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断章 妖精 -2-
ざわざわ。ざわざわ。
花園が、揺れている。
私の/僕の/俺の/アタシの。
美しい花園が、不安で不穏に揺れている。
ここは、世界でたった一つの場所。
唯一の、my/ma/我的/mi/мой 世界。
それを揺すぶるヤツがいる。
僕の世界を壊そうと。
私を粉々に砕こうと。
こんなに美しい場所なのに。
永遠を、刹那に変えようとするヤツがいる。
いつの間に。
そんなモノがはびこってしまったのか。
私は/僕は/アタシは/俺は、歯噛みする。
庭師の俺が。
目を離した隙に、あんなものが。
美しい花の間で、体をくねらせて醜く蠢くようなものどもが。
あちらにも、こちらにも。
僕の世界を食い尽くそうと。
私の世界に醜い穴を開けようと。
翅ある者たちに手を伸ばし。
空飛ぶ彼女を地面に落とす。
だから、俺は/私は/僕は/アタシは。
いつものように笑顔を向けて。
堕ちたあの子を、踏み潰す。
地面と靴が汚れるけれど、
後には何にも、残らない。




