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苦手な方はご注意ください。

重装工兵なご主人様

作者: zaq2

 巨躯で重装歩兵ないで立ちのご主人とその従者のとある日常のお話し。

 ※:中途半端で完結していません。

 視点がコロコロ変わるというのを、試しで書いていた奴の供養作です。



※:思いついたら、ちょこちょこ書き足したり直したりしています。

「おはようございます!レダさん!」


 そう受付の前に元気よく現れたのは、見た目は子供にみえるぐらい小さな体をしている少女が一人。

 その元気よい発言をしている少女に対して、部屋の中にいるほかの存在たちも、どこかしら笑顔になってはその少女を温かく見守っている様でもあった。


「おはよう、メチスちゃん。今日もご主人様と一緒・・・なのね」

「はい!」


 その元気な少女にレダと呼ばれた存在は、この職場のおいて受付嬢を行っており、その女性は挨拶が終わるとすぐに、建物の外へと視線を向けては、入り口を通る人の邪魔にならない程度の場所に全身鎧姿の存在の一部が見える恰好で佇んでいるのが確認していた。


 それほどの大柄といえる人物がそこに存在しているのだが、受付嬢はそのまま元気印ともいえる少女へとやさしい視線を向けなおしていつも通りの対応を行っていた。



 なにしろ、あの扉から中に入ってこれないほどの巨躯の持ち主は、この元気印がご主人と呼ぶ存在らしいのだが、以前、この建物の中に入ろうとした際、床板を踏み抜いてしまったり、その動きで柱や壁、しいては机などの備品を壊してしまったりと、その大きさと重量故に建物の中に入る事を禁止された人物でもあり、物損が起きていないかと確認をしていたに過ぎなかった。



 その為、大柄の人物がこの場所に用がある際は、こうして小間使いともいえる少女であるメチスによって、こういった要件的な事をなしていたりするのである。



「メチスちゃん。いつも元気が良いわね」

「はい!元気が私のモットーですから!」

「そうね~その元気なおかげで、みんな元気になれるものね」

「えへへへへ、私、褒められました!ご主人様!!」



 褒められた事を外にいる自身の主人に向かって笑顔で大きく手を振る姿、それにこたえるかの様に巨人が小さく手を振り返している。




 なんとも微笑ましい光景である。




 主従関係を持つ者が、こういう市井(しせい)の一般市民によりそった組合にて仕事を受け取る事はあまり見受けられないのだが、受付組合員が初めてこの状況を体験したときは、組合やその周りの事務含めて、誰しもが何かしらの疑問や疑心を感じていたりもしていたが、それがひと月、ふた月、そして一年と続くと、それはもう誰もが"あたりまえの光景"であると認識してしまい、いつしかそのやりとりが日常になっているのが当然になっていた。



「それで、今回はどんな依頼を受けるのかな?」

「えーっと・・・今回はコレです!」


 と小さな従者から差し出された依頼伝票を受け取って見てみると、その依頼内容といえば商人護衛の依頼内容であった。


 こういった手合いの依頼は、複数人における護衛で、次の大都市となる街まで往復でも数か月はかかってしまうものだろう。


 それぐらい遠い場所に向かうのであり、またその道中における危険度は高い部類に分類されるものでもあった。


 その為、こういった依頼を受けるには、かなりの実力を兼ね備えているのが必然であったのだが、受付嬢のレダはその事を気にする様子もない



「あら?今回は護衛依頼なのね?おねえさんとしては、最近現れたという魔物の討伐を選んで欲しかったかな?」

「あぅ・・・ご、ごめんなさい・・・討伐系は、準備するための予算がちょっと・・・」



 討伐系の依頼ともなると、野営などが含まれるケースもあり、また対象となる相手によっては、罠や道具などを準備するのは必然である。


 その為、そういった準備を整えるための資金も必要になってはくるのだが・・・その出費も厳しいという事であるならば、仕方ない事でもあった。



「なら仕方ないかな?けど、半年もメチスちゃんに会えなくなっちゃうのね。ちょっと寂しいかも」

「あぅ・・・すみません・・・今月も苦しくて・・・食事付とあったので・・・」



 と自身の感情を吐露しては、しょんぼりとする少女が目の前にいた。


 返された言葉の中に"食事付"といわれ、再び、その伝票の備考欄をみてみれば、確かに食事付となっているのを確認しては"なるほど"と。納得しながらも、手続きの処理を開始し始めていた。


 受付嬢が何事も心配する事もなく、手続きを続けていくのには訳があった。


 小さい少女と外にいる主人含め、彼女たちが行う依頼達成度は本組合支部において、完遂率がほぼ100%であり、危険度が高いものですら、普通にこなしてくるである。


 特に、その主人の戦闘技量等を含めると、護衛程度の依頼であるならば何も問題になる事はないと周知されている事実でもあった。


 そんな中、その依頼の報酬額が何に使われているのかが良くわかっていなかったが、たいてい、ほとんど見かける時は、少女ともに金欠状態であるという事もチラホラと噂として耳にしてはいた。


 ただ、その身なり云々に関しては、きちんと小奇麗にまとまっているため、そんなに金欠になるほどのものなのか?と思われており、真相と思われているのは大食漢であるという疑惑であった。


 依頼を完遂し報酬金を受け取った日には、この街の食材店から食材が大量に減るという事例が毎回起きる。どうもあの巨躯の主人がかなりの大食漢であるのだろうと、周りからはそう推察されていたりはした。食料品店は、売れ残り含めて、在庫が捌けれると喜んでいるようでもあったが・・・


 その為、その食事付という護衛依頼に対しても、危険度が高いから危ないという注意喚起を行うという事よりも、この依頼主さんの準備した量で事足りるのであろうか?という懸念にかられた為、少し注意をしてみようと言葉を投げかけていた。



「大丈夫?食事付ってあるけれど、一般的な量しかでないわよ?」

「??大丈夫です・・・よ?一応予備として確保していきますし、道中でも補給を欠かさないのは、冒険者として当たり前です・・・し?」



 何故か疑問形で返し、そして最後は小さくなっていくのが解らないが、そう聞かれていたメチスは、レダの心配事を理解したのかどうかわからない反応で言葉を返してきた。


 レダとしても、予備として持っていくとは言っていた為、その点は大丈夫なんだろうという認識を持ったのだが、やはり心配事となってしまっていた。



「まぁ、いいわ。準備していくというのなら、それで、依頼を受ける人数は・・・」

「はい!わたしと、ご主人様の二人が参加します!」

「なら、いつもの通り・・・っと、はい受付終了ね」

「ありがとうございます!!」

「出発は明後日の朝よ~遅れないでね~」

「はい!わかりました!!」



 手続きが終了した書類と割符を受け取ると、メチスは自身の主の元へと急ぎ足で駆け寄っていった。


 そして、巨躯の主人は、そのメチスから伝票を受け取ると、優しくその頭を撫でていたりし、その撫でられるという行為でメチスは満面の笑みを周囲に振りまき、その状況を見ていた他の面々は、どこかしら温かい感情にもなっていた。



(うん、メチスちゃんの笑顔って、なんてカワイイんでしょう)



 このギルドにおいてムードメーカー的なメチスの言動にほんわかしながら、受付嬢のレダはふと思いだすことがあった。


 それはメチスの満面の笑みが向けられるのがいつもその主人であるという点であり、ひどい仕打ちなどを受けているという事は、はたから見てありえないのだが・・・



(あのご主人さんは良い人なんだろうけど、メチスちゃんは主人の顔を見たことがあるのかしらね・・・)



 いまだに、このギルドにとっての不思議案件の一つというものに、少女(メチス)の主人の顔を、いや、性別すらも誰も知らないというのがある。


 一説にはひどい戦闘傷後があるやら、本当は人じゃないのではないか、実は生きる鎧(リビングアーマー)だったり、などなど、憶測が憶測を呼んではいるのだが、誰もが会話をした事もなく、そしてその素顔を見たものはいなかった。



 そして、この街の冒険者ギルドにおいて、その主人が一体どういうものがが一種の娯楽、つまり賭けの対象にもなっていた。



 ちなみにレダ嬢が賭けているのは、その紳士然とした立ち振る舞いから、"亡国の王族か、または貴族籍に関わるダンディなオジサマ"であった。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 依頼受託の後二日後、まだ朝もやが残る街の出入り口に商隊と思える馬車が2台と、それに集まっている人たちがいた。


 お互いがお互いの情報交換等で和気あいあいとしている中、真剣な表情で話し合いをしている風な場所に独特な足音(わかる者がいたら駆動音)を出しながら、その場に現れた人物がいた。



「おぉ・・・いつ見てもでっけぇな・・・」

「あっ、おはようございます!アドラスさん!」

「おぅ、おはようさんな、メチスちゃん。長い付き合いになるだろうが、よろしくな」



 そういってペコリと挨拶をする少女と、その後ろに巨大な背荷物を背負っている巨躯の人物がいる。

 巨躯の人物は軽く会釈をするだけで、ふたたび何言わぬ鎧像ともいえる状態でその場で佇んでいるだけであった。が、



「えーっと、依頼主さんはどちらにおられますでしょうか?」

「ああ、あの前衛を務める馬車の所にいるぜ?身なりの良い恰好の人だからすぐわかるぞ」

「ありがとうございます!では、知らせに行ってきますね!ご主人様!!」



 と、主人に対して一礼をしたのち、踵を返してはタッタッタという小走りで教わった場所へと走りさるメチスをよそに、



「ほんと、あんなカワイイ子なのに、あれで(ランク)8とか、世の中どうなってんだかね・・・そう思わねーかい?"鎧の旦那"」



 (ランク)とは、ギルドに登録されている構成員に与えられている実力度を具体化したものである。


 初期はR0の"見習い"から始まり、徐々にその(ランク)の数字を挙げていくのだが、R5からは戦闘能力の有無によってふるいにかかってしまい、ほとんどの者はそこで頓挫するものである。


 しかし、元気印ともムードメーカーとも呼ばれている"鎧の旦那"の従者であるメチスは"R8"、つまりはその戦闘というふるいをもくぐり抜け、さらに高みへと至る存在であるという事になる。



 そういうこの男も、R16というランクであり、戦闘においてもチームでならば災害級と言われる危険度でいえば上から二番目~三番目クラスともなる竜系などの魔物を一体、相手どれる高位の位置にいたりする。



 ちなみに、メチスの主人はというと現在はR28であり、これはこの街に降りかかる災厄級(危険度でいえば一番目~二番目クラス)とも呼ばれる大型魔物を"たった一人で討伐できる"という(ランク)レベルであったりするのだが、本人やギルドも大っぴらに公表する事がないため、一部の人物以外にはあまり知られていない事であった。



「まっ、"鎧の旦那"がいるなら、今回は楽な仕事になるな。よろしく頼むぜ!」



 そんな事を言いながら巨躯の鎧を軽く叩くと、"コーン"という金属音だけが響くが、その中身に関しては空洞になっているのか詰まっているのすら定かではなかった。



「相変わらず無口かよ・・・ほんと、中身はいってんのかね・・・?」

「・・・・・・・」

「まぁ、いいか、とりあえず護衛隊長はオレが務める事になってる。"鎧の旦那"は商隊の尻を頼むぜ?その方が、やりやすい(・・・・・)だろ?今までの様に仕留めてってくれりゃいいからさ」


 そんなやり取りを行い、再び鎧を軽くコンコンと2回たたいたりする。


「(ほんと、中身入ってんのかねぇ・・・)」



 ちなみに、この彼が賭けているのは、生きる鎧(リビングアーマー)である。



「ご主人様!!こちらです!!ご挨拶を!!」

「っと、"鎧の旦那"、呼んでるぜ?」



 と、やり取りをしているときに、その巨躯の鎧は依頼主の方へとゆっくりと移動し、挨拶を・・・というか、軽く会釈だけしていた。



「ほんと、あいっかわらず喋らねーのな」



 遠巻きで眺めながら、アドラスはそう呟いきながら頭を搔いては、つぶやいていた。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





 護衛の旅は順調に進んでいた。


 当初、商隊のみなが予想していたルートではなく、別ルートで向かうという事で不安もあったが、その実、不安の多くはあの巨躯の鎧姿の者が原因でもあった。



 まず見た目がとんでもなく大きい。



 大きいという形容しかできないぐらい大きい。荷馬車の屋根に頭頂部がとどいているのではないかというぐらい大きいのだ。


 その存在感というか威圧感を、慣れない商隊に参加する者達にとっては、不安からくる恐怖すら感じてしまっていた。


 そして、さらに不思議な事を経験した。

 それは、眠っているという様子が無く、野宿の際に食事を一切とらない。


 宿場町にて一泊する予定をとれば、宿の床が抜ける恐れがあるという事で、野宿に近い事で休憩している様でもあったが、その行動がとんでもなく不気味で仕方ない存在に見えてしっていた。



 ただ、それを従者と思われるメチスと名乗る少女が献身的に世話を焼いていたり、周りの商隊のモノたちとも打ち解けいったのが、器用なものだと感心してしまった。


 そういった席には、あの巨躯の鎧が特に何もするわけでもなく、その従者の頭を撫でていたりするのがまた場を和ませるのには十分であり、4,5日もたてば、そんな不安なんてものはなくなっていっていた。



 そして、そんな余裕が出てくると、興味というものが出てくる。



 特に私が興味を引いたのは、あの鎧甲冑が魔道具の一種であるという事がわかったからでもあった。


 日が沈み切る前に、次の宿場町へと入ろうと早足にしたとき、その巨躯の人物は本体を軽く浮かせてこちらの最後尾から着かず離れずで常に一定の距離で移動していたのである。


 体を浮かして移動速度を上げる事ができる鎧甲冑。


 ギルド員の奴らは、特に気にすることもなくしているが、これがいかにとんでもないモノか分かっているのだろうか?


 特に、モノを運ぶという生業をしていると、地面の状況に左右されることが多々あるが、あの様に浮かんでいる状態であるならば、その影響を受ける事が一切なくなるという事であり、つまりは、物資の搬送効率が上がるという事である。


 一体どういう代物かと聞き出してみようとしたものの



「ご主人様の魔法はすごいのです!」



 という従者のメチスという小娘がそう話しては納得していたが、長期間維持し続けるという点を鑑みれば、あの鎧事態がそういう類のものではなかろうか?と、あれだけ持続力が続く魔法があるわけがない。


 それならば、鎧が魔道具として機能しているとするならば、これほどまで画期的な存在はあっただろうか?これは商業だけではなく、産業・・・そして軍属や国家の中に存在する物流や移動に関してとんでもない物になるという事を気づいていないのだろうか?


 これは莫大な商機になるのではないか?と、その鎧甲冑を売ってはくれないか?と交渉をしに向かったのだが・・・ 話が全然通じない。


 いや、通じないというか、相手がまったく話をしてこないのである。


 業を煮やした私は、無理矢理にその甲冑を脱がそうとしてみたのだが、そこに従者の小娘が割って入ってきては、私を無理矢理剥がされていた。



「この鎧を剥がすと危ないです!!それに、ご主人様の命も危険なので止めてくください!」



 と、従者の小娘があまりにも真剣な剣幕で怒ってくる事から、どうやら呪いの類に関する魔道具かもしれないと私は推測した。


 呪いの類であれば、たしかに触れたり条件がそろったりすると、その対象に対して何らかの呪いがかかる事があるだろう。が、呪いが有ろうが無かろうが、あの様な移動方法ができる様になれば、物流に革命がおこるのは確実であろう。



 いたし方ない。



 あの機能の利権だけでも抑えるために、一度お抱えの技師に打診をしてみるか。



 それにしても・・・あの鎧も気になるが、巨躯が背負っている金属製の背負い箱には一体何が入っているのやら、食事時にも開ける事もなく、そういう雑貨や生活品が入っているわけでもなさそうだが・・・



 うーむ、色々と興味を惹かれる存在でありすぎる。




 そんな中、目的地の首都となる商都へと到達するまで、あと数日といったところで、やはりというか密林街道に入った時に襲撃(・・)されてしまった。



 今回の隊商順路において、もっとも危険度が高いであろうと推測をたてていた場所でもあった。



 それは、よくある"危険"と想定していた賊の類ではなく、予想以上の大型な存在が現れたのだったからだ。



 見上げる大きさ、つまりオーガと呼ばれる存在であり、1匹だけならまだしも3匹がまるで示し合わせたかの様に隊列を塞ぐ形で現れたのである。



「こんなところでオーガなんて・・・神は私を見放したのか・・・?」



 震える声で、戦闘を開始している護衛達。

 前にいるオーガ二体に対して総勢の12名で対応している。


 そうなってくると、背後にいるのは、あの巨躯の鎧とその従者の小娘との二人で一体を相手している事になる。



 ちょっとまて、そんな無謀な事でいいのか!?



「おい!後ろは大丈夫なのか!?」

「ん?"鎧の旦那"と"嬢ちゃん"がいるだろ?1匹ぐらいなら余裕だよ。逆にオーガがかわいそうなぐらいだ。」

「オーガを二人でだと!?そんなバカな話があるか!!」



 そう怒りをあらわにし、荷台を走りぬけて背後が見える場所にまできてみれば、信じられない光景を目の当たりにする。



 巨躯の鎧甲冑の者が、あのオーガが放つ一撃を片手で受け止めていた(・・・・・・・・・・)のである。


 普通の人間ならばそんな芸当なぞ出来ない。

 受け止めてしまえばおのずと肉塊になってしまうだけである。


 そのため、ほとんどの者は回避に専念するのだが、それなのに、あの巨躯の鎧はそんな事もせずただただ片手で受け止めていたのである。



「なっ・・・何なんだ・・・!?」

「ご主人様!今です!」



 驚きの声しか出なかったが、さらにその続きがもっと信じられなかった。


 小娘が行ったと思われる、束縛的な魔術?を使ってオーガの足を拘束したかと思えば、大鎧が背に持つ鉄塊とも呼べる背負い箱の形が変わると、炎と爆発音とともに空気の振動が来たかと思えば、対峙していたオーガの体には大きな穴が開いている状態であった。



「なにが・・・おこったんだ・・・?」



 信じられない光景がこうも続くと、頭の中の思考というものは、考えるのをやめてしまうというのは本当なのだろうか、ただ、何が何だかわからないまま、危険が去ったという事だけは理解はしたが・・・



「"鎧の旦那"ぁ!!そっち終わったんだろ!?なら、こっちも頼む!ちぃっとヤバイ!!」



 前にいた護衛から、怒声が響いてくる中、こちらへと振り向いた巨躯は、先ほどと同じように小娘が後方から消えたと思えば、光と音を2回響かせた。


 響かせた後、先ほどまで前方で戦闘していた音が急になりやむと、前の2体のオーガだったものがゆっくりと倒れ込むのが見えた。ただ、その二体に頭部という存在がなくなっているのが、見えていた。



「あいッ変わらずえげつねぇほどの威力だなソレ・・・ほんと、"鎧の旦那"と仕事すると、大型相手の戦闘が楽できていいわ」



 先ほどまで戦闘を行っていた護衛隊長のアドラスから、戦闘終了の合図が放たれ、事後処理が行われていっていた。


 こちらの被害は馬車に使っていた馬が一頭のみ。それ以外は護衛者に重傷者が数名でただけではあったが、それをあの従者と言っていた小さいお嬢ちゃんが「治療します!治癒魔法です!」と、そのほとんどの外傷を直していった。



「ご主人様!私、頑張りました!!」



 治療を受けたモノから感謝の言葉を貰い、それを報告しにいったお嬢ちゃんから、自身の主の元へと一直線へと向かい頭を撫でられていたのが印象的であったが・・・


 いやいやいやいやいや、あの魔道具って何ですか!!!オーガを一撃で倒せれる魔道具なんて、この世に存在したなんて事を聞いた覚えが無い!!


 そんな魔道具があるなら、ほしい!または同じ様な物を作れないか!と、先ほどの悲壮感なんてどこ吹く風で、もう鎧姿の護衛人に対して商談を持ち掛けようとしたのだが・・・



「やめとけって依頼主さん、"鎧の旦那"はあれでもR20超えなんだぜ?そういや、もうじきR30にも慣れるんだっけか?ま、そんな自分の商売道具をそう簡単に手放すと思うか?」

「なっ!?R20超え?R30にもなるだと・・・!?」



 R20超え。

 商いを行う者にとっては知らない訳に行かない。

 それは上級者と呼ばれる壁を、さらに超えた者たちが慣れるランクであるのだから。


 もっと言えば、R20超えは一種のステータスともいえるランクであり、そのランクであるという事だけでも下手すれば下級貴族(準男爵や騎士爵並)ともいえる代物でもある。


 そして、ギルドとしてもお抱え要員として重宝する相手でもあるため、その保護としてもかなり優遇されたりもする。


 そんな相手に得物を売ってくれとやってしまえば、逆にお抱えのギルド経由で何かしらの事が起きる事態になるかもしれない。


 それではこちらが不信を買うことになり商売にも影響が出てしまう可能性が出てくる。


 しかも、ウワサでは、R30にもなれるというのであるならば、その人物には一部、裁量権も与えられた自由すらも与えらえるという話も聞く



 ぐぬぬ・・・仕方がない、ここはいったん引いて、とにかく似たような物が出来ないかを相談するか・・・



 次なる商機という目的が見えてきただけ御の字とし、商隊をまもなく見えてくるはずの首都へと進ませていった。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





「うわぁーーー大きいです!大きいです!!」



 初めてみる他の街、何でも首都とよばれるその大きさに私は感動を覚えていた。

 私の感激の言葉に対して、肩に乗っかってる私にご主人様は私の頭を撫でてくれる。



 ふにゃぁ・・・


 これ、すごく気持ちいいんですよね・・・なんかこう・・・安心するっていうか・・・

 って、そうじゃない!私は従者なのですから、こんな誘惑に負けない!負け・・・ま・・・


 ふにゃぁ・・・




 あ、頭を撫でてくるのを止めちゃいました。残念です・・・


 入場待ちから、ようやく町中に入り、依頼主さんのお店まで到着すると、ここでいったん仕事は終了となります。


「おーい、メチスの嬢ちゃん、お疲れ様な。あと"鎧の旦那"もお疲れ」


 とは、一緒に護衛を行ったアドラスのオジサン「お兄さんだ!」からねぎらわれました。


 リーダー役としてかってでて、ご主人様が戦いやすい様にしてくれたのは感謝しています。が、何かとご主人様の事を聞きに来るのはどうかと思います・・・



「しかたねーだろ、賭けてんだから・・・」

「主人の秘密を喋るなんて、従者の風上にもおけませんよ!」

「確かにそうだよな・・・でだ嬢ちゃん・・・中身見た事ねーか?」

「だーかーらーーー!!」

「アハハハハハ、わりぃわりぃ、ほら、完遂の割符な」



 そういって、差し出されるのは完遂割符です。

 出発時に渡した割符との交換となる代物で、これさえ持ってギルドに行けば、お給金を頂けるという寸法です。

 これは早く行って換金し、何とか私たちの目的を完遂せねばなりません!



「ありがとうございます!お疲れ様でした!!では、私たちは報告に行ってきます!!!」

「あいよ、俺は依頼主と事後処理しておくから、気をつけてな」

「はい!!アドラスオヂサン(・・・・)!」

お兄さん(・・・・)だ!!たくっ」



 ご主人様の事をとやかく聞いてくるので、これぐらいしても罰はあたらないでしょう。

 はぁー少しすっきりしました。


 それでは早速ギルドへと向かいましょう!

 と、ご主人様と一緒に・・・一緒に・・・アレ?

 きょろきょろと周囲を見回してみますが、それらしい姿が見受けられません。

 おかしいです、大きなご主人様なら、一発で見つけれるのに・・・


 と、近くの広場の方を見てみると、あ、いました!

 が、周りに子供たちが集まっています。


「すっげーー!!」

「でっけーーーー!!」

「かっこいいーーー!!」」

全身鎧(フルアーマー)なんて初めてみた!!」

「ねぇ!どこからきたの!!」

「どこの騎士ですか!!」


 と、好奇心からか、わらわらと集まる子供たちに、座っていたご主人様もタジタジなご様子です。

 こうみてみると、すこし可愛らしいなぁと思ったりするのですが・・・


 あ、そうだ!いいこと思いつきました!


「ご主人様!」

「おねーちゃんだれ―?」

「おねーさんは、このお方の従者なのです。」

「従者・・・ってことは騎士様なの!?」

「すげーー」

「騎士さまだー!すげー!!」


 余計にタジタジしはじめるご主人様・・・

 あっ、しまった・・・私が悪い事をしてしまったみたいです。


 あぅ・・・


 こ、ここは名誉を挽回しなくては!



「ご主人様!ギルドへの報告は私がしてきますので、ご休憩をしていてください。それとコレを・・・」



 と、手渡すのは、保存食用にと買っておいた携帯用のお菓子。


 日持ちは一応しますけれど、そろそろ処分してもよいと思っていたので、それをご主人様に手渡しておきます。


 その包みを受け取って中身を確認すると、集まってきた子供たちへと配られていたので、もう大丈夫だと思ってギルドへと向かいます!




 さぁ、換金が終われば、ご主人様とデートの時間・・・いえ、買い物の時間です!




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 まいった・・・

 小さな・・・いや、これは幼体ともいえる知的生命体に囲まれてしまった。


 これではちょっとした身動きをし相手を傷つけてしまった場合、知的生命体に対して攻撃的処置がなされた、と判断されてしまえば軍法会議物であり、最悪は極刑に処せられてしまう・・・



 植民宇宙法に照らし合わせてみれば、未開惑星の地においての文明的な進化を遂げた知的生命体との接触には、やむを得ない場合を除き接触するのは非推奨されている事例でもある。



 しかし、母船の修理用補材を集める為には、ホールアウトした時に近くにあったこの惑星が、運よくその補材がある事が濃厚であったのだが・・・いつしか、かなりの年月を過ぎ去ってしまっており、この惑星の文明人たちにも何かしらの愛着という物がわいてきてしまう。



 特に、この様に人なつっこい小さな種は、その動きを一日中みていても飽きが来ないほど、見続けてしまう・・・不味いな・・・愛着を持ってしまえば、本隊へと帰還する際の障害になってしまうのではないか?と・・・いや、その時はその時であろう・・・今は割り切るしかあるまい。



 メチスと名付けた、この惑星用に調整製作した支援ユニット(サポーター)から包み紙を手渡され、それを慎重に一個づつつまんでは小さな知的生命体へと配っていく。


 我先にという者もいたが、そこは静止させてきちんと一人ひとつづつ渡していくと、その表情がまた、こう・・・今の私の境遇を忘れさせてくれるとでもいうか、そんな気分にさせてくれる。


 この包みを渡してきたサポーターは、どうやら資金を調達に向かうという。

 ならば私はこの場にて待機するのが良いだろう。



 そろそろ、船外活動用の外骨格装甲のメンテナンスも行わなければならない。



 そういえば、予備として持ち出してきたレールガンの弾数も、残り3発しかない。


 大型種でなければ、レーザー射撃銃(ブラスター)で対応はできるだろうが、もしもの場合として準備していたのが、功を奏すとは思いもよらなかった。


 しかし、復路に往路と同じ大型種が出てこないという理由もないだろう。そうなればこの弾数では心もとない。



 補給するにも、子船があるのは出立した街近くの湖の底。



 うーむ・・・どうしたものか・・・射出する物となる代替品は何とかなるかもしれないが、射出台となる媒体の代替品があるかどうか・・・ある程度の摩耗と電流に耐えるとなると限られてくる。


 メンテナンスと言えば、補材として利用できそうな鋼材インゴットの純度がこの星の冶金技術ではかなり低い、そのままでは代替する訳にもいかないが、数をそろえれば工作艦としての機能も備える母艦において時間はかかるが純度の高い物へと精製しなおせれるが、いかんせんこの星での物流量が限られていたのがつらい。


 それぞれの街で手に入れるにしても、どうやっても足りないのである。


 ならばと、この星の有機成分、つまり動植物関連の素材ではどうかと調査をし始めたら、有機成分に関する所でかなりの高純度が得られる事が解り、彼らの経済市場を混乱させない様にと思いながらも、買い付けに食材店をあさったものである。



 しかしまぁ、この街において、新たに代替できる素材が見つかれば良いのだが・・・




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「なぁ、密林街道の方、何かいつもと雰囲気おかしくないか?」

「あん?いつも通りだろ?」



 首都の商都の周囲に張り巡らされている壮大な城壁、何物も寄せ付けないとでもいうぐらいの存在が、今日も首都となる商都を護る役目を担っている。


 そんな城壁の一角の門上、そこに設置されている見張り台にいては、交代で周囲を見張っているのだが、どうも森の雰囲気がいつもと違うきがする。


 雰囲気が違うという事を、同僚に言っては見た物の、同僚からはいつもの見慣れた森にしか見えないという答えが返ってくる。



 たしかに見れば見る程、見た目には何ら変わっていないとしか言いようがないのだが、どこかしら何かが違うという雰囲気を感じ取る自分がいるのだ。



 いままで、その直感めいた事で、命が助かった事もあるので、まぁ、嫁さんに借金バレて殺されそうになったのは分からなかったが、外壁回りの警邏での時は、そういった事を肌で感じては、危険を回避していた事があった。



 なので、今でもその直感めいた事は、信じる事にしているのだが・・・



「いや、やっぱ密林街道の方が何か変だって・・・」

「んな事いっても、俺にはいつもの雰囲気で、いつもの密林にしか見えないけどな?」

「いや、やっぱ・・・って、あれ?密林の方って、こんなに静かだったっけ?高鳥も飛んでないし・・・」



 いつもなら、密林の上には何かしらの鳥の群れが飛んでいたり、それが無い場合は、高鳥が円を描くように飛び続けていたりするのであるが、今、その両方すらない。



 日中、しかも晴天ともいえる天候で、こういう状況にあるのは、初めての体験である。



「やっぱり、いつものと違う・・・」

「んな事あるかよ、ほら、街道から馬車が走って・・・ん?」



 密林街道の方から、馬車が「走って」こちらに向かってきている。

 その荷車の幌部分には、火が放たれているのか、火がくすぶっては燃え始めている状況であるが、こちらへと全速力で向かってきていた。



「なんだありゃ?賊にでも襲われて逃げてきたってか?」

「お・・・おい、密林街道の方・・・」

「ん?」




 密林街道の方を見てみれば、街道から、そして密林から、溢れ出るかの様に黒い集団、緑の集団、赤い集団、色とりどりが混じった存在達が現れては、こちらへと向かってきていた。



「お、おい・・・」



 その存在を確認しては、同僚へと視線をむけるために体をねじると、同僚といえば忽然とこの場からいなくなっていた。


 そして、急に肩口に痛みと衝撃が走ってきたかと思えば、その場に飛ばされるように倒れてしまった。



 何事か?と思って肩口を見てみると、槍の様な、金属の棒の様な物が貫いていていた。


 だが、その事にかまけているわけにはいかないと、痛みに耐えては警鐘を鳴らすべく、ちょう吹き飛ばされた先の近くにあった連絡鐘を、動く手を使って鳴り響かせる。




「しゅ・・・襲撃!!襲撃ぃぃ!!閉門いそげ!!」




 最低限の事を伝える事しかできなかったが、都市警戒令が発令された事を確認すると、気が緩んだのか、意識がそこでなくなっていった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「アドラス隊長、鎧の旦那も誘えばよかったんじゃないっスか?」

「あー、旦那はこういうのには参加しないぞ?または、メチスの嬢ちゃんに止められるか、だな」

「そうですね。そういう所は真面目というか、融通が利かないというか」

「オカタイ人っすね~」

「そのオカタイヒトに助けられた奴が何言ってんだか」

「ちょ、それは」



 仕事が終わって、懐も温かくなったために、打ち上げとばかりに酒をかっくらいにきていた。

 長い付き合いがあるため、こういう場に鎧の旦那とその従者となるメチスの嬢ちゃんが参加するという事は、よっぽどの事がないかぎりはしてこない。



「アドラス隊長、もっと飲まないんスか~」

「馬鹿野郎、俺たちは・・・あれだ、常在戦場の構えをもってだな・・・」

「ん?班長のお前がそういう事をいうなんて、何かおきる前触れじゃないか?」

「「「アハハハ」」」

「副長、そりゃ酷いですぜ・・・」


 そんなバカ話をしながら、今日までに起きた事を振り返る。


 仕事で請け負った商隊の護衛に、まさかオーガが出てくるというのは予想の範囲外だったが、鎧の旦那が参加していた時点で、何とかなるという安心があったのは事実だった。


 が、いまさらに思い返せば、オーガの集落がこの地の近くに居を構えている事はまずない。

 それに、そのオーガたちがとった行動も、やや不可解な点があるのも否めない。



「ま、ほどほどにしとけよ?正直、何か嫌な予感がする」

「それは確かに。最後のオーガが3体、まるで"連携"を取るかのように行動を取った事に違和感があります。」

「違和感・・・んー、あの行き場のない密林街道の中、前後を塞ぐように現れた・・・って事がッスか?」

「お?お前もわかってんじゃねーか」



 「お前が?」という他のメンバーからの視線を受けながら軽く頭を叩かれては、「自分だって、ちゃんと考えてるんっスよ!」と言い返していたりする奴をよそに、酒を飲みながらも記憶を思い返していく。


 そもそも、この治安がよく行き届いた都に向かう街道で、"護衛"を頼むにしても自分たちの様な"高ランク"、つまり費用が嵩むメンバーを指定されていたのが腑に落ちない。



 普段なら、そんな必要もないといわれている"街道"の道・・・

 報酬としてもらった金額も、オーガを退治したという事で割り増しで支払いが行われた。

 が、その金額は数か月は豪勢に暮らす分には十分な金額でもある。



 金に"がめつい"商人が、そんな金額をポンッと支払うという事も怪しい話といえば怪しい。

 あの商人"何か"をつかんでいたのかもしれない。または、その"何か"に関する商談だったのかもしれない。



 そう思い返しては、グビリとエールを流し込む。



「疑い出したらキリがないな。」

「そうですね。」

「こういうときは、命があったので良しとしとこうか。という感じで片づけておくのが、生きながらえる秘訣でもあるぞ」

「何ッスか、それ」

「先輩からのアドバイスだ。」

「こまけーことはいいんだよ!ほら、飲め飲め」



 若手が先輩に連れられては、ふたたび酒を浴びるように飲み始めた。

 ま、思い過しで、何かよからぬ事がおこらなければいいとは思うが・・・



「んー・・・なんか、外がさわがしくねーか?」

「そッスか?そんな感じ・・・もあるッスね・・・」



 何か空気が変わったかの様子を嗅ぎつけての言葉を発したので、外に気をむかわせると、確かに周囲の空気が変わっている。



 いや、悲鳴とも怒声ともいえる声が聞こえてきている。

 その中から、聞きたくもなかった言葉も耳に入ってきては、この酒場の中にも伝わり始め、他の客にも伝搬している様子でもあった。



「・・・隊長、どうします?」

「ギルドの方から強制招集がかかるだろうな・・・はぁ・・・せっかくの酒だってのに」

「ほらよ、水だ。酒ぬきしとけ」

「わかってるッスよ・・・んじゃ、自分"様子"を見てきます」

「こちらは物資の確認と確保、行ってきやす」

「おう、頼んだ。んじゃ、また後でな」

「はいッス」「了解」



 先ほどまでの酔っ払いの姿はなく、しっかりと意識した足取りで店から出ていく二人。

 この二人、良いコンビになったとシミジミ思う。

 そして、その後に続いて、ほかのメンバーも一緒にでていく。



「成長しましたよね。あの二人」

「お前もそう思うか?」

「どこかの誰かさんは、まったく成長してないように見えますが」

「いったいどこの誰だろうな?・・・さ、いくぞ」

「はい。ところで、支払の方は誰が?」



 コイツ・・・

 まぁ、いい、今は招集がかかるだろうギルドへと向かうのが先だ。

 「ご馳走さん」と多めの代金を支払っておく。



「んじゃ、今度こそ行くぞ」

「はいはい、忘れ物は無いようにして下さいね」

「お前を忘れ物にしたいわ」

「ご冗談を」

「けっこう本気だぜ?歯を磨き忘れるレベルで」

「子供ですかあなたは」



 そんな軽くい冗談をかわしながら、店を後にした。







   *    *    * 



 補給物資となる商隊を強襲させるため、オーガ隊の一部を出していたが、そう指示をしていた人物は、いまだ帰投していない一報を、翌朝に聞くことになった。


 標的としている人族が住むという都市からは、距離的に数刻の位置の森の中の陣地で。


 普段の人族ならば、オーガ隊を退ける戦力となると、それは軍として運用する形でなければならなかったはずである。


 もし、対応できうる冒険者と言われる存在がいるのも事実だが、それらの手練れといわれる存在が近くにいたという事でもある。


 だが、標的となる都市の情報を集めていた際、この都市およびその周囲の街に駐在する手練れの冒険者たちが「いなくなる様」に、目標となる都市よりも遠い箇所へ誘導する策を打っていたからだ。



 のはずなのに、イレギュラーという形で報告が上がってきていたのだった。



 これが、斥候部隊となるゴブリン隊やコボルト隊であるならば、致し方ないという形で済ませれた。

 だが、それなりの中核を担える戦力ともいえるオーガ部隊、そのオーガを倒すほどの存在が、人族が使う街道に現れるという事が初手でおきたのだ。



 バカな・・・そんなはずは・・・、と口から愚痴をこぼす。



 しかし、策を行っていた者は、「オーガ隊がいたという情報」が人族の都市に流れたとなれば、人族が住まう都市は警戒レベルを引き上げるだろう。


 そうなれば、強固な防衛、しいては籠城という形になり・・・予定された侵攻作戦も躓いてしまう形になる。



 ・・・相手が体制を整える前に動くしかない。




 そう判断しては、各部隊に進撃命令が発令される。

 相手が防衛を整える前に、人族の都市を陥落させるために、侵攻を開始する・・・





   *    *    * 


 続きは思い付きなため、思いつかなければエター作という事で



おまけ


○キャラクター設定

主人公

 異星人

 開拓惑星への物資輸送船団が戦火に巻き込まれ、その敵国が使用した重力砲による攻撃で生じたワームホールにより、この惑星の衛星軌道上に転移してきた工作艦を母艦とする工兵。

 本惑星の大気成分と特殊な太陽光により、その身体に悪影響を及ぼす(皮膚が焼け爛れたり、呼吸が行えなくなったりする)ため、船外外出時は長期船外活動用装甲を着用している。

 母艦修繕用の代替素材を探すため、この惑星にて知的生命体と交流しながら生活している。

 言語可聴周波数が異なる為、発言に関してはメチス以外にはまったく聞こえていない。

 ハードウェアに関してはかなり得意であるが、反面ソフトウェアには弱い。( 三)ノ



 主な兵装(工具):

 ・溶着用プラズマガン  ( 三)<相棒だ

 ・設備固定用重アンカー射出機(レールガン)  ※:今回兵装として代用したのがコレ

 ・ブラスター(自衛用にと支給されている軍用量産品)

 ・プラズマカッター(溶断道具)

 ・パワーアシスト・ホバー機能付き長期船外活動用外骨格型スーツ

  トイレパックに仮眠用装置など、結構いたれりつくせりな装甲

  欠点として全高2m70、装備重量含むと200kgオーバーと大きい




メチス(MECHanism ISomorph:同位構造体)

 本惑星においてサポート用にと惑星の環境に適合させるため、惑星人に似せた"人造生命体"。


 本惑星の住人をトレースして造られ、一部異星人の科学技術機能も加味されており、言語翻訳能力も学習期間(半年)を兼ねて人格形成もなされた。

 ただ、情報収集していた盗聴・盗撮した先の影響なのか、「お世話をする役なら従者や使用人でしょう!」という変な拘りを持ってしまった。

 その製造工程でインストールされた知識により、ソフトウェアにはめっぽう強いがハードウェアにはとことん弱い。



レダ

 とある街の冒険者ギルド受付の妙齢な女性

 年齢は2(以下この部分は削除されている)

 オヂサマが大好物らしい

 賭け金は銀貨10枚


アドラス

 20代(後半)のクランを率いる熟練冒険者、主人公の事を"鎧の旦那"と呼称する。

 幾度と依頼を一緒に行っていたため、主人公の実力を知っている。

 また、冒険者として相手の事を直接聞く事もしない誠実さを一応持っている。

 今回の事で、さらに賭け金を金貨1枚追加し、合計金貨2枚となっている



商人

 新進気鋭の商人

 新しい物に目が無く、何かしらの商機を感じ取れる人物で一代で大きな富を得た傑物

 今回の主人公の鎧甲冑の性能を見ては、数十年の研究と開発の末、小型化は出来ず推進能力もなかったものの、魔道具を使用した「浮かぶ荷車」を作り出す事に成功し、さらに富を得る事となった。

 また、この「浮かぶ荷車」は、浮遊車や浮遊船の歴史にも名を残す偉業ともなった。


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― 新着の感想 ―
[一言] エター作… 何時か、連載版、お願いします。 なぜ、この星にたどり着いたのかあたりからで。
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