ワクワクコミュニケーションの後は火星に向かうつもりですが何か?
宇宙には愛があり、夢がある。けっしてデブリやエーテルだけじゃありません。エーテルって何?回復薬?案内嬢?
「ぴんぽんぱんぽーん、お知らせしまーす」
明るい合成音声がモニターから流れます。
モニターから直接声が出るね。宇宙だからか?
いえいえそうじゃありません、科学技術の結晶だからです。
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こんにちは、皆さん俺です。
宇宙海賊って、変ですよね?
宇宙回収販売者、宇宙盗賊団、宇宙タダ飯喰らい衆、
たいして変わらん。
でも、宙賊って、言わないなぁ。
なんでも略すのはよくない。
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「現在、火星周辺には、危険なデブリが多数拡散しています!接近される際はレーダーに注意し、撃墜用兵装の確認をお願いいたしまーす。」
マヌケな声で、深刻な話を流すな。
「これ、絶対お前の親戚の声だろつきみ。」
無重力下の船内で、靴下を脱いだり履いたりしながら器用に漂うつきみ。
「ねー御主人様、こっちとコッチ、どちらがお好みですかぁー?」
さっきから、赤と緑の靴下を選ぶつきみ。
「地球では今頃って、赤と緑のツートンカラーの怪物が、不幸な子供たちを捕まえてソーセージにする祭りしてるんですよね?」
うん、合ってるのは色と対象が子供なだけだよ。
「それは、クリスマスって言って、福袋をただで配る慈善事業よ?姉様。」
すっかり妹ポジションに収まった元女王様、ルナの方が一歩抜きでて現在一位。
「そして、福袋に私たちが入って、宇宙中の童貞達を籠絡し、人工抑制に励む性夜のイベントというお話だと、聞き及んでますわ。」
惜しい!頓着が効いてよろしいが我が身が辛い~!
「ルナちゃん、それじゃ完全にクリスマスの歪曲ですよ?まったく……。」
この船唯一の常識ロイド、スッパは哀しいかな、言動と裏腹に全裸に茶色のペイント、赤いライトを鼻に付け、角の代わりにつきみのウサ耳。
お前、……いや、もう言うまい。
どーしてこーなった。
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「御主人様ー、御主人様~!」
今日もブンドールにアホっぽい声が響く。
「メールが届いてますよー!なになに……、あ!ユーザー様への招待状だってさ!」
俺は今日の飯、《無重力本舗:元気が一番ロケット型穀類入りソーセージ》を食ってる最中だった。
これはまともな宇宙食の一つだが、ロケットって……一体どこの誰を喜ばそうとした狙いなんだろうか。
今時ロケットで大気圏突破するなんて、本当に緊急時に補助で搭載する程度。
もはや太古の遺物として認定記録が画像データで保存されることも検討されてるほどなのに。
味と食感がまともなだけに残念。ついでに製造工程のせいか微妙に曲がっていて更に残念。
「これで先太ならスッパ専用だっての…。」
下品過ぎる我が妄想にぐんにゃりと答えるロケットちゃん。
「ねーねー御主人様、開催地が火星周回ステーションだって!どんな集まりなんだろうね!」
「さあねぇ。なんせセクサロイドだらけなんだろ?周りの人間は色ボケと童貞とホモしか居ないんじゃ怖くて恐くて行きとーないわ。」
第一、俺が行く理由もない。中古品ユーザーにそんなメール配る位じゃ規模の割りに集まらないってことじゃないのか?
「ふーん、ビンゴ大会の景品は……、コスチュームに、優待チケット、あ!無料バージョンアップ!それに………火星施設使用許可権だって!豪勢だよー!!」
………、無料、バージョンアップ!?
ガバッとデータベースに飛び掛かり、貪るように読んでみる。
「あ~ん、せっかくあたしが読んでたのにー!ずるいよご主人様~ッ!」
うるさい、えーとなになに………、
「平素より、当社商品をご利用いただき誠にありがとうございます。常日頃ご愛顧頂いている当社製品は常に品質向上に努め、皆様からのご意見」……長いな。
「………つきましては、感謝の思いを形にするべく、ささやかながらイベントを開催致したく存じます。それではこぞっての御集まり、心より」………だから長いって。
「…製品利用の仮装大会、そしてビンゴ景品等を取り揃えて、ご利用者の皆様の御集まりを」
製品利用、仮装、ビンゴ…。
「よし!つきみ、ルナ、スッパ!勝つぞ!俺達はやるぞ!!」
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…と、息巻いたはいいが、
正直どーしたもんか。
結局うちの手駒は二人の綺麗処と、一人のホモ人形。
つきみとルナは、まぁ、いいとして、
拾ってきたスッパは、大会に出ることは絶対に無理だろう。
ま、無料メンテナンスはいいとして、つきみの仮装に頭を悩ませる。
衣装。材料は現地調達するにしても、裁縫キットなんてないぞ!?
手詰まりかぁ…………。
ボディペイントを落としたスッパが、一瞬でユニフォームを身につける。
あいつ、また別の衣服にマジックテープつけたんかい。器用な奴ちゃなぁ。
って、おおおおぉーーーーーーーーいッ!!!!!
「スッパ!スッパ!お前それどーやってるんだ!?」
「え?旦那様、とうとう我が身に委ねてくださる気になられたのですか?それでしたら秘蔵のローション」
「違うって!秘蔵してるんかい!って違う!」
思わず興奮して言った為、スッパは勘違いするが、そーじゃな~い!
「お前、それ全部自分で縫って付けたのか!?」
「当たり前じゃないですか。私は元々軍事用フレーム利用ですが、マニュピレータは精密作業用の解体組立対応ですから、縫い物なんて全く問題ないですよ?」
なんだその組み合わせは。惑星改造モジュールの地殻掘削機に爪楊枝つけるみたいだな。
「地雷解体等には精密度が必要ですし、銃器の分解や組立だって同様です。この両目も最大倍率は2000倍率までデジタルズーム可能ですから。」
何気に凄いなお前。それを瞬間脱衣芸とアンテナ修理に使ってきたお互いに悲しみを禁じ得ないね……。
よし!これは活路が見えてきたぞ!
あ、君はケツを見せなくていいからな、スッパ。
たまにはあっさり短めに。でもしっかり続きます。




