天使と悪魔
キーンコーン……
ふー、やっと帰れる。
授業終了のチャイムがなって私は机の上の教材を鞄にしまった。
帰れる、帰れる〜。
いつも冷静な千春は心の中でそうはしゃいでいた、そんな時…千春の妄想が開始された。
『千春ちゃんっ、千春ちゃんっ!!』
私の目の前にいきなり天使が出て来た、可愛い可愛い天使だ。
※千春の妄想です
『お昼休みに先生に教室の掃除とゴミ捨てと教卓にある提出物を職員室に届けるように頼まれてたでしょ?帰らないでやらなきゃダメだよ。』
「えー、いやいや帰っちゃおうよ」
『ダメよ千春ちゃんっ!!きちんとやらなきゃ、』
「だいたい掃除とかは日直の仕事だし」
『そうだけど、今日は千春ちゃんがやらなきゃ。』
「なんでよ?」
『それは千春ちゃんがお昼休みはとっくに終わってたのに染谷秋都くんとじゃれあってたからでしょ。』
「じゃれあう!!?そんなことしてないって!!!あっ、そういえばアイツと一緒にやるのか」
『そうよ、一人じゃないから大丈夫でしょ?』
「んじゃ、アイツに全て任せちゃえば…」
『ダメダメダメよ!!そんなことッ!!!』
ここで千春は思ったのである、
そろそろ悪魔が出てくる頃なのに遅いなぁ、出て来てくれたら絶対悪魔側に着いてあげるのに…、と。
悪魔が出て来ない理由は簡単だ、千春そのものが今回は悪魔だからである。
『とにかくっ!!帰っちゃダメよ!!帰ったら…』
「あー、はいはい。じゃ天使さんバイバイ」
私はそろそろ鬱陶しくなってきたので手で天使を振り払いニヤリと笑みを作った。
ふっふっふっ、ドラマの再放送が今日はあるのだから帰るに決まってるじゃない!!!!
オーホッホッホッホッ、
完璧に悪魔である。
「ちぃちゃん」
そんな時に私に声をかけてきたのはコイツ、染谷秋都だ。
「早く終わらせよっ!!」
キラッキラッな笑顔でそう私に言ってきた小犬男。
「ごめん、今日はどうしてもはずせない用事があるんだ…」
「えっ!!」
「だから、私帰らないと…」
「そ、うか……」
アイツは苦笑いを浮かべながらしょうがないね、そう言って掃除用具を取りに行った。
あー、垂れた尻尾と耳が見える。
まっ、アイツだからいっか。
今日の千春は最低である、これでも主人公なのか疑問に思う。