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宇宙セクサロイドは電気クラゲの夢を見るのか  作者: 稲村皮革道具商店:別館
1/10

R15の壁を軽く叩いて確かめて壁ドンしたら突き抜けた俺のリビドー話。

前略おれです。続けてた日記がどっかにいっちまったこと、あるよね?今の俺がそれ。目の前に現れた不審船を前にしても、ぶれない何時もの俺が居る。負けられない闘いが、ある。でもさ~、そんな闘いってさ~、負ける確率あるって話じゃん?やだよなぁ。

 


 はいどーも、俺です。


 なんか口述記録機器の不具合らしくて、記録はパーになるわ、版元とも連絡つかなくなるわで、死にたくなるよ…。


 でも、今んとこそれ以外に変化は無し。ついでにつきみもスッパ(仮)も異常…むう、あるけど正常!


 そんな訳で、頑張るぞー。


 **********************


「んなぁにやってんですかご主人様!!もう相手からサーチされまくりなんですよ!?聞いてるんですかぁっ!!!」


 つきみがすんごく興奮しまくりながら俺の首をガクガクさせとる。

 いや、この記録機器、使ってると意識シャットダウンするのか、初めて知ったわ~。


「つきみ!つきみ!俺のくびチョークしまくり!!」


 スッパ(仮)が拘束を引きはがしてくれて助かった…


 さて、気を取り直して、相対速度計算…


 ん?なんでそんなマイナーなことしとるのかって?


 宇宙に出るなら全部ボタン一つでなんとかなると思った?思った?




 なんないのよ…


 今忙しいから手短に説明するけど、宇宙進出から幾年月。


 最初は不幸にも戦争や紛争で派手に殺しあった時も長かったと聞きますわ。


 で、人口が極端に増減しちゃったから、人間みんなで考えた。


「殺し合いしないようにしちゃえば~?宇宙では。」



 てな訳で航宙船には「お互いを攻撃し合うようなシステム積まないよ」ってなった訳。


 詳しくは判らんけど、船籍や所属惑星識別とかに様々に入り込んだパスワードみたいなのが、お互いのスキャンやソナーに写る度に「打っちゃダメダメ」するんだそうだ。


 では、どうやって宇宙で喧嘩するかって?





 だから!演算装置に頼らない方法を選択するしかないの!!


 瞬間的にスキャンをして、こま送りでお互いの位置を割り出して、ここだっ!!で時に攻撃…しかも、実物使用の非光学兵器でね。


「つきみ!相手との距離は?」


「うーんと、いちじゅう…現在1257キロ毎分今だ上昇中ですっ!!」


 うっは!かなり近付いた!!


「そんじゃ…秘匿兵器…御開帳~!!」


 簡単なんだよ、前部ハッチ開けただけだよ悪かったな。


 スッと開くとそこには…




 うん、いや、お前はそこに居なくていいから。


 スッパ(仮)、ハッチの外壁裏にしがみつくな、後キャメラの脇に綺麗に畳んだユニフォームが架けてあるな?また裸なのか?


 スッパ(仮)が離れたのを確認し(居たらそれで仕方ない)、ハッチから繋がるスイッチを…、タイミングを見て…、



「ご主人様!敵性航宙船と交差コース入りましたよっ!!」


 ガンガンっと相手からの実物使用兵器が掠める音。デブリ用防御シールドに阻まれてはいるが、微妙に航路に影響が出る、だから修正噴射を繰り返して…


「リニアカタパルト!シュート!」


 あ、ぽちっとな。




 宇宙空間に無音で、帯電したカタパルトから物質が射出されていく。


 傘状に纏めた物質は、コーン状に広がりながら、各自に取り付けられた使い捨てバーナーで加速。


 全ての移動運動は射出された瞬間から開始してるので、所謂交差コース内のキルゾーンは次第に濃密さは薄くなるけど範囲が拡大していくなぁ…


 当たったら、死ぬのかな、相手。







 **********************



「ご主人様…ご主人様…、元気出してくださいよぅ…」


「わかってる…わかってるって…平気、だよ…たぶん。」




 自分が射出した廃棄物(コロニー等から出た非リサイクルゴミ)が、相手航宙船のコックピットに当たった。相手の武器は年代物の内燃式射出装置だったから、弾幕を張って来て序盤はこっちも危なかった…が、



 結局。



 たった一回のリニアカタパルトからの射出で片が付いた。


 そりゃそうさ。


 必ず当たる交差コースで放たれた数百のデブリ。


 回避することなんて、出来やしなかったんだから。



「ご主人様…ご飯、召し上がらないんですかぁ…。何回も吐いちゃうから、つきみ心配で補充ローションも喉を通りませんよぅ…。」



 つきみが心配げにこちらを伺う。


 嘘つけ。機関に俺由来のタンパク質が混入しないように、補充液は経口注入しないんだっての。



 …そうさ、セクサロイドに感情なんて、ないさ。

 ただのプログラミングされた、機械人形…。

 でも、人間と何が違うんだろ?


 電気食って、潤滑液排出して、いっぱい馬鹿やって、俺のこと…大好きで…、



 それって、人間と、何が違うんだろ。いや、人間が、セクサロイドと違うのが、生殖で増殖するとしたら、


 コロニー人口抑制策で80才まで結婚出来ない俺は、果たして人間なんだろか?



 うちらはまだいいとしても、きっついコロニーだと、生まれた瞬間に遺伝子選別で適性不可は処分、可でも第二次成長期過ぎたら種取って冷凍保管でおしまい、みたいなとこだってあるし。


 そんなとこは、有機物質もカツカツだから、死んだら即、分解処理されて宇宙モエビの腹の中。究極のリサイクルだよ。ほんと。




 だから、俺は宇宙に出た。月面近辺の認可じゃなく、わざわざ裏技駆使して外惑星連合の海賊許可を得たのも、様々な事情を鑑みて、って奴だ。




 …はぁ~、あぁ、そういえばあの船、係留してくれたのか。スッパ(仮)、お前の方が立派な宇宙海賊だよ。ほんと。


 なんかスカッとしなきゃだな!!


「よし!つきみ!一発お願いするか!」


「…はいはいな~ッ!それじゃご主人様が上がいいですか?それともつきみが下がいいですか?」


 無粋なことを聞くな!!あとポジション同じだから…でも、そうだな。


 やっぱり、そんなつきみが居なきゃ、




 宇宙くんだりまで来る意味がないさ。




 そして俺は、人生三回目の我が息子がスパークする華麗な光の宇宙(ファンタジー)を見られた。


 光越しに浮かび上がる青白いつきみの頬。そして遠退く俺の意識…これは、キモチヨイからじゃない…。



 でも、こいつなんで漏電してるのに平気なんだろ?今更ながらすんげー不思議。



「なぁお前さん、なんで漏電しても平気なの?」


「そりゃご主人様、あたしが宇宙一優秀で可憐な永遠のアイドル、夢の童貞キラーのセクサロイド最高級モデル、ムーンリビドーPXtypemoon-07-21バリアブルモデル最終ロット、ドキ☆ドキ!うれしハズカシ擬似排泄機能で最早人間?いや人形?もうどっちでもよくね?俺の究極空気嫁完全再現くびれぽちゃスタイル、そして胸熱えろえろコスチュームフル装備!気分アゲアゲ着せ替え出来るけど!イヤッホーイ!ガーターベルト白スト最高ッ!!だからッ、ですッ!」


 感極まり、しばし中空をさ迷うつきみの視線。でも、えっと、漏電遮断装置とかは?


 いや漏電が…いや、まさか…。


「つきみ、お前もしかして循環充電可能タイプ?」


「当然です!なんてったって……






 俺の究極空気嫁。確かに。


 最高級で最高に、俺に合ってるよ。玉なしにゃ持ってこいさ。



 ****************


「さて、それでこの戦利品だが、君達に立ち会っていただいてる理由は、もうお判りだろう。」


 恭しくつきみとスッパ(もはや仮は要らないだろう)に宣言する俺。

 なんてったって宇宙海賊なんだから。


「はい!船長ご主人様!いや、ご主人様船長!!」


「つきみ…ご主人様だけでいいよ。」


「はいなっ!このケースが当社PXセクシャルドロイド株式会社の正式搬送ボックスだったから、です!!」



 その通り!!箱だけみて「またセクサロイドかよ!この宙域はどんだけ空気嫁大好きなんだよ!セクサロイド多過ぎだろ!!」って突っ込みいれちゃう俺でしたが…、


「スッパ(もはや仮は必要あるまい)、この箱に表示されとる識別用コードは?」


「はい旦那様、こちらにはフェイメル、…残念ながらおめでとうございます。新しい女人の部下が増えました。」


 うっひょ~っ!!ってことは…、


 新品!し・ん・ぴ・ん!!SHI!N!PI!N!オーイィエイ!!


 生まれてよかった~!!君に会えてバンザイ!!セクサロイドだけど…!



 …もう我慢できん!!俺様のリビドーMAX!!ふーじこちゃーん♪


「あ!ご主人様!いきなりそんな乱暴に開け

 どんがばちょ。と開けたらいきなり視界がドンッ。


 …真っ白になって、箱の中身がもふもふの白い塊になった。いや、箱自体も包まれてる。


「…こりゃどーしてこーなった。」


「あーあ、だからご主人様は童貞なんですよ~。箱は正規の開封しないと事故発生用の充填ポリマーが噴き出してこーなるんですから。」


 まいった参ったこれどーしよ。


 しばらく待てば消えるらしい。その間に飯にすっか。


 *********************


「てってれ~!今回のごはんはこちら~!!」


 《特盛艦隊!!空腹迎撃カレーライス風味リキッド・つぶつぶ食感》


 もうほんと特盛艦隊!!ってネーミング、腹減ってない時の残念感ハンパない。


 そして、このリキッドがくせ者…ようはただの液体。そして…つぶつぶ食感!これなんなんだよ。


 どーやら肉や野菜の噛み締め感覚を彷彿とさせる為の苦肉の策なんだろうが…、




 味、全部カレーライス。つまりカレーライス味の水にカレーライス味のつぶつぶ入り。


 繰り返します。カレーライス味のつぶつぶ入りカレーライス水。もう全部おんなじ。


「こんなんばっかじゃ、そりゃあの箱開ける気力も萎えるわな…。」


 多少の同情心もあったから、いつもより少しだけ長めにご馳走様をした。


 大量のカレーライス水を視界に入れないようにしつつ。


 ✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳



「さーて!食ったらやるのはただ一つ!!新しい乗組員と御開帳~!!」


「ご主人様そこご対面だよぅ。」


 珍しくつきみに突っ込まれながら、新入り一号ちゃんとドキドキ対面…!!



 蓋に手をかけ、開封スイッチを押しながら持ち上げて…


 がちゃぽんぴんぽーん!!



 軽いフシュ、という音と共に蓋がスライドし、フワフワした保護シートをめくると…、





 !!!!


 イィッヤッホーイィ~~!!!



 おにゃのこ!!しかもつきみとは違った方にカワイイ!!


 理知的な長めの睫毛、細く長めの眉、ウエーブした栗色のサラサラヘアー、スッとした輪郭に小さくてキュッとしたかわいらしい唇。


 そして……ん、なんか、随分とまた、刺激的なコスチュームだな。


 つきみと対照的な黒のガーターベルトにストッキング、リボンじゃなくて、スタックだったか?銀色の鋲が目立つ。


 そして、つきみと同じ位のむっちり双子山~!!なんだが、


 なんで、ブラの狭間に錠前、付いてんの?



 頭の中にハテナが並んだ時、箱に繋いでいたコードで充電は済んでいたのでゆっくりと箱に手をかけ、起き上がる御新規ちゃん…名前なんにしよっかな~!


 パチパチと瞬きして、スッとこちらを向いた。初ガン見ゲトー!


 これで雛鳥現象で主従認証とかなんだよな?


 つきみの時は中古だったからか、いきなり

「床上手と言われるように頑張りまぁ~す!それではご主人様…抱いて…くださいますか…?」

 だった。今思い返しても…あぁかわいかった…だが、その後の落差とが、悔やまれる。


 ワクドキしながらの御開帳~!!の結果が、いきなり「え?盗掘された遺跡か?」だったからね。見たことないけど。




 しばらくそうした周囲を観察していたが、スッとこちらを見た。


 きたきた!!なんだろな~。ちょっと視線が怖いけど。



「……おまえが新しい下僕か?」






 イヤーンうっそーー!!まさかの女王様降臨~~ッ!!?


 見た目の年令とか感じはつきみに似てたから、ただの別タイプかと思ってたのにぃ~~!!



 冷たい視線に暫し呆然としてたが、つきみの方を見ると、

「あ、えぇ、なんだか頭良さそうですよ、うん、たぶん?」


 君よりはな。確実に。


 スッパがやけに静かだと思ってたら、充電中らしく微動だにしない。紛らわしい奴だ。太陽光充電モデルはエコだが静かすぎる時が不満、だな。




「まぁ、別に下僕でもオス豚でもどっちでもいいわ。お前が新しい私の所有者なら、もう少し船内環境を改善すべきね。さっさと働け!」


 かわいらしい唇から辛辣な言葉が並び出る。うわぁー、なんかつらいー!


 でも、それでも順繰りと好感度を上げていけば、甘々ラブラブも可能らしい。


 恋愛観見通し、暗中模索、だって俺童貞です。でも、二人ともカワイイのに…。




 でも色々楽しみだ!つきみは補完済めば即入居可能物件だし!二号ちゃんは性格キツそうだけど頑張り次第で…かな?


 二人ともセクサロイドだけどね!!




















旧作をお読みになっていただいて無事に引っ越した方へ。引っ越し祝いはそのうち致しますので。あと宇宙海賊は合法ですがコロニー付近や惑星至近での海賊行為は禁止されています。ダメ!絶対だめ!その海賊行為は合法ですか?年末年始海賊行為取締り強化月間実施中です。ぽろりはあります。

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