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第2話〜新たな家族と我が家〜

少し長めに書きました。


 産まれて5日くらい経った今日。ついにお家へ初上陸の日である。



 チュパチュパ


 複雑な気分だ。

 俺は今、母親の母乳を頂戴している。確かに母親は美人なのだが、自分の母親であるため、そこに山があってもしゃぶりつくのに興奮しない。

 前世だったらズボンが大変なことになっていただろう。


 さて、ここで俺の身の回りについて少し整理しよう。


 母親の名前は エルナ・ウィストン(32)

 美人である。何処ぞのお嬢様だったのだろうか、何気ない仕草にも品がある。

 俺が産まれた時は、性別がないことにがっかりしていたが、すぐに嬉しそうな表情へと変わった。

 跡継ぎのためだけに産んだ訳では無いと、正直ホッとしたものだ。

 良い家柄の所のワガママ嬢と強制結婚なんて真っ平御免だからな。俺は恋愛自由主義なのだ。



 父親の名前は クレイタス・ウィストン(32)

 特別イケメンという訳ではないが、整った顔立ちをしている。前世のイケメンに勝るとも劣らない笑顔の持ち主。

 俺に対する笑顔を見せた瞬間に、助産婦のお姉さんが頰をほんのりと赤く染めていた。ッチ。

 エルナの落胆に対する言葉から察するに、跡継ぎの事は気にしていなかったらしい。俺が初めての子供らしく、性別が何であろうと産まれる事が最重要だったらしい。



 もう一人(匹)の家族は アルオ・ウィストン(54)

 狼である。俺が産まれた時に千切れんばかりに尻尾を振っていた。

 金狼種(オーロウルフ)という狼種(?)らしく、漆黒の体毛の中に、稲妻の如く走る一筋の金毛。その毛は、陽に当たると眩く輝く黄金色であり、何とも惚れ惚れするようなカッコいい狼である。



 こんなものかな。親もペットも素晴らしく、文句無しに幸せだ。異世界の出だしとしては最上級(自分の中では)だと思う。


 …待てよ?母は美人、父はイケメン寄り。という事は…だ。俺も中々ないい男(?)なんじゃないか?

 前世がブサメン寄りのフツメンだったんだ。今世くらいはイケメンで良いじゃないか!?

 鏡が欲しい所だ。


「あの、すみません看護師さん。鏡を貸して頂けませんか?この子に生まれた自分の姿を見せてあげたいんです。」


 !!心が通じたのか!?お母さんグッジョブ!


「はい、どうぞ。」


「ありがとうございます!コロンちゃん、はい。これがあなたよ!」


 そこには絶世のイケメェンがきめ顔をぉぉぉお!?



 …してはいなかった。

 そこにあるのは、母親寄りの顔。

 女のような顔であり、父親因子も入っているので、美女では無いが、それなりの女の(っぽい)だ。

 口調が男だから驚くだろうなぁ。まあ無性だから、覚悟はしてると思うけど……育て方によるか。

 父親に憧れてるっていうことにしよう。そうしよう。



 ----------------------ーー



 家族のことについて整理していると家に着いた。

 さて、馬車を降りた先にはどの様な家があるのだろうか。

 豪邸みたいなのは望んでいない。狭くは無いが、広くも無い、普通の家がいい。理由は特に無いが。


 少し派手なカーテンを開くと、照りつけるのではなく暖かく包み込む様な日差しと、若葉の薫りをほんのりとさせる薫風が吹き込んで、新たに産まれた家族とともに過ごす新鮮な生活への期待に胸が躍る一家を祝福する様に包み込む。


 日本でいう春か。異世界にも四季があるのだろうか。

 そもそも暦…は存在しそうだが、1年が何ヶ月なのだろうか。

 異世界だし、地球とは違う流れがあるのかもしれない。

 四季の変容は体で感じるのも心地いいが、何より見て楽しむことが出来る。是非あってほしいものだ。



 少しして太陽の日差しにも慣れ、目を開いていく。

 視界に入ってきたのは我が家。

 それは、決して小さくはなく、どちらかと言えば大きく、広めの庭付きの家だった。

 それはドイツの木組み建築のような建築方法で建てられ、み空色や、乙女色、柱などは栗皮色が使われた落ち着いた感じのする家だ。


「どうだい?父さんが15歳からコツコツ貯めたお金をはたいて買った、自慢の家さ。一から建ててもらったんだ!気に入ってくれるといいんだけどな。」


 気に入ったよ、一目で。某ぴょんぴょんする漫画で憧れてたんだよ。こういう家は。

 今の気持ちに当てはまるとするなら、これしかないな。あ〜心がぴょんp(ry


 庭は家の前に広がっていて、門から家まで100m程ある。遠い気がするが、門の前と家の前に転移魔法陣があるので問題ないらしい。

 家をぐるっと囲む感じで作らなかったのは何故だろうか。さすがに広過ぎる気もするが、美しいのでOKだ。

 あの噴水、綺麗だな。



 さて、ついに我が家に入るのか。外見が外見なので、中も少し広めのシャレオツ空間だろうか。ワクワクするな。

 板チョコのような模様のドアを押して、家の中に入る。


 玄関は普通で、一段上がった床には赤色のカーペットが敷いてある。それは通路全体に敷かれているようで、少しリッチに見える。

 但し、シャンデリアは当然なく、普通のランプなどで明るさが保たれている。

 そのランプの明るさがこれまた心地良く、暖かみを感じるように、ほんのりと周りを照らしいている。

 内装は特出して変なところはなく、外装同様に落ち着いた色が使われた暖かい家だった。


 正直自分は、結構裕福な家庭に産まれたんじゃないかと思う。大きめの家と広い庭。少し多い部屋。

 前世とは比べ物にならないくらい、素晴らしい家だ。

 前世でいう大富豪クラス……そこまでいかなくとも、最低でも富豪クラスだろう。

 自分は恵まれた家庭に産まれてきた。これ以上ない程の喜びを感じ、赤ん坊ながらも少し涙を流した。


「あらあら、泣く程気に入ってくれたみたいよ、あなた?」


「それは良かった!それにしても赤ん坊って感動して涙を流すもんなのか…?そこまで感情が発達しているとは思えないが…。」


「良いじゃない。そんな細かいこと。それより、ほら!コロンを連れて、少し街を見せて周りましょう!成長した時に迷わないように、今のうちから景色を覚えさせておかなきゃ!」


「それもそうだな!じゃあ帰ってきたばかりだけど、行くか!アルオも行くか?」


「行きます。」


「じゃあ行こうか!」


「「はーい」」「あう」


 楽しみだなぁ。どんな綺麗な街なんだろうか。活気があった楽しげな街だと良いな。

 ……ん?アルオ…お前、喋った?


 颯太改め、コロンは唐突なペットの放った人間語に頭が真っ白になりながら、家族とともに街を目指した。


まだまだ、身の回りの説明は続きます!

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