5 紅いドレス
ホテルに着くと、二人は同時にボスンッと、ベッドに倒れこんだ。ハイドはソファーで寝こけていた。二人はごろごろしながら、あの男に渡されたものを眺めた。
アクロに渡された細長い箱の中からは、黒じゃないかと思うほど深い深紅の、フェンシングで使うような刀身の細い剣。レイピア。
バラの象られた鍔の部分も深い深紅だった。
シェンに渡された、小さな四角い箱からは、タンザナイトと言う宝石を削って造られた、透き通るような薄い青色の鉤爪が二つ。エッジ。
鋭くとがった爪の先が青い光を放っていた。
「おっ、結構得意なタイプの武器だ」
シェンは嬉しそうに言った。
「物を投げて攻撃かぁ、野生だね」
「うっせぇ、お前の何だよ」
「レイピアだよ、細い刀身の剣、主に突く攻撃、斬る事も出来るんだ。」
「お前が欲しかったのって、短剣、ナイフだろ?良いのかよ、そんなんで。」
「うん、まぁ、追い返されるような形だったし、この国ではこれだけでいいよ。あっ、でも、依頼完了のお礼にナイフを頼んだから、それを楽しみにしとくよ」
「ふぅ~ん」
「たっだいまぁ、ですぅ!」
ジャスミンが、能天気な声を出しながら帰って来た。
現在、えいと・おくろ~っく
「どうでした?」
「ふっふぅ~ん♪王宮で、明日、舞踏会があるらしいんですよぉ、参加は自由らしいですぅ、だから招待状はなぁ~し!」
「そうですか、分かりました、ありがとうございます。」
「いいえ、どうってことないですよぉ、て言うか、本職だし、情・報・収・集♪」
「本職って?」
シェンは不思議そうに聞いた。
「情報屋ですぅ♪」
ジャスミンは蠱惑的に微笑んだ。
「情報屋って?」
「情報を売る仕事だよ、お・馬・鹿・さん」
アクロが茶化す様に言った。
シェンは拳をつくって、振り上げるだけに留まった。
「おやや?アクロちゃん、それなにですぅ?」
ジャスミンは興味津々に、床に落ちている、男に渡された、服を眺めた。
「もしかして、アクロちゃんも、お洒落に目覚めたので「んなわけない!」・・・、ですよねぇ~」
アクロは台詞の途中に慌てて言った、ジャスミンはがっかりしたように言ったが、服を拾い上げた。
「わぁ~、モスリンたっぷり!可愛いですぅ❤アクロちゃんにぃ、とっても似合うですよぉ!!」
ジャスミンはウットリとアクロと服を見ながらクルクルと回っていた。
「・・・・・・嫌な予感がする・・・」
アクロはそう呟いた。
まだまだ行くぜぇ~ww