6 紅ワイン
なっ、何でボクはこんな格好をシテイルンデショウカ・・・」
「なんで、最後カタカナ発音なんですぅ、ふふ~ん、舞踏会に出席して、統率者さんに頼み事するんですよねぇ?潜り込まなきゃですよぉ♪」
ジャスミンは楽しそうに言った。
今はもう、舞踏会の始まる夜。
アクロはあの男に渡された服、モスリンたっぷりのミニドレスを着ていた。
腰の部分に巻かれている、大きな白いリボンの中に、ナイフが2本ずつ収納されていた。
白いレースに、深紅の生地、小さな深紅のシルクハットには白い大きなリボンが巻かれていた。
真っ白な髪はツインテールにされていて、首元が寒いとぼやいていた。
いつもの、シャツに短パン、コートのアクロからは想像もつかない姿である。
ジャスミンはと言うと、瞳と同じ菫色のカクテルドレスを身にまとっていた。綺麗な金髪に、菫色のリボンを編みこんだ、凝った三つ編みを一つのお団子状にしていた。
シェンはタキシード姿で、アクロに「緩んでる」と言われ、きつく結ばれたネクタイに苦しんでいた、前髪の右側を沢山のピンで留めていて、青い瞳がより大きく見えた。
ハイドは、綺麗なカッターシャツと黒いズボンだけだった。一言、行かないと言われてしまったため、それ以上のことはできない。
ハイドは人間的にはありえないほどの怪力で、ドアノブを回そうとすれば、握りつぶし、コップを持とうとすれば、粉砕してしまうほどの力を持っているため、必要以上にあれこれ押し付けることはできないのだ。
「えぇっとですねぇ、刃物や銃器の持ち込み禁止、動物などとのご入場は禁止・・・だそうですよぉ?どうするんですぅ?」
「大丈夫ですよ、このレイピア、ドレスの中に隠せるし、ナイフも4本持ってます、料理も振る舞われるんでしょう?だったら、ナイフやフォークは絶対出るはずでしょ?」
「確かにそうですねぇ、絶対大丈夫ですね!」
ジャスミンは長い睫を伏せ、ウインクをした。
アクロは血染めの剣の入っていた箱の中から、皮製の鞘を見つけ、ドレスの中に隠れるように、太腿に取り付けた。
「分かんないですぅ、大丈夫ですぅ!」
ジャスミンは言った。
シェンは腰のベルトに聖海ノ鉤爪を飾りのように、お洒落に取り付けた。
「大丈夫ですよぉ!アクセサリーにしか見えないですぅ♪」
ジャスミンは茶目っ気たっぷりにまたウインクをした。
いくよぉ~ww