表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/10

9 紅の血

もう、そこに居たのは兵士ではなかった、一国の王子、オレガノ本人。

「あれ?何で気がついちゃったのかな?おかしいなぁ、あのクローンは完璧なはずなんだけど?」

「血の匂いですよ、」

「血は盲点だったかな、まぁいいさ、君達の事を、殺すまでっ!」

オレガノは、長い口笛を吹いた。

ピィーーーーーーーーーーーーーーー。

すると、オレガノの後方から沢山の屈強な男達が現れた。

中には、手を4つあったり、足が無く這うように向かってくる者も居た。女性が一人混ざっている・・・ゼニアだ。

「・・・これも、クローンですか?」

アクロは顔を顰め、オレガノを睨み付けた。シェンはその光景を見て呆けている。

「あぁ、そうだよ?失敗作も混ざってるけど、皆強い子達だし、それに皆、従順なんだよ、洗礼されてるしね。」

オレガノは楽しそうに言って、失敗作の頭に手をやり、優しく撫でた。失敗作は指の無い手足をぶら下げ、汚らしく涎をまき散らしながら笑った様にアクロには見えた。

「正真正銘の嘘吐きですね、この詐欺(ペテン)師がっ!」

「黙れ、小娘がっ!殺れ!!」

オレガノは突然激昂し、クローン達に命を下した。

「そんな、下等生物共に私が倒されると思うのならば、貴方の頭の中には脳味噌が無いんじゃないんですか?」

アクロはオレガノに激しい呷りをかけた。

オレガノはそれを、クローン達の攻撃で答えた。

アクロはそんなもの気にせずに突き進む。

アクロの前をシェンが掃除するかのように、クローン達を切り刻んでいく。

青い鍵爪が赤に染まっていく、アクロの赤に。

「アクロ、オレガノだけを狙え!」

「分かってるよっ!」

アクロは脅威の跳躍で、オレガノの懐に降り立った。

アクロはオレガノの心臓に《血染ノ剣》を宛がった。

オレガノの顔から怒りのマスクが剥がれ、恐怖が張り付いた。

「どうしたんですか?さっきは元気に喚いてたのに」

「っ・・・」

「殺されたくなければ、答えなさい・・・どうして、ボク等を殺そうとしたんですか?」

アクロの表情には、いつもの無機質なものではなかった、無情な無表情。冷え切った仮面。

「君達が無茶を言うから・・・」

「何が無茶だ・・・貴方のクローンでも使えば、幾らでもできるじゃないかっ!」

アクロは剣の切っ先を食い込ませた、オレガノの皮膚から血が滲む。

「ひっ、あっあっ、アルマン様が・・・」

「アルマン?・・・アルマン・キュープ・リナリアか⁉」

「そっそうです!アルマン様がもし、紅蓮龍様を殺せば、千人の有能な兵とクローン技術の研究費用を出してくれると・・・」

「クソ親父が・・・いつか、あの腐れた脳味噌を野良犬にくれてやる・・・」

「ぐっ紅蓮龍様・・・?」

「貴方は、アルマンに雇われたわけ?」

「はっはい!だから私は何も悪くないはずなんですっ!」

「・・・ゼニアさんも混ざっていた様だけどなぜです?」

「本物の動物も人間もこの国にはおりません!」

「どういうこと?」

「私が元居た国で、私はクローンの技術を開発して居りました。そこで、クローンだけで国を造ったのです・・・」

「そうですか、で、ゼニアさんも貴方の自由だと・・・クローンとは言え、心のあるものを踏みにじっているんですね?」

「クローンに心などありませんっ!」

「そうですか・・・」

アクロの瞳には呆れと怒りが渦を巻いていた。

「あっ・・・あっ!」

「おやすみなさい、良き悪夢を・・・。」

「いやだぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁ!!」

オレガノの悲鳴が高らかにあがった。

アクロは本日二度目の血飛沫を浴び、より深い赤に染まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ