001 プロローグ
最終的には壮大な物語になっている予定(!?)です。長い目で見てやって下さい、よろしくお願いします。
剣と魔法が対立する世界。
剣は魔法を切り裂く。
魔法は剣を破壊する。
相反する二つの力。
やがて、二つの力の間で対立が起きた。
そして、人間は二極に別れて、別々の国を作った。
剣を信じる者たちは、龍の力を借りて『ソーディアン王国』を。
魔法を信じる者たちは、聖霊の力を借りて『マジックリン王国』を。
二つの国では衝突は今現在も続いている……。
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時は魔法歴704年。
マジックリン王国が建国してから、もう700年が過ぎた。
隣国のソーディアン王国との戦争は、休戦状態がかれこれ15以上続いている。
なので、国内は数百年ぶりに平和な時代がおとずれていた。
……だが、街のど真ん中にそびえ立つ巨大な王城では、毎日ちょっとした争いが起きている。
「王子はどこに行ったー!!」
「王子ー!出てきて下さーい!」
王城のあちらこちらから、声があがる。声の主たちは城に使える執事や侍女たち。
みんな声を張り上げて、
「玉子、玉子」
と叫んでいる。
「玉子じゃない王子だ!!」
立派な顎髭を生やした初老の男が叫んだ。黒いローブを着て、手には背丈ほどの気の杖を持っている。
「……アジリアニ様?急にどうしたんですか?」
アジリアニと呼ばれた初老の男の横で、怪しむような目に見ている。
この男は緑のローブを着ている。
「……うっ、うるさい!なぜか叫ばなきゃいけないような気が……そ、そんなことより、さっさと王子を探さんかっ!」
「うぅ、そんなに大きな声を出さなくても……しかし、王子様も困ったものですね。修行の最中に逃げ出すなんて」
「全くだ。力はあるのに学ぼうとしない」
アジリアニは大きな溜め息をついた。
あの王子には手を焼いてばかりだ。最近は抜け毛も増えてしまった。
「そうですねぇ、毛は大事ですものね」
「カシス貴様……人の心を読むなと何度言ったら分かるんだ!!」
アジリアニが杖を振り上げた。
「ひぃ!ごめんなさい」
カシスと言う名の緑のローブの男が逃げ出す。
「許さんぞ!ゴニョゴニョ……『サンダーボール』!」
アジリアニの杖から雷の球が生み出された。
そして、それは宙を飛びカシスの背中に直撃した。
「ギャアアアァァァ!」
カシスの体の骨が透けて見えるほどの雷撃。
「天罰じゃ」
アジリアニが満足して頷いていると、1人の侍女が走ってきた。
「アジリアニ様っ!王子が見つかりました」
「なにぃ、本当か!して、どこにいるのだ?」
「それが、その、……王城のてっぺんに」
くらぁ〜。
アジリアニに目眩が襲ってきた。
「王子はそんな所で何をしてるんだ!」
アジリアニは怒鳴った。侍女は恐縮してしまった彼女にとっては八つ当たりもいいとこだ。
「わ、分かりません。ずっと遠くの方を眺めているだけで……」
「まぁいい……行くぞ、カシス!」
だか、返事はない。
彼はさっきの魔法で、全身黒こげで倒れていた。
「ちっ、根性なしめ。あの程度の魔法で気絶しおって。おい、お前案内しろ!」
「は、はい!」
侍女は駆け出していく。アジリアニは後ろから着いていく。――が。
「ひぃ、ひぃ。ちょっと待ってくれぃ。た、体力が……ひぃ、ひぃ」
「あ!す、すいません。ゆっくり行きますね」
「すまんな。年には勝てないな、若い頃はこんな……」
と、アジリアニの昔話をしながら、二人はゆっくり王子の所へ向かった。
この国を、この世界の運命を背負っているかもしれない王子のもとへ。
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