねえ、魔法石200個ってマジ?」
と、興奮冷めやらぬ様子で問いかけてきた。
俺は少し面食らうも、顔をしっかり見て話し始める。
「うん。なんなら今証拠見せようか?」
そう言い、窓と机の隙間でスマホを操作し、チェスターズを起動する。
佐藤も一応俺のスマホを先生から見えないように体で隠してくれた。ナイス。
「ほら200個」
「うわヤバ。魔法石3桁とか初めて見た。って、ランク高っ⁉︎」
「別にそこまででもないでしょ」
俺の現在のランクは921。無課金者、さらに学生にまで絞ると、かなり高い方ではあるか。ただ、最高ランカーが1100を超えているので、俺は自分のランクが高いとは思ってないが。
事実この学校にも俺よりランク高いやついるしな。多分その次に俺が高いけど。
その後、佐藤とは俺のチェスターズのIDを教えてフレンドになった。フレンドの枠が余っていたから丁度いい。
佐藤と話していてあまり聞いていなかったが、自己紹介は女子に入っていた。
女子の自己紹介って、男子だったら誰が可愛いかを見てるよね。不躾に視線を送っても何も言われないって言うのが良い。自己紹介サイコー。
女子に聞かれたら社会的地位が一発で終わるような事を考えていると、男子が女子に悟られないレベルでざわざわし始めた。次が可愛い人なのだろうか。
「じゃあ次は、林下さん、どうぞ」
先生が促し、林下さんが前に立つ。
め、めっちゃ可愛いやん!!!!!
遠くからでもわかる程ぱっちりした瞳。白過ぎる事のない健康的な肌の色。肩にかかるかかからないくらいのショートヘア。俺の語彙力が足りないため、伝わりにくいと思うが、間違いなくクラスで一番……もっと言えば学年でもトップクラスの美少女であろう。
やばい、普通に惚れそう。まあでも、喋る事もなく一年間終わるんだろうなどうせ……ゲーム以外だとコミュ力皆無だしな俺……。
……あれ。そう言えばさっき俺の自己紹介の時にめっちゃ見てたのって―――――
「林下琥珀です。去年は1年2組でした。1年2組の人以外とも仲良くなりたいので、一年間よろしくお願いします」
なんだろう。かなり無難な自己紹介のはずなのに、彼女が言うだけで非凡なものに聞こえてしまうのだから不思議だ。
男子の間では未だにひそひそ話し声がする。こりゃ人気出そうだな。ていうか去年から既に出ていただろう。1年2組の連中からのタレコミで男子がざわざわしていたのだろう。
前にも言ったが、ゲーマーという人種は女子との繋がりが極めて薄い。女子はゲームをやらない人が多いから。
当然、今まで俺は彼女なんてできた事ないし、女友達も……自信をもって友達と言えるのは大脇くらいだ。
ゲームさえあればいいとも思う反面、やはり男子高校生の性か、彼女できないかなぁ、なんていう淡い願望はある。
ただ、もし俺に彼女が出来るとしたら、その人はゲーム好きなんだろう。そうでなければそもそも仲良くなれない。
あーあ。可愛くてゲーム好きな女子いねえかなあ。ゲームの話であればそこら辺のリア充よりは絶対コミュ力(?)あると思うんだけどなー。
そんな自らの願望を確認し、それのあまりの非現実さに、俺は苦笑を禁じ得ないのだった。
どうでもいい作者の近況報告をします。
最近、とあるゲームにハマってまして。確か今年の7月下旬に稼働し始めた、ゲーセンの音ゲーなんですけど(多分やってる人はこの時点で分かるはず)、それが異常にむずくて。あとガチャ運がとてつもなく悪くて。その愚痴をここに書いているというわけです。
で、これは完全に運が悪いだけなんですが、作者の家の近くのゲーセンに、その音ゲーがガチで上手い人がめっちゃいるんです。それも生半可なものではなく、普通に全国100位以内の方々で。
そんな方達の隣で、大して上手くもないプレーをする事の恥ずかしさときたら、半端ないですよ。
じゃあ作者が上手くなればいいだけでは、と思ったそこの貴方。甘い!音ゲーは一朝一夕で上手くなるようなものじゃないのです!
というわけで。つまるところ何が言いたいかと言いますと。
金欠です助けてください。