002 魔法王国の王子
今回から王子視点です。
遠く…あの地平線より遠くに、本当に違う世界があるんだろうか。
この魔法王国とは違う。剣が深く根付いている王国が――本当に。
「言ってみてーー!!」
気付いたら叫んでた。
また見たことのない、もう一つの世界に向かって。
「こらー!王子ー!」
下の方でアジリアニが叫んでる。
ちっ、見つかっちゃったか。
「こらー!降りてきなさーい!」
「分かったよ!すぐに降りてくから!」
そう言ってオレは中を舞った。……ようするに、飛び降りだ。
「なっ!?」
アジリアニたちが驚きの声をあげる。
――ビュオオォォォ
地面まで、たった数秒のダイビング。
風を切り裂く音が耳に心地いい。
「王子!危ないっ!」
誰かが声を荒げた。
全く要らない心配だけど。
「風の聖霊よ、我と大地との境の空圧を高めよっ、『エアークッション』!」
――バァィーン
オレの体が空気のクッションによって跳ね上がる。
そして天地が逆さまのまま、落ちていく。
「王子、大丈夫ですか!?」
アジリアニが駆け寄ってきた。どうしてこの城の人間は心配性ばっかりなんだ?
オレは頭を押さえながら、立ち上がった。
「全然大丈夫。ちょっと頭は痛いけど」
すると、アジリアニの顔が一気に青ざめていく。頭打ったぐらいで一体なんだ。
「あ、あ、」
アジリアニは金魚のように口をパクパクさせて、オレの足元を指さしている。
ん?んん!?
オレの足元には、父上が大事にしている壷が。
……粉々になってた。
「げ!……逃げるか」
オレは一目散に逃げ出した。
「…………王子〜!!」
一瞬間をおいて、アジリアニが追いかけてきた。
こりゃ、捕まったら説教だな。トホホ……。




